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「俺もトイレしておきたいんですけど」と伺いを立てるとじろりと見られ、でも「早く済ませろよ」と了承をもらえた。
「まったく昨日の夜まではこんなことになるなんて夢にも思わなかった」
宇崎さんの言うとおりだ。けれど災害なんてそんなもんなんだろうな。
人生、一寸先は闇。何が起きるか分からないもんだ。
「なぁ、小野寺君」
田中さんにつつかれ振り向くと、田中さんが遠くを指差していた。
「あそこ、動いてるの何かわかる? 僕、目があんまりよくなくてさ」
「あそこって?」
指の先を追って目を凝らしてみる。
「……! 化け物だ!」
育った稲の生い茂る田んぼの中、チカチカ光を出しながらこちらへ向ってきている!
田中さんは「うっそ、ヤベェ!」とタバコを放り、パトカーへ乗りこんだ。
宇崎さんは腰の拳銃に手をやって化け物を探す。
「どこだ? どこにいる?」
「ほら、あそこです。まだ遠いし動きもゆっくりしてるからこちらには気づいていないようだけど、こっちへ来てます」
「本当だ。俺も見つけた。他にはいるか?」
探すがこちらへ向かっている一匹以外には見つけられない。
「あいつしか見えないです」
「よし、じゃあ小野寺君もパトカーに乗っていろ」
「でも三上が」
「すぐに出てくるだろう」
宇崎さんは田んぼからやってくる化け物の動向を注視しながら支持して俺は素直にそれに従おうとした。
けれどパトカーに乗っていた田中さんが突然ドアを開ける。
「あれもそうじゃないのか?」
田中さんが指すのは俺たちが来た道。深い青の胴体から細かい光を発する化け物が触手を使って地面を走ってきていた。




