12-1・最強の伏兵
僕と真田さんが、ドラゴンの注意力を乱す為に突進をする!ドラゴンは僕等を退ける為に前足を振り回す!
「テレパス待機!ブースト発動!」
僕は鋭角的に方向転換をした瞬間に加速をして、ドラゴンの攻撃から逃れる!
「富醒・ピークエクスペリエンス発動!」
真田さんはゾーンに入ってドラゴンの前足の動きを先読みして、身を低くして避けてくれた!
「もう一回!ブースト発動!」
再加速をしてドラゴンの懐に飛び込み、喉に剣を突き立てる!
「固っ!」
切っ先がドラゴンの皮膚を貫通しない!リザードマンから強奪した鈍らなショートソードでは、全く歯が立たない!
ドラゴンは首を持ち上げて、真下の僕目掛けて振り下ろす!
「ヤバい!」
「織田!阿呆の尻拭いだ!!」
藤原くんの指示が飛ぶ!
「尊人っ!下がってっ!!」
櫻花ちゃんの射た矢がドラゴンの背中に突き刺さり、痛みで首を仰け反らせた隙に、僕はドラゴンの射程圏から逃げる!
「浩二!土方!ドラゴンの注意力を分散させろ!」
「任せろ!富醒!アーマーファンブル!!」
「了解!富醒!ファイヤーウインドミル!」
近藤くんがドラゴンの後ろに回り込んで後ろ足に斬撃を入れるけど、掠り傷しか付けられない!ドラゴンが尻尾で近藤くんを退けようとしたところで、土方さんが放った数発の火球が着弾!ドラゴンの動きが僅かに鈍った隙に、近藤くんが退避をする!
「ごめん、助かったよ!」
テレパスが待機中で指示を出せなかったけど、仲間達がフォローに動いてくれた。いきなり、藤原くんに借りを作ってしまった。
「全くもう!格好良さが長続きしないんだから!」
「それが“尊人らしさ”なんだけどね!」
土方さんにチクリと皮肉られ、おーちゃんがフォローをする。え~っと、土方さん、僕のことを「格好いい」って思ってたの?おーちゃん、「僕らしさ」ってなに?
「尊人くん!あたしが隙を作るから次に備えてっ!!」
いつの間にか真田さんがドラゴンの真横に回っていた!気勢を上げて突進!身を低くしてドラゴンが振るった前足を避け、ドラゴンの脇腹にしがみついた!
「真田さんっ!」
真田さんが、ドラゴンの翼を掴んで背中によじ登る!ドラゴンは全身を揺さぶったり、翼を動かして、真田さんを振り落とそうとする!
「わっ!わっ!」
真田さんはドラゴンの背に刺さっている矢を掴んで、必死になってしがみつき続けている!
「早璃ちゃん!」
櫻花ちゃんの射た矢が、ドラゴンの背に突き刺さる!二の矢、三の矢が次々とドラゴンの背に突き刺さる!
ドラゴンは尾を振り上げて、背にいる真田さんに振り下ろした!真田さんは、新しく刺さった矢を掴んで移動をして、ドラゴンの尾を回避!ドラゴンの尾はドラゴン自身に打ち付けられた!
「ありがとう、おうかっち!」
櫻花ちゃんは、ドラゴンにダメージを与える為ではなく、真田さんの逃げ場を作る為に矢を射たのだ。
ドラゴンは身を捩ったり、仰け反ったり、尻尾を振り回して、背にいる真田さんを振り落とすことに意識を集中させている。ドラゴンのヘイトは、真田さんのみに向かっている!
「ブースト待機!テレパス発動!
陽ちゃん、今からチャンスを作るから、巨大若林さんの準備をお願い!」
精神感応で陽ちゃんに指示をしてから、ドラゴンに向けて剣を構える!
「テレパス待機!グレートファールフォース発動!」
ドラゴンが仰け反って腹を見せた瞬間に狙いを定める!
「真田さん!退避してっ!」
「うんっ!」
真田さんが横跳びでドラゴンの背から離脱した!
「わぁぁぁっっっ!ゴッドエクスプロージョン!!行っけぇぇぇっっ!!!!」
切っ先から放たれた渾身の光弾がドラゴンの腹に直撃!ドラゴンは耳を劈くような咆哮を上げる!
「若林さん!今だっっ!!」
ドラゴンの真後ろ、校庭に出現した巨大若林さん(身長15m弱)が、校舎(全高15mくらい)に向かって突進!飛び跳ねて、ドラゴン(全長13m弱)の尾に手を伸ばした!
苦労をした甲斐があった。これで、ドラゴンは屋上から引き摺り下ろされる。知恵と力を結集すれば、ドラゴンにだって勝てる。皆がそう思っていた。
「・・・え?マジ??」
しかし、巨大若林さんに捕まる前に、ドラゴンは翼を広げて、空中に飛び上がる!空から僕等を睨み付けて、耳障りな咆哮を上げた!
「ここまできて・・・そんなあり?」
ドラゴンの口の中から、真っ赤な炎が奇怪な生物みたいに蠢きながら溢れ出している。火を吐くつもりだ。
空に逃げられてしまったら、僕等が攻撃をする手段なんて無い。炎から逃げ回る以外の選択肢なんて無い。伝説の勇者や歴戦の英雄ならともかく、僕等程度ではドラゴンなんて倒せるわけがない。
「え?なに?」
呆然と見上げていたら、空から美しい一本の剣が降ってきた。僕の目の前の床に突き刺さる。刀身には5色の石、柄には透明な石が嵌め込まれ剣だ。
「これって?」
僕を串刺しにするつもりで投げた剣ではない。だってこの剣は・・・ブラークさんの剣だから。
「ブラークさんっ!」
意味も無くブラークさんの剣が降ってくるわけがない。何らかの意図がある?テレパスを発動させて、ブラークさんに呼び掛ける。
〈使え、ミコト!〉
「ブラークさんっ!何処にいるんですか?」
〈事情はモーソーワールドのマスター(喋る光)から聞いている。
俺達がそちらに行くことはできないが、
バグによって発生した小さな穴から魔石剣を送ったのだ!〉
剣の柄を握って、床から引き抜く。今まで振るっていた鈍らショートソードとは格が違うってことは、素人の僕が見ても解る。
「・・・『俺』・・・・・『たち』?」
ブラークさんの言葉には違和感がある。
〈おい、ミコ!ブラークだけじゃない!俺もいるぞ!!〉
それは1年ぶりに聞く声。そして一番聞きたかった声。
「トモっ!」
〈相変わらず俺がいなきゃ何もできないみたいだな。
仕方が無いから、少しだけ手伝ってやるよ〉
僕が果てのバグに捕らわれていた智人を助けたのは無かったこと?相変わらず偉そう。でも久しぶりに声が聞けて嬉しい。
「無事だったんだね、トモっ!!」
〈ドラゴンを打ち落としてやるからさ!あとは、君等で何とかしろよな!〉
「落とすたって、どうやって?」
〈決まってるだろ!俺の一番好きな攻撃で・・・だ!〉
ドラゴンの真上の空、幾つもの黒くて小さい穴が出現する。




