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14-2・変わらぬ友情を誓う

 卒業式の予行演習が終わった後、由井さんがクラスメイト全員を集める。卒業式後の幹事が由井さんと俊(柴田)くんだから、「どこで打ち上げするか?」とか「力石先生にプレゼントをしよう」みたいな打合せかな?


「どうなの、俊くん?」

「知らね。何の打ち合わせだろうな?」


 俊くんは知らない?由井さんの独断ってことかな?皆が指定された階段下に集まったところで、由井さんが階段を上がって注目を集める。


「卒業の記念に、みんなで“白線流し”をしようよ!」

「・・・・・・・はぁ?」×たくさん


 そんな名前のドラマがあったのはテレビの「懐かしのドラマ特集」でチラっと見たことあるけどさ。


「『白線流し』ってなに?」


 その単語を初めて聞く人もいる。


「『白線流し』ってゆーのゎね、アタシ達の変わらぬ友情を誓う儀式なの!

 なんか、良いと思ゎね?」


 陽ちゃんや俊くんや藤原くん、真田さんや櫻花(おー)ちゃんをチラ見する。大半のクラスメイトが卒業した途端に疎遠になりそうだけど、長く「変わらぬ友情」を続けたい仲間も何人かは存在する。もちろん、友達以上に発展したい人もいる。


「ニュースで見たことある!どっかの地方の卒業後のイベントだよね?」

「戦前の行事だろ?」

「今でもやってるはずだよ」

「お母さんがドラマのマネして、友達と一緒にやったって言ってた」


 クラスメイト達が口々に「白線流し」について語る。


「面白そうじゃん!オマエ等もそう思うだろ?」


 面倒くさそうにしている人が何人かは居たけど、武藤さんが肯定をした途端に全体が賛成の雰囲気になった。


「『白線流し』って男子の学生帽に縫ってある白い紐と、

 女子のセーラー服のスカーフを結んで、川に流すんだよね?」

「お~~!」

「そーゆー儀式なんだ?」


 さすがは櫻花(おー)ちゃん。「白線流し」について、みんなが解るように説明してくれる。


「私も面白そうだと思うけどさ、私達の制服ってブレザーだよね」 

「あ~~!」

「白線、無いね」


 さすがは櫻花(おー)ちゃん。学帽やセーラー服ではない僕等には不可能なことを、みんなが解るように説明してくれる。 


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」×たくさん


 この打ち合わせの時間、なんだったの?大前提が崩壊してるじゃん。「話は終わり」「解散」って空気が全体に漂う。


「ならさ、白線じゃないけど、ネクタイを流すってのはどうかな?」


 頓挫をしかけたところで、陽ちゃん(吉見くん)が新解釈の提案をした。


「ネクタイ?」

「もったいないよ」

「でも、卒業したら使わないでしょ」

「オマエ留年するから、流せないな」

「バカ言うな。留年だったら卒業できないじゃん」

「ネクタイでいいんじゃね?」


 全体的には納得の雰囲気。発議者の由井さんは、階段の上で満足そうにウンウンと頷いている。


「ゴメン!俺、参加できない。後輩にネクタイをやることになってる」


 俊くんが挙手をして拒否をした。部活の後輩女子に「ください」って言われて承諾しやがったみたい。まさか、陽ちゃんの案を、一番仲良しの俊くんが却下するなんて・・・。


「スマン、俺も参加できない。彼女にネクタイをあげることになっている」


 ツカさん(津田くん)まで挙手をして便乗してきた。恋人の若林さんにあげちゃうんだってさ。 


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」×たくさん


 やっぱり、「変わらぬ友情を誓う儀式」は頓挫するっぽい。「話は終わり」「解散」って空気が全体に漂う。


「野郎どもは、今から白いフンドシを買いに行って、明日、履いて来い!

 それを川に流せばいいだろう!」


 武藤さんが頓狂なことを言い出した。卒業式が終わったら全員で脱ぐってこと?


「フン!買わずとも問題は無い!ひい爺ちゃんのフンドシがある!」


 めったに喋らないのに鶴の一声の風格がある近藤くんが、意味不明なことを言い出す。


「ふっ!面白そうだな!俺は乗った!」

 

 しかも、武藤さんLOVEの楠木くんまで便乗してきやがった。この流れはヤバくね?僕等、今からフンドシを買いに行かなきゃならないの?フンドシなんて服屋さんで普通に売ってるの?


「女子はどうすんの?」

「ネクタイで良いんだよね?」

「フンドシとネクタイを結ぶって、なんかおかしくね?」

「でも、パンツ流すのは、さすがにちょっと・・・」


 男女の下着が絡み合いながら川を流れる「白線流し」。なんか、話がだいぶおかしなことになってきた。


「なら、女子はブラだ!

 中学の時に使って、今はもう使わない白いブラあんだろ。

 それを持ってこい」


 武藤さんが再び頓狂なことを言い出した。


「織田っ!沼田っ!

 一応残してあるけどもう使わないやつ、タンスの奥にあんだろ!?」

「そりゃ・・・まぁ・・・」

「探せばあるとは思うけど・・・」


 さすがは、武藤さん、真っ先に男子人気上位の2人を説得する(脅す)つもりだ。しかも、自らが先陣を切っているんだから、見事としか言いようがない(櫻花、沼田、武藤がクラス内のモテ女トップ3)。

 もちろん、櫻花(おー)ちゃんと沼田さんは困惑しています。


「でもさ、さりちゃんゎ、中学の時のブラを今でも使ってんぢゃね?」

「はぁ!?なにそれ!!ゆいゆいに言われたくない!!」

 

 え~と、由井さんの言葉を直訳すると、「真田さんの体つきは中学から成長していない」ってことかな?すっげー失礼じゃね?そりゃ、真田さんが怒るのは当然でしょ。


「どっともどっちなローティーンコンビがはしゃぐな。

 オメー等はオメー等で何とかしろ」

「はしゃいでない!あたしはローティーンじゃない!」

「了解!何とかしまーす」


 ちなみに、女子の下着の話題になってからは、男子は一切口を挟まず、恥ずかしそうにそっぽを向いて、それでいて全員が興味津々って目つきで、シッカリと聞き耳だけは立てています。


「よし!多数決を取るぞ!

 明日の卒業式後、女子はブラ、男子はフンドシで、白線流しをする!

 賛成の奴は手を上げろ!」


 武藤さんが音頭を取った。言うまでもなく、女子は2割弱しか挙手をしていない。だが男子全員が挙手をしたので、賛成多数で白線流しの決行が決まった。きっと男子全員が「気になるあの子のブラが川を流れる様子」を見・・・、いや違った。このクラスの変わらぬ友情を誓いたいのだ。

 その後は、学校の近くにある小川で実行するか、市内中央を流れる大きい川に流すか、そんな打ち合わせになる。


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「オマエ等、何を考えている!?

 千幸(せんこう)高校の恥をさらす気か!?

 川にゴミを捨てるな!!」


 力石先生にも参加してほしくて相談に行ったら、即座に全否定された。冷静に考えれば「そりゃそうだ」って解るけどさ、ゴミ扱いはヒドくね?

 こうして、白線流しは中止になり、僕等はフンドシを買う必要が無くなりました。


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