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5-4・ブレイブスター

 枝葉を掻き分けながら狭い道を上って城を目指す。先頭がツィホーさんで、武藤さん、真田さんを背負った僕、陽ちゃんが続いて、最後尾の藤原くんが背後を警戒する。


「ねぇ、みこっちゃん」


 直ぐ後を歩いている陽ちゃんが話しかけてきた。


「みこっちゃんってさ、ブラークさんの特殊能力を借りたことがあったよね?」


 ブラークさんの特殊能力・マジックソードは、チート維新(?)で智人トモに勝つ為の切り札になった。ブラークさんは僕等より前に異世界に転移した人で、僕等と同じように特殊能力を所持していたので、僕の特殊能力でレンタルできたのだ。


「2世の特殊能力もレンタルできるのかな?」

「ああ・・・なるほど」


 陽ちゃんの言いたいことが解った。

 ツィホーさんの両親は異世界に転移した人。ツィホーさんの「グレートファールフォース」も特殊能力っぽいから、今後の作戦立案の為に、僕がレンタルできるかどうかを確認しておきたいんだね。


「ねぇ、ツィホーさん」


 少し声を張って、先頭を歩くツィホーさんを呼び止める。


「ツィホーさんの特殊能力・・・え~と、富醒ふせい

 “僕に貸す”ってイメージしてもらって良いですか?

 借りても直ぐに返しますから」

「なにゆえ?借りるとは?」


 ツィホーさん、困惑している。そりゃそうだよね。今のは僕の説明が足りなすぎる。でも、どうやって説明すれば解ってもらえるんだろう?ツィホーさんの特殊能力を借りて実演するのが手っ取り早いんだけど、それじゃ本末転倒だよね。


「あとから説明をするから、尊人くんを信じて貸すイメージをしてください」

「承知した!サリがそこまで言うのなら、応じないわけにはいくまい。

 『ミコト殿に貸す』をイメージすれば良いのだな」

「・・・・・うわぁ」


 背中にいる真田さんがお願いしたら、直ぐに応じてくれた。


「富醒発動!レンタル!!」


 正面にカード化されたレンタル中の特殊能力が並ぶ。借りっぱなしのリターン、ウインドミル、ファンブル、アジリティ、ヒール、そして“GREAT FORL FORCE”と書かれたカードと“REDUCTION”と書かれたカード。


「あれ?2個ある。なんで?」


 グレートファール=偉大な反則はツィホーさんの特殊能力だけど、リダクション=軽減ってなに?


「仲間達の受けるダメージを1/10に軽減する富醒(特殊能力)だ。

 使い勝手が悪くてな、グレートファールの獲得以降は使っていない」


 使い勝手、メッチャ良いでしょ。そう言えば、過去の仲間達とロクにコミュニケーションを取ってなかった所為で、ダメージを軽減していることに気付いてもらえなくて、役立たず扱いされてパーティーから追い出されたんだっけ?


「・・・ってゆーか、なんで特殊能力能力が2個も?」

「それはおそらく・・・」


 ツィホーさんが右人差し指にはめた指輪を見せてくれる。


「冒険者となって旅立つ時に、ママがくれた指輪だ。

 『どんな困難に遭遇しても、ちょっと頑張れば都合良くなんとかなる』という

 願いが込めてあるらしい」


 ツィホーさんのお母さんは秘境者。アイテム合成系の特殊能力を使える人なのかな?


「俺は、ママのおかげで、グレートファールフォースに目覚めたと思っている」


 リダクションがツィホーさんの本来の特殊能力で、ファールはお母さんに借りた力のおかげで発現した特殊能力ってことかな?「なんかズルくね?」と言うか「御都合主義すぎね?」と思う反面、羨ましく感じる。 


「リダクションはミコト殿にお貸ししよう」

「え?良いんですか?」

「俺には派手な活躍を魅せられるグレートファールフォースがある。

 グレートファールフォースとリダクションの同時使用はできないし、

 どのみち、そんな地味な能力など、使う気は無い」

「なら、是非貸してください!」

「術者本人のダメージ軽減はできないポンコツだぞ」


 価値観の違いだね。この能力のどこがポンコツなの?僕的には、派手な特殊能力より、みんなを守れる特殊能力の方がありがたい。

 本来の持ち主が発動させれば、ダメージが1/10に軽減、有効範囲は仲間全部。僕が発動させたら使用制限がかかって、ダメージ軽減が1/3くらいで、有効範囲は狭くなっちゃうんだろうけどね。



 ダークファントムの城に到着。城門の前に、黒いローブを纏った3人の女性が「私達は門番です」「倒さなければ先には進めないよ」的な表情をして立っている。


「私はダーク四天王の1人、ダークプリティー!」

「同じくダーク四天王のダークラブリーです!」

「うふふっ!ダークセクシーよ!」


 可愛らしい門番さんと、真田さんより子供っぽい門番さんと、武藤さんよりも大人っぽい門番さんだ。「名乗りがバカみたい」とか「四天王なのに3人しか居ない」等々を追及したいんだけど、とりあえず問題点はそこじゃないっぽい。


「ぬぉぉぉっっっ!!?セフィレ!セイドール!ショーフ!

 何故、君達がダークファントムの配下に!?」


 ツィホーさんの恋人さん達、生きていたけど、敵に寝返った、もしくは、洗脳されてしまったらしい。

 ちょっとヤバい。僕、搦め手から攻められるのは苦手。



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