番外編短編・ななしの一寸法師
「どう? 一寸法師くん、原稿読んでくれた?」
私は炎上した漫画家。自称・一寸法師くんをネタに小説を書いてみた。まあ、炎上のせいで手帳もちになっているわけだけど、一寸法師くんのおじさんが通ってる教会へ向い、原稿を見せた。
「笑えねー。なんであんたまで手帳もちになってんだよ」
一寸法師くんは呆れていた。モデルの俺に引っ張られているんじゃないよと真っ当なことなで言ってる。しかも漫画家のくせに九万文字もよく書けたなとさらに呆れている。
「まあ、いいんじゃないかなー。うちの母親も障害者の悪口ばかり言ってたし、その報いが子供にきたんだろうね。兄も福祉業界行ってメンタル壊れて障害者雇用で働いてる。正社員で雇われていたはずが、実際は契約社員だったというブラック福祉のエピソードは兄から聞いた話だから。あはは。因果応報こわぁ」
「それもネタにしたのか。本当、呆れる……。笑いながら話すなよ」
一寸法師くんはため息をつき、原稿をめくっていた。障害者雇用でこんな配慮ない職場はおかしいとか、サポステみたいな就労支援施設は農業やっていないとか、支援員の書き方が現実離れしているとか、B型の描写も全体的におかしいとかツッコミの嵐だ。
「ここまで書いたら就労移行とかA型やグループホームも書けよ。なんだか全然リアリティがないなぁ」
「う、そのツッコミは痛いわ。やめてー」
「障害年金だって働いていても取れるケースあるぞ。別に社労士使わなくたって自力でも申請できるし。あと担任教師の書き方もおかしいなぁ。母ちゃんが学校の先生だったら、そこから取材しなって」
一寸法師くんのツッコミ、容赦なくて本当に耳が痛くなってきた。
「ところで俺のキャラ名、ずーっと出てこないな。もはやななし?」
「ななしだよ。万が一こっちも炎上していじめとかに発展したら困るからね」
「それより福祉の描写をちゃんと書けよな〜」
一寸法師くんは呆れていた。案外、作中で名前が与えられなかったこと、気にはしてなさそうだ。
「でもま、物語と現実は違うからねぇ。これの読者さん、俺みたいにツッコミながら読むのが正解じゃね?」
「ひー、そんなツッコミどころあるんだ……」
「あるある。もう福祉も教育の解像度も全部低い。障害の解像度もさぁ、何コレて感じ」
一寸法師くんのツッコミはより容赦なくなった。赤ペンまでいられられ、原稿は真っ赤になってしまうぐらい。
「でも私も晴れて手帳もちになったし、この件をネタになんか創作すっかな。絶望漫画家ってタイトルでエッセイ漫画描こうと思ってるんだけど、どう思う?」
「はー? あんたまた描くつもりなんかよ。しかも自分をネタ……。呆れるなぁ……」
「うん。一寸法師くんにツッコミ入れられていたら、なんかまた漫画描きたくなってきた」
そんな事を言うと、一寸法師くんはさらに呆れてため息をつく。そして原稿はさらに真っ赤になってしまった。




