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11-2・真田さんとおーちゃん①

 僕、よこしまかな?よこしまだよね。

 ずっと好きだった子と、いま好きな子が、目の前にいて一緒に行動をしている。すごく不思議な感覚。こんな切羽詰まった状況なのに、前を走る真田さんと櫻花(おー)ちゃんをボケっと眺めながら追っていた。


「第三の刺客かっ!」


 近藤くんの怒鳴り声で我に返る!


「みな、下がれ!」


 3階に上がった直後、漆黒のローブを着てフードを被った奴が、日本刀を振り上げて飛び掛かってきた!

 先頭の近藤くんが長剣(ツーハンデッドソード)で受け止める!三番目の関門・デスファントムだ!


「ぬぅぅ・・・この太刀筋!」


 数秒の鍔迫り合いの後、近藤くんが力任せに剣で押し返したら、デスファントムは3歩ほど後退をして素早く体勢を立て直す!


「近藤くんの知ってる人なの?」


 ダークファントムが蓮井先生で、シャドウファントムは力石先生だったから、パターン的には「また、教師」なんだろうけど、異世界に行った教師3人のうちの一人・龍造寺先生は、校庭で虜にしたケンタウロスに跨っている。・・・え~と、こう表現すると、なんか、龍造寺先生が卑猥なことをしているような印象になってしまうけど、そ~ゆ~意味じゃないからね。


「奴は村雨だ」

「むらさめって・・・だれ?」

「村雨虎徹(むらさめ こてつ)教頭。

 尊人、母校の教頭先生の名前くらい覚えておきなよ」


 櫻花(おー)ちゃんから冷めたツッコミが入った。 


「あれ?教頭先生って、禿田って名前じゃなかったっけ?」

「それは中学の時の教頭先生。しかも、それはあだ名だよ」


 櫻花(おー)ちゃんから再び冷めたツッコミが入った。 

 

「教頭先生って、そんな名前だったんだ?あたしも知らなかった」


 真田さんも知らなかったらしい。同類がいて良かった。


「こーちゃんが、教頭先生の名前を知ってるなんてチョット意外」

「知っていて当然だ。

 村雨は、俺の剣道の師と言っても過言ではない」


 村雨虎徹(むらさめ こてつ)教頭。剣道部の特別顧問。中学時代から剣道をしていた近藤くんを千幸(せんこう)高校に誘い、全国レベルの選手に鍛え上げ、剣道による推薦入学を斡旋した。

 凄い人っぽいけど、僕的には、たまに全校集会で喋っている名前の知らないお爺ちゃんって印象しかない。ごめんなさい、教頭先生。


「異世界経験者じゃなくても乗っ取られちゃうんだね」


 力石先生や蓮井先生が乗っ取られたのは、異世界を経験して、他の先生よりも戦いに慣れていたからだろうな。教頭先生は、異世界を経験してないけど戦い慣れしてるから選ばれてしまったってことだね。


「ここは俺に任せて、皆は屋上に行け!」

「近藤くん?」


 近藤くんが長剣を正眼で構えながら僕等をチラ見する。近藤くん、メッチャ凄んだ眼と嬉しそうな笑みをして、デスファントム(教頭先生)を睨み付けている。


「真剣を交える良き機会だ」

「はぁ?」

「教頭とは竹刀でしか戦ったことがないからな」

「こーちゃん、なんでそんなにバカなの?

 竹刀でしか戦ったことなくて当たり前でしょ。

 普段から真剣で戦ってたら、とっくに、どっちかが死んでるってば」

「俺はこの戦いで師を超える!」

「・・・全くもう」


 真田さんがため息をついてから前に歩み出る。


「こーちゃんのことだからさ、

 そのうち『一回、先生を斬ってみたかった』とかって物騒なことを言いそう。

 ふーみんのノリに煽られちゃったんでしょ?」

「むぅぅ?」

「殴り合いならともかく、斬り合いはダメだよね」


 呼応して、櫻花(おー)ちゃんが前に歩み出る。


「早璃、織田、なんのつもりだ?」

「脳筋には任せられないってこと!」

「早璃ちゃんに賛成ってこと!」


 真田さんが魔石ダガーを、おーちゃんが弓を構える!


「おうかっち、サポートお願いね!」

「うん!」

「待て、オマエ等!ここは俺がっ!」

「うるさい!こーちゃんは下がっていて!

 富醒!ピークエクスペリエンス発動!!」


 近藤くんの制止を無視して、真田さんがデスファントム(教頭先生)に突進をする!


「やぁぁっ!」


 ゾーンに入った真田さんは、デスファントムが振るった刀を回避!素早く横に回り込むが、デスファントムは体に向きを変えながら横薙ぎを振るったので近付くことができない!さらに、滑らかな足運びで真田さん目掛けて一歩踏み込んだデスファントムが斬上げを放った!「間合いを詰められない」と判断した真田さんは、大きく後退をする!


「さっすが、こーちゃんの師匠!」


 特殊能力を発動している真田さんが全く近付けない。これが、近藤くんが師と仰ぐ剣の達人の実力だ。


「真田さん!無理をしないでっ!」

「下がれ早璃!やはり、ここは俺が!」

「大丈夫!任せてっ!・・・やぁっっ!」


 真田さんが再び突進をする!先ほどは“受けの姿勢”だったデスファントムが、今度は積極的に間合いを詰める!


「初手を交えただけで、早璃を『恐れるに足らず』と判断したようだな」


 デスファントムが袈裟斬りから左斬上の連撃を放ち、真田さんを寄せ付けない!さらに、退こうとした真田さんとの間合いを詰めて刺突を放った!


「やばっ!」


 慌てて更なる後退をした真田さんは、体勢を崩して後ろのめりに倒れて尻もちを付いてしまう!デスファントムが刀を振り上げながら、無防備になった真田さんに踏み込んだ!


「真田さん!避けてっ!!」


 デスファントムの刀が、真田さんの脳天目掛けて振り下ろされる!


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