↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
64/85

11-1・お礼参り

 階段の手前にいたゴブリンが櫻花(おー)ちゃんの矢で射抜かれ、階段上がり口にいたホブゴブリンを、藤原くんが叩き切る!

 1階廊下にいたオーガが、僕等を発見して襲い掛かってきた!


「富醒・アーチャー発動!・・・はぁっ!」


 標的を追尾して必ず中る矢が櫻花(おー)ちゃんの弓から放たれ、オーガの頭を貫いた!動きが鈍ったオーガを尻目に見て2階への階段を上がる! 蹌踉けながら追って来たオーガは、近藤くんに首を飛ばされた!


「あたしの出番無いってば!どうにかしてよ、尊人くん!

 正ヒロインっておうかっちなの?あたしだよね?」

「主人公の僕も出番が無いんだってば!」


 踊り場で折り返して2階に踏み込もうとしたところで、先頭の藤原くんが足を止めた。


「どうしたの?」


 真田さんとおーちゃんが踊り場で足を止め、詰まり気味に踊り場に上がった僕は、藤原くんの向こう側を覗き込む。


「我が名は、シャドウファントム」


 第二関門が待ち構えていたのだ。櫻花(おー)ちゃんがシャドウファントム目掛けて矢を射たけど、剣で楽々と弾かれてしまう。


「・・・あの剣」

「尊人くん、あれって・・・」


 シャドウファントムの握っている剣には見覚えがある。僕が最も使い慣れた剣だ。真田さんも気付いたみたい。


「富醒・アーチャー発動!」 

「待て、織田!あれは撃つな!」


 おーちゃんが必中の矢を発動させようとしたけど、藤原くんが止める。


「藤原くんも気付いたんだね」

「ああ、アイツの長剣は、オマエが形見にしてたもんだよな?」

「・・・うん」


 異世界転移時に支給された剣より長剣だけど、細身で片手でも両手でも使える剣。鞘と柄に立派な装飾があって綺麗な形をしている。


「力石先生の剣だよ!」


 ダークファントムが蓮井先生だったように・・・ここには、僕等への嫌がらせのような関門が配置されている。


「おもしれー!」


 藤原くんが正面で右拳と左手の平を打ち鳴らしてから、2階へと上がる。


「ここからは、先頭が浩二で、最後尾は尊人で進め」

「え?藤原くんは?」

「へへっ!『ここは俺に任せて先に行け』ってやつだ!

 一回、センコーをぶん殴ってみたかったんだよな!

 世界を救うって大義名分込みでできるなんて、最高じゃねーか!」


 藤原くん、メッチャ凄んだ眼と嬉しそうな笑みをして、シャドウファントムを睨み付けている。「頼れる兄貴分」とは別のスイッチが入っちゃったみたい。


「こーゆーの、お礼参りっていうんだよな?

 昭和から平成前半の古き良き時代、

 アンタがガキの頃には許されていたんだろ?

 卒業式の前・・・いいタイミングだ!」

「古き良き時代でも許されてないと思うんだけど・・・」

「・・・てか、お礼参りって卒業式の後でするんじゃないの?

 尊人くんはどう思う?」

「そーゆー物騒なのを遠ざけてきた僕に聞かないで」


 お父さんから聞いたことがある。昔は、すっごい悪いことをしたならともかく、ちょっと反発しただけでも先生に殴られるのは当たり前だったらしい。懐かしのテレビドラマ特集で見たことがある。風紀が乱れた学校では、生徒が学校のガラスを割ったり、先生を殴ることもあったらしい。


「オメー等は先に行って屋上で待機してろ!

 俺がコイツ(シャドウファントム)を伸して、

 尊人への特殊能力貸し出しを強要する!」

「なんかもう、言ってることが恐喝じゃん」


 藤原くんが腰ベルトに下げられた剣(グラディウス)を外して床に置き、シャドウファントムに拳を向ける。


「互いに殺人犯にはなりたくねーだろ!

 こっちでやろうぜ、力石!」


 シャドウファントム(力石先生)が、被っていたフードを取り払い、剣を床に投げ捨て、両拳を構えた!

 2年生のクラス替え直後、恐い力石先生が僕等のクラスの担任になった理由は、問題児の藤原くんを抑える為って噂があった。藤原くんは良い人だし、力石先生は良い教師だけど、僕では気付けない因縁があったのかもしれない。


「い・・・いいだろう」


 力石先生、少なからず意識がある?乗っ取られているけど、強い意志を発して抵抗している?


「お・・・俺も生徒を殴ってみたかった」 


 え~と、力石先生?口答えをする遠藤くん&加藤くん、お化粧をして学校にくる前田さんあたりには頻繁にゲンコツをしてましたよね。僕も上の空になっていて2~3回は小突かれたことあります。あれは「殴る」には含まれていなかったんですか?


「さぁ、行け!」


 藤原くんが力石先生に突進!お礼参り(?)が始まった!藤原くんの右ストレートを力石先生が左手で弾き、力石先生の横蹴りを藤原くんが腕で受け止める!


「行くぞ、オマエ等!」


 後任を託された近藤くんが先頭になって3階への階段を上がる。真田さんと櫻花(おー)ちゃんが後から続く。最後尾を割り当てられた僕も階段を上がろうとしたけど、後ろ髪を引かれる思いで振り返る。


「勝ってね、藤原くん!」

「当然だ!」


 力石先生から離れた藤原くんが油断無く構えながら、僕の方をチラ見する。


「尊人、オマエがやるべきこと、解っているよな!?」

「うん」


 ミッションは、僕の特殊能力でレンタルしたリターンを発動させて、屋上にある黒い塊を現実世界から排除すること。でも、藤原くんが言う「僕がやるべきこと」はそれではない。


「真田さんを守る・・・でしょ」

「アホ!50点!

 現状では早璃だけじゃなくて“織田も”だ!

 二度と失いたくないんだろ?」

「・・・うん」

「喪失の罪悪感で迷って、オマエの答えを見失わないようにな!」

「うんっ!」


 藤原くんを激励したかったのに、僕が激励されちゃった。力石先生が所持する“リターン”の獲得を藤原くんに託し、3階への階段を駆け上がる。


・

・

・


 藤原は、尊人の兄貴分的な立ち位置で描いても楽しいんだけど、尊人とは別の価値観が発揮される時の方が活き活きとして描き甲斐がある。正当な兄貴分役はブラークが担っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。