12-2・2人で1つ
〈君等にも2~3本落ちてくるかもしれないけど、それくらいは避けろよな〉
「・・・え?」
智人の一番好きな攻撃?2~3本?嫌な予感がする。
「みんなっ!降ってくる剣に備えてっ!!」
櫻花ちゃんや土方さんにとってはトラウマ級の奥義がくる。慌てて精神感応で仲間達に伝達をする。
〈富醒・イメージ!ヘパイストス!!〉
次の瞬間、空に出現した小さな穴から一斉に無数の剣が飛び出して、ドラゴンに降り注ぐ!全身に次々と剣が突き刺さり、広げていた翼には風穴が空く!
ついでに、無差別に降り注ぐ剣の何本かが僕たちにも降りかかってきた!
「ぬぉぉ!見切ったぁ!!」
近藤くんは果敢に長剣を振るって落ちてくる剣を弾く!
「ひぃっっ!」
「アイツが絡むと相変わらずロクなことにならんっ!」
ドラゴンから距離を開けていた藤原くんは沼田さんを引っ張って更に後退!
「きゃぁぁぁっっ!!」×2
塔屋近くにいた櫻花ちゃんと土方さんは、悲鳴を上げながら塔屋内に退避をした!
「真田さんっ!」
鉄の盾を傘代わりにして降ってきた剣を弾きながら、真田さんに声をかける。
「尊人くんっ!」
ゾーンに入っている真田さんが剣の軌道を見極めて回避をしながら寄ってきた。
「ドラゴンにトドメを刺す!手伝ってもらえる?」
僕が手にしているブラークさんの剣は、異世界を経験した中で、僕が知る最強の剣。そして、悔しいけど、この剣の性能を最大限に活かせるのは真田さんだ。魔石ダガーと真田さんの腕の長さではドラゴンには届かないけど、この剣ならば届く。僕が届かせる。
「もちろん!」
快諾をしてくれた真田さんと並んでドラゴンを睨み付ける。
「ツカさん!そっち(校庭)から僕達が見えてる?」
精神感応で津田くんに呼び掛ける。
〈見えているぞ!〉
「なら、シールドの遠隔操作で、僕の前に階段を作ってもらえるかな?」
〈階段?〉
「うん!僕がドラゴンに届く足場!」
〈なるほどな!了解した!〉
ちゃんと伝わったらしい。5枚の丸盾が飛んできて、僕とドラゴンの間に、階段のように並んだ。
「準備完了!
真田さん、僕が今からやりたいこと、わかる?」
「うん!」
真田さんが右手を差し出してくれたので左手で繋ぐ。
「わかってくれてありがとう!」
翼がズタズタになったドラゴンが落ちてきた!真田さんと手を繋いだまま足並みを揃えてドラゴンに向かって駆け出して、階段状に並んだ丸盾を駆け上がる!
ドラゴンが空中で体を捻って、顔をこちらに向けて、口を大きく開けた!直後に矢が軌道を変えながら飛んできて、ドラゴンの眼を貫く!
「尊人っ!躊躇わずに突っ込めっ!!」
ドラゴンが苦しそうに首を振る!おーちゃんが矢で援護をしてくれたのだ!
「行くよっ!」
繋いだ手を引っ張って真田さんを抱き寄せたら、真田さんは僕に体重を預けてくれた!右手の剣を構え、ドラゴンに向かって刺突の体勢を整える!
「富醒・レンタル!・・・ブースト発動!!」
最上段を踏み越えると同時に急加速でドラゴンに接近!
「わぁぁぁっっっっっっっっ!!」
ドラゴンの顎下に突き立てた剣が、口内を通過して頭を突き抜ける!
「今だ!!」
真田さんが、剣の僕が握っている柄の下を掴んだ!互いの眼を見て頷き合う。ちゃんと説明はしていないけど、真田さんなら意思が通じてると信じていた。
「富醒・ピークエクスペリエンス!!」
真田さんが魔力を掌に溜める!だけど、真田さんだけに任せる気は無い!及ばずながら、僕も魔力を発動させる!
「サンダースパークッッ!!」×2
僕と真田さんが発した魔力電流がブラークさんの剣を伝って、ドラゴンの頭に流れ込む!
「わぁぁぁっっっっっっっっ!!」
「やぁぁぁっっっっっっっっ!!」
ドラゴンの頭半分が吹っ飛んだ!爆風に煽られた僕と真田さんは屋上の床に墜落!
「げっ!」
真上からドラゴンの巨体が降ってきた!
ドラゴンを倒した後のことまで考えてなかった。ぺちゃんこに潰されても、ツィホーさんが発動しているダメージ軽減の効果で「ちょっと痛い」程度で済むかな?即死を免れて、沼田さんに直してもらえるかな?「攻撃されたダメージ」ではなく、ほぼ自爆だからダメかな?
体重は何トンくらいあるんだろ?50~60トンくらい?空を飛ぶくらいだから、鳥と同じで実はあんまり重くなくて、下敷きになっても潰されずに済むってオチになってくれたら嬉しいな。
念の為に、真田さんに覆い被さり、あとは神様&仏様&運任せにして目をつぶる。
「えいっ!」
ちょっと気の抜けた大きな声が聞こえた。
「・・・・・・・・・・・・あれ?」
ドラゴンが落ちてくる気配が無いので、恐る恐る目を開けて上を見上げる。校舎の2階窓に足をかけた巨大若林さんが屋上に顔を出し、ドラゴンの尻尾をムンズと掴んで僕達への墜落を阻止していた。
「ギリギリセーフだったねぇ~」
立ち上がって、真田さんに手を貸して立たせて、並んで巨大若林さんの顔を見上げる。
「う・・・うん」
「助かったぁ~~」
巨大若林さんが足場にしたせいで、2階の窓が広範囲で割れています。隕石衝突の修理が完了してから数か月しか経っていないのに、また壊れちゃった。でも、僕と真田さんが圧死するよりマシです。若林さん、ありがとうございました。
「トドメだねっ!・・・えいっ!!」
足場(2階窓)から地面に降りた巨大若林さんが、握っていた尻尾を振るって遠心力をかけて、校庭の空いているところにドラゴンを思いっきり叩き付けた!凄まじい轟音が鳴り響き、校舎や周辺の地面が揺れる!
「わぁ~・・・容赦ないね。まぁ容赦できる怪物じゃないけどさ」
地面にへばりついたドラゴンはピクリとも動かない。僕等が顔を半分吹っ飛ばした時点で絶命していたのか、今の一撃で息絶えたのかは解らない。でも、ゲームやアニメなら最強のモンスターに位置付けられるドラゴンの討伐に成功したようだ。
「トモと一緒にやってたゲームだったら、
今の僕はレベルいくつくらいになってんだろ?」
屋上から、そして校庭のあちこちから、「わぁっ!」と歓声が上がる。
ブラークさん、僕等の大金星を拍手してくれてるかな?智人、「やるじゃん」って少しくらいは誉めてくれるかな?異世界から力を貸してくれた2人にもお礼を言わなきゃだね。
10-4・かけがえのない援軍、及び、11-4~12-2のドラゴン戦と智人&ブラークの加勢は、端的に言えば祭り。無くても成立する蛇足ストーリー。だけど、モーソー転移の最終盤なので、「皆の活躍で事態を好転させる」と「力を合わせて強敵を倒す」を描きたかった。




