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のどかな風景が広がる道を進む中、宇崎さんの右肩の様子を見てみた。
長さ五センチほどの裂傷がある。
出血の具合から察すると確かにかすり傷ですんでいるようだ。
「あのう。パトカー運転しちゃってる僕は何かの罪に問われたりします?」
田中さんが恐る恐る訊くと、宇崎さんは「死刑だね」と口にし、田中さんが驚いているのを見て俺と宇崎さんは笑った。
三上だけは暗いまま。親が殺されたばかりなんだから仕方ない。と、宇崎さんが真面目な顔に戻った。
「あいつらは身体能力こそ俺たちを上回っていそうだが武器さえ持てば抗えない生物でもなさそうだ」
「でもあの長い触手じゃ近づくのも命がけですよ。拳銃みたいな飛び道具がなきゃ」
「ああ。だがどうしようもない状況に陥っても諦めるな。その場に落ちてる石でも拾って殴りつければダメージを与えられるかも知れん」
「そんな状況に陥らないためにも早く県警や自衛隊に連絡を取らなきゃなぁ」
最後に話を締めたのは田中さん。
山がすぐそこまで近づいて、石川県まで十数キロと知らせる看板の下を百キロを超える速度で通り抜けた。
いよいよ山の麓まで来て坂道が多くなった。
そして本格的な長い坂道を上っていると車の速度が緩くなる。
宇崎さんが「どうした?」と訊いて前を覗き、俺も真似た。
道の先には県境のトンネルがあるんだけど、大渋滞の様子だ。
反対車線も石川へ向かう車で埋まっている。
「まさかこんな所にまで化け物が?」
言うと田中さんは「そんな感じじゃないな。見ろよ。道端にいる奴らに緊迫感がない。ただ戸惑っている感じ?」と答えた。




