↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/85

8-3・トモロー救出作戦

「トモっ!!」


 反応が無い。死んでるわけじゃないよね?意識を失ってるだけだよね?


「今、助けるから!」

「尊人くん!」 「尊人っ!」


 真っ暗闇の中に飛び込もうとしたら、真田さんに腕を、藤原くんに肩を掴まれて止められた。


「尊人くん、落ち着いて!」

「考え無しに突っ込んだら、オマエもアイツみたくなっちまうんじゃねーのか?」

「・・・う、うん」


 僕等の立つ場所から、真っ暗闇に浮かんでいる智人(トモ)までは、5mくらいの距離がある。助走を付けて飛び込めば届くだろうけど、その後どうなるかは解らない。多分、智人(トモ)みたく意識を失って浮かんじゃうんだろうな。


「バグを解消するには、徳川(チート)君をこっちに引っ張り込まなきゃならない。

 それは決定事項なんだからさ、どうやって成功させるかを冷静に考えようよ」

「・・・ごめん」


 陽ちゃんが諭すように話して、気持ちを落ち着けてくれる。 


「アホっ!『ミイラ取りがミイラになる』の典型だぞ!」

「申し訳ありません」


 武藤さんに怒られて頭を小突かれた。そりゃそうだよね。


「先ずは、外側が何なのかを調べるべきだ」


 ブラークさんが道具袋から小物を取り出して真っ暗闇に向かって投げた。小物は見えない壁に弾き返されて、こっち側に戻ってくる。続けて、真っ暗闇に向かって剣を突き出してみた。剣先の真っ暗闇に入った部分はパチパチと小さいスパークを発している。


「なるほどな」

「トモを助ける方法が解ったんですか?」

「急くな。そこまでは、まだ思案していない。

 “外側”の状況を把握できただけだ。

 オマエ等も武器の先端を“外側”に出してみろ」


 ブラークさんに言われた通り、恐る恐る武器の先を真っ暗闇に入れてみる。


「ありゃ?軽い?」


 武器が軽く感じられる。・・・てか、武器の真っ暗闇側に入ってる部分が「無い」と錯覚しそうになる。


「外側には重力も無いってことですか?」

「らしいな」


 ブラークさんが僕の質問に頷く。


「正真正銘の“無”。有るはずが無い場所。

 モーソーワールドの物質は拒否をするが、

 転移者の侵入を想定していない空間」


 転移者が身に付けているものは、転移者と同等の扱いになるらしい。


「なんで、そんな場所があるの?」


 当然、誰一人、答えらるわけがない。「喋る光の管理ミス」としか言いようがない。


「やれやれ、だいぶ面倒臭そうだな。

 次に確認すんのは、ナマモノが踏み込んだらどうなるか・・・だろ?」


 藤原くんが前に出て、真っ暗闇ギリギリに境界に立つ。


「ブラーク、尊人、後から俺を引っ張っとけ」

「承知した」


 藤原くんが何をする気か解らないんだけど、ブラークさんが藤原くんの鎧の後ろ襟を掴んだので、僕は上着の背中側を掴む。


「なにすんの?」

「こうするんだ」

「えっ?えっ?」


 藤原くんが真っ暗闇に向かって前のめりに倒れた。僕とブラークさんに引っ張られて、上半身を真っ暗闇に突っ込んで・・・1・・・2・・・3・・・4・・・5秒、藤原くんの全身から力が抜ける。


「ミコト!引っ張り戻せっ!」

「はいっ!」


 真っ暗闇から引っ張り出した藤原くんは、意識を失っていた。


・

・

・


 数分後、意識を取り戻した藤原くんに感想を発表してもらう。


「ヤベーぞ。入った直後から意識が朦朧とした」

「多分、5秒くらいで気絶しちゃったよ」

「体力のあるフミヤでも5秒が限界か」

「あたし達が5秒以上保つのは難しいだろうね」

「チート君、なにも調査をせずに、いきなり踏み込んじゃったんだろうな」


 智人(トモ)が「誰もやらないことに挑戦する」と息巻いて“果て”の“外側”に飛び込んだ直後に失神をするマヌケな光景を想像する。


「誰か、他にも試したい奴はいるか?」


 ブラークさんが質問をするけど、気絶体験なんてしたくないので、誰も挙手をしない。


「フミヤよりも体力が劣る者のデータも欲しかったのだが無理強いはできんな」

「あの・・・試すのはイヤですけど、僕が行きます」


 これ以上は誰も試す必要なんて無い。無重力の所為で、ロープを投げても引っ掛からない。誰かが飛び込んでトモを助けるしかない。


「意識を失った僕を、そのまま放置するのはやめてね」


 鎧を脱いで身を軽くしてから、道具袋からロープを引っ張り出して腰に縛り付け、もう一端を藤原くんに預ける。


「意地でもトモを掴むから、引っ張ってね」

「任せろ」


 智人(トモ)のところまで行けても、こっちに戻る手段は無い。だから、仲間達を信じて託す。

 まぁ、一番の不安は「仲間が綱引きをしてくれるかどうか?」ではなく、「走り幅跳びで智人(トモ)のところまで行けるかどうか?」なんだけどさ。


「じゃ、お願いね」


 “外側”との境界から20mくらい離れて、スタンディングスタートの姿勢になり、心の中で「位置について、よーい」と叫ぶ。


「わぁぁっっっ!」


 気合を発し、トモに向かってスタート!


「尊人くんっ!」

「へ?・・・・ぐわぁぁ!!」


 スタート直後に腰に巻かれたロープを引っ張られて転倒!なに、このお約束な展開?


「誰っ!今はボケで笑いを取る時じゃないってば!」


 ロープを引いて妨害したのは真田さんだった。陽ちゃんとブラークさんは呆れ顔で、藤原くんはドン引き顔、武藤さんは笑いを堪えている。


「尊人くん、右手と右足が同時に出ちゃってる!緊張しすぎ!

 それじゃ5mも飛べないよっ!」

「ア・・・アドバイス、ありがとう」


 ボケていたのは、真田さんじゃなくて僕だったみたい。でも次からは、もう少し優しくツッコミを入れていただけると助かります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。