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10-5・突入

 「・・・みんなっ!」


 沼田縫愛さん、我田我歌さん、輪島輪珠さん、菅原涼華さん、和田和果穂さん、皆が勇気を奮って持てる力を発揮して戦っている。


「みこっちゃん!」


 陽ちゃんが寄ってきた。


「特殊能力、発動してみて」

「ん?急になに?」


 沼田さんのヒール、土方さんのウインドミル、鷲尾くんのアジリティ、本来の持ち主が使っているんだから、レンタル中の手札がゼロってことくらいは確認しなくても解る。


「一応、補填はしといたよ」


 促されて特殊能力を発動したら「GREAT FORL FORCE」の文字が書かれたカードが出現した。


「これってツィホーさんの?」

「うん、提供してもらった」


 自己顕示欲の強いツィホーさんが攻撃系の特殊能力を貸してくれた?


「ツィホーさんにはダメージを1割に軽減する特殊能力を使ってもらってる。

 決起した皆を守る為にね」


 陽ちゃんがツィホーさんを説得してくれたらしい。つまり、戦闘中はずっとダメージ軽減スキルを発動したままになる。その結果、攻撃系の特殊能力を使う機会が無くなり、僕に貸し出されたのだ。


「こっちは僕等に任せてもらうよ!みこっちゃん達は屋上に行って!」


 想定外すぎる展開だけど、ここは陽ちゃん達に任せておけば何とかなりそうだ。


「尊人っ!」


 武藤さんから聞いて状況を理解した藤原くんと近藤くんが駆け寄ってきた。


「俺等は屋上に行くぞ!」

「うんっ!」

「急ごうっ!」


 真田さんは当然のように「自分も頭数に入っている」を前提にして答える。ここまでは「いつものこと」なので想定内。どうせ、ダメと言っても「ジェンダーレス」と言いながら付いてくる。


「私も行くよ!」


 ここからは想定外。一緒にいた櫻花(おー)ちゃんまでが「同行する」と言い出したのだ。 


「え?なんでおーちゃんまで?」 

「私の知らない“逞しくなった尊人”の姿を見たいからね」


 おーちゃんんい言われると恐縮してしまう。


「まさか、私だけ抜けものなんて言わないでよね」

「どうする、尊人くん?」


 真田さんはちょっと困惑してる。


「・・・・・・」


 おーちゃん、メッチャ強い。たった3本の矢でミノタウロスを退けた。異世界では「美しき弓使い・オウカ」って呼ばれてたらしい。

 真田さんは「OK」でおーちゃんは「ダメ」の理由なんて思い浮かばない。


「ハッキリしろよな、尊人!

 隊列は、俺が先頭で、早璃、織田、尊人の順に続いて、最後尾は浩二だ!」


 僕がモゴモゴしてたら、藤原くんが先に許可を出した。


「遠距離攻撃タイプの織田は、モンスターに出くわしたら、

 真ん中から、前後両方を攻撃しろ!

 尊人は、屋上に到着するまでは、早璃と織田を守れ!」

「うん!」

「あたしは守られなくても大丈夫!」

「うるせー!俺を巻き込むな!

 文句があるなら、終わってからオマエ等だけで揉めてくれ!

 今は中坊の“意地”に構ってる余裕なんてねーんだよ!」


 生徒玄関までは50m程度!藤原くんを先頭にして駆ける!校舎内に入ったら、ホブゴブリン1人とゴブリン2人が待ち構えていた!


「押し通る!」

「一匹はあたしが!」


 先頭の藤原くんと2番手の真田さんが武器を構えて突進をする!


「任せてっ!」


 3番手の櫻花(おー)ちゃんが駆けながら3矢同時に射て、ホブゴブリン1人とゴブリン2人を打ち抜く!ゴブリン2人は卒倒して、まだ息のあるホブゴブリンは藤原くんが蹴散らした!


「後からも来たぞ!」


 リザードマン2人が追いかけてきた!僕と近藤くんが、迎撃の為に足を止めようとする!


「はぁっ!」


 おーちゃんが振り返りながら2矢を同時に射て、リザードマン2人を打ち抜いた!近藤くんが体勢を崩したリザードマン2人を両断する!


「ひぇ~~・・・おーちゃんと藤原くんと近藤くん、メッチャ息が合ってる」

「あたしの出番無いじゃん!」

「僕の出番もありません」


 僕と真田さん抜きで屋上に行けちゃいそうだ。


「息が合っているわけじゃねーよ!

 織田は、俺等の動きとモンスターの位置を瞬時に洞察して隙間を見付け、

 しかも、俺や浩二が踏み込みやすいタイミングで矢を撃っている!

 すんげー配慮ってやつだ!根性だけが取り柄の早璃とは別次元だな!

 こりゃ、まともにやりあったら惨敗決定だ!」

「うるさい!櫻花(おうかっち)が凄いことくらい、前からわかってるもん!

 ねぇ、尊人くんっ!」

「・・・なんで、そこで僕に話を振る?」


 櫻花(おー)ちゃんの凄さはもちろん解っていますが、ここはあえてノーコメントで通させてください。でもね、僕は「根性だけが取り柄の真田さん」から、たくさんの元気をもらっています。恥ずかしくれ言えないけどさ。

 ファントム3人は、モーソーワールドの東の果てを目指そうとする冒険者を通さない為の障害。他方角には別の名前の障害が存在している。智人に倒されてファントムは空席となった。

 尊人達がバクを解消する為に東の果てを目指したので、バグに集まった思念が尊人達を妨害する目的でファントムを操り、更に智人の仲間3人に憑依をしてファントムの空席を埋めた。今回出現したファントムも同じで、バグに集まった思念が尊人達を妨害するために出現をさせている。要は、三関門ファントムはバグの支配下に落ちている。

 本文中で説明をしたいんだけど、これは尊人視点では把握できないこと。尊人達は「よく解らないんだけど倒さなきゃならない」のスタンスで通すしかない。

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