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11-3・真田さんとおーちゃん②

「はぁっ!!」 


 次の瞬間、10mくらい離れた位置から櫻花(おー)ちゃんが放った矢が、デスファントム目掛けて飛ぶ!デスファントムは真田さんへのトドメを中止して、刀を斜めに振って飛んできた矢を叩き落した!

 おーちゃんは直ぐに次矢を弓に番えようとしたが、デスファントムに突進をされて20mくらい後退をする!


「やぁっっ!」


 立ち上がった真田さんがデスファントムに飛び掛かろうとしたけど、デスファントムは大きく刀を薙いで真田さんを寄せ付けない!おーちゃんが離れた位置から次矢を射たけど、刀で弾かれてしまう!


「真田さんの動き・・・おーちゃんの矢・・・

 どっちも完全に見切られちゃってる」


 急増コンビすぎて、連携がまるでできていない。距離を開けすぎているので、おーちゃんは所作から矢の軌道を読まれて、まるで牽制になっていない。


「僕も参戦しなきゃ」


 ツィホーさんから借りた特殊能力では、教頭先生(デスファントム)を殺してしまう。ならば剣で戦うべきか?でも僕にはデスファントムの剣筋が全く見えていない。ゾーン状態の真田さんとは違って、デスファントムの間合いに入った瞬間に斬られてしまいそう。真田さんを守る為には、やはりデスファントムを殺す手段しかないのか?


「尊人くん、心配無用だよ」


 真田さんが僕をチラ見して、軽く微笑んだ。


「尊人、私を信じて」


 離れた位置のおーちゃんが次の矢を弓に番えながら僕を見てから、真田さんに視線を移す。


「それから、早璃ちゃんを信じて!」

「うんっ!あたし達を信じてっ!」


 真田さんが呼吸を整えて魔石ダガーを構え、気勢を発して再び突進をする!しかし、唐竹、斬上、逆胴、刺突、今までと同じように、あらゆる方向から高速で放たれる剣閃を避けるのが精一杯!デスファントムへの接近を許してもらえない!


「富醒!アーチャー発動!!」

 

 おーちゃんが離れた位置から矢を射た!デスファントムは真田さんを退けつつ、矢の飛んでくるタイミングを計る!


「なにっ!?」


 矢はデスファントムの振るう刀で弾かれる直前に軌道を変えて、柄に的中する!


「くっ!」

「やぁっっ!!」


 次の瞬間には、真田さんが踏み込んで、魔石ダガーをデスファントムの刀に力一杯ぶつけた!


「ぐぉぉっ!」


 真田さんお得意の魔力電流だ。魔石ダガーから刀を通ってデスファントムに流れ込む!


「まだまだっ!」


 真田さんがタックルをして、麻痺で全身が硬直したデスファントムを仰向けに倒し、マウントポジションを取って両掌をデスファントムの腹に押し当てた!


「ぎゃぁっ!」


 トドメの魔力電流を喰らったデスファントムは、短く悲鳴を上げたのち、動かなくなった。


「も・・・もしかして殺しちゃった?」


 フードが脱げて露出した顔は、近藤くんが言った通り教頭先生だった。青白い顔で白眼になっている。


「まさか~!

 バラ色のキャンパスライフ手前で、殺人犯になる気は無いからね。

 気絶程度にちゃんと調整したよ」


 デスファントム(教頭先生)の上に座っている真田さんに、櫻花(おー)ちゃんが手を差し出す。


「お疲れ様」

「んっへっへ!おうかっちこそ、お疲れ!」


 真田さんがおーちゃんの手を掴んで立ち上がった。2人を見ていると疑問が湧く。


「あのさ、今のって作戦?

 真田さんは、おーちゃんが矢を柄に中てるのを待っていた?

 作戦立ててる余裕なんて無かったよね?」


 真田さんは、武器同士をぶつけられれば魔力電流を使えたけど、デスファントムの剣さばきが早すぎて、切結びができなかった。でも、デスファントムは柄に矢を中てられた為に、僅かに手が痺れて次への反応がワンテンポ遅れて、真田さんとの切結びをさせられたのだ。


「いや・・・作戦なんて無いよ。

 あたし、言ったよね。『おうかっちが凄いことくらいわかってる』って」

「・・・うん、言ってた」

「ふーみんが『踏み込みやすい配慮して矢を撃っている』って、

 おうかっちのことを褒めてたでしょ」

「うん、褒めてた」

「だからさ、同じようにしてくれるって信じてたの」


 あの時の真田さん、拗ねてると思っていたけど、ちゃんと受け入れていたんだ?


「早璃ちゃんさ、もしかして、矢を2本弾かれたあと、次が本番って解ってた?」

「うん、なんとなく・・・だけどね」


 櫻花(おー)ちゃんが矢を弾き落されたのは、特殊能力を使う前の布石。楽に防御できると思わせて警戒心を低下させ、標的を追尾して必ず中る矢でデスファントムの手元を狙った。ゾーンに入っていた真田さんは、理屈や作戦ではなく本能で、おーちゃんの意図を理解していたのだ。


「ひぇ~~~・・・2人とも凄いや」


 どっちの方が凄いかなんて解らない。お姉ちゃんみたく僕を守り続けてくれたおーちゃんと、僕に勇気をくれる真田さん。両方が頼もしすぎる。 

 もしかして・・・なんだけど、僕って女の子を見る目“だけ”は確かかな?


「あ・・・忘れてた。近藤くん」


 頼もしい女子達に「師弟対決」という絶好の見せ場を奪われた近藤くん、ちょっぴり拗ねてるっぽい。全然活躍していない僕も、少しは拗ねた方がいいのかな?


・

・

・


 藤原のシーンで「らしさ」を全開にしたので、近藤のシーンは「同じ展開にしても面白くない」って理由で真逆にした。完結編を開始した時から総力戦中に早璃と櫻花の共闘を描きたかったけど挟めるシーンが無かったので、「ここでも良いか」と近藤の活躍を奪う展開にしてみた。

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