↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
58/85

9-5・ツィホー参戦

 異世界のモンスターが無造作に出現する“バグの干渉域”で、簡単に目的地まで行けるなんて予想していない。屋上から降ってきたゴブリン10人が僕等に向かって来た。


「はぁぁっっっ!」 「ぬおぉぉぉっっ!」 


 藤原くんと近藤くんがペースを上げて先行!藤原くんは3人、近藤くんは4人、瞬く間にゴブリンを蹴散らした!


「たぁぁっっっ!」 「わぁぁっっっ!」 「やぁぁっっ!」


 残る3人のゴブリンは、楠木くんと僕と真田さんが飛び掛かる!

 武器が使い慣れた先生の剣じゃなくて小さい斧なので少し不安だったけど、シールドアタックのコンボで簡単に倒せた。それなりに経験値を積んだからね。ちゃんと装備をしていれば、ゴブリンくらいなら労せずに倒せそうだ。


「サリ!ここは俺に任せて君は下がっていろ!!

 うぉぉっっ!!ゴッドエクスプロージョン!!」


 背後から威勢の良い声が聞こえて、真田さんは特にピンチに陥ってないのに、ツィホーさんが颯爽と飛び込んできて、真田さんが対峙していたゴブリンに光弾をぶつけて瞬殺する。ゴブリン相手に今の技は要らないよね?超オーバーキルだよね?


「ミコト殿!俺を忘れてもらっては困ります!

 どこまでもお供させていただきますぞ!」

「ツィホーさん、ありがとうございます」


 ごめんなさい。ツィホーさんのこと、スッカリ忘れていました。


「あたしの出番、無いじゃん!」


 危機一髪じゃなかったのに救われた真田さんは不満そうだ。


「これで終わりなら、睦姫達も連れてくるっての!

 オマエの出番はある!安心して気を引き締めろ!」


 藤原くんの“檄”で、ツィホーさん乱入のせいで弛みかけた気持ちを引き締めなおす。

 屋上の力石先生達は、黒い塊(ゲート)に近付けていない。屋上に近付くほど、モンスターの妨害が多くなるのだろう。


「ここから先は・・・」


 今の戦闘は、校舎とプレハブと高い塀のおかげで、敷地外の生徒達からは見られずに済んだ。でも、ここからは、少なからず敷地外から見えてしまう。


「生徒玄関に突入・・・と言いたいところだが、

 正門で足止めされてる奴等から丸見えになっちまう」

「・・・だよね」


 生徒全員が締め出されているはずの敷地内を僕等が闊歩していたら、櫻花(おー)ちゃんや他の生徒達、足止めしてる先生やお巡りさん、皆が驚くだろう。

 皆の記憶は消してもらうつもりだけど、現時点がパニックになるのは避けたい。


「窓を叩き割って、教室内に潜入するしかねーか」

「不良生徒のふーみんやこーちゃんなら有りだね」

「俺はヤンキーじゃねーよ!」

 

 器物破損はしたくないけど、皆から丸見えになるよりはマシ・・・だよね。


「んっへっへっへっへ!アタシに任せてっ!」


 声がしたので振り返ったら、最後尾に由井さんがいた。


「由井さん?」 「ゆいゆい、なんでここに?」

「なんか面白そーなことしてたから付いてきちゃったぁ!

 秘密の抜け穴作っとくなんてやるぢゃん!」

「あの・・・由井さんも記憶戻ったの?」

「ぅん!源(ミナ)ちゃんのせいで忘れてたけど、全部思い出したよ!」

「なら、特殊能力も?」

「モチロン!」


 特殊能力を発揮中の由井さんに触れていれば、周りからは認識されなくなる。堂々と校舎の正面に回って、生徒玄関から突入できるのだ。


「由井さん!お願いね!」

「んっへっへ!任せてっ!」


 僕&真田さん&藤原くん&近藤くん&楠木くん&ツィホーさん、計6人分の存在感を消さなきゃなので、ちょっと不安はあるけど・・・。


「サリ・・・頼みがあるのだが」


 潜入手段が決まったところで、ツィホーさんが真田さんの隣に立って話し掛けた。


「君に預かってもらいたい物がある」


 ツィホーさんが、右人差し指にはめていた指輪を外して、真田さんに渡す。確かツィホーさんのお母さん(転移者)が「どんな困難に遭遇しても、ちょっと頑張れば都合良くなんとかなる」って願いを込めて渡してくれた指輪だよね?


「戦場で失くしたら困る。サリが持っていてくれないか?」


 え!?このタイミングで大事な指輪を真田さんに渡すの?なんか、こーゆーの見たことある。解りやすい死亡フラグだよね。


「なんであたし?」

「俺はサリを愛している。だから持っていてほしいのだ」


 藤原くんがメッチャ冷めた表情で、「黙認か?」「勝手なことさせてんな」「なんとかしろ」と目で訴えてきた。


「う、うん・・・わかってる」


 言うまでもなく、こんな告白タイムを聞き流すつもりは無い。

 ツィホーさんに死亡フラグが立つのは困るけど、真田さんの死亡フラグだったら絶対に阻止しなきゃならない。ツィホーさんには申し訳ないけど、「俺の女に言い寄るな!」って態度で接して、指輪は差し戻していただこうと思います。


「ごめんなさい。要らないです」


 僕が「テメー何様のつもりだ!?」感を出そうと思ったのに、真田さんが即答でツィホーさんを拒否した。


「な、なにゆえっ!」


 真田さんは、ツィホーさんから視線を外して、僕をチラ見する。


「なんとも思ってない人からそんなのもらっても困るから・・・」


 嗚呼・・・死亡フラグじゃなくて、失恋フラグだったみたいです。ツィホーさんガッカリしてるけど、その様子を見て安心する根性無しの僕がいます。


「藤原くんの期待に応えられませんでした」

「・・・たく、情けねーな。オメーがシッカリしねーのが原因だぞ」


 申し訳ありません。ぐぅの音も出ません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。