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4-4・再び異世界へ

「じゃあ・・・やるよ」


 腹を括って念じたら、喋る光から託された小さな光が目の前に出現する。


「手順はこれでいいのかな?」


 喋る光は、僕に異世界行のスイッチを渡した理由を「起動すれば解る」と言っていた。定員が5人の理由も「スイッチを起動すれば解る」と言っていた。


「異世界への扉を開けてください」


 意思表示をした途端に、小さい光が拡散して、粒子となって僕の体に纏わりついた。


  『富醒フセイの発動が可能になりました』

「えっ!?」


 てっきり、異世界と繋がるトンネルみたいなのが出現すると思ってたのに違った。喋る光が試作した特例ってのは、現実世界で特殊能力を使えるようになるってこと?でも、それと、異世界行をどう繋げればいいの?


「尊人くん、やってみて」

「・・・う、うん」


 この状況で次にすることは特殊能力発動の一択しか無いんだろうけど、それで異世界の扉が開くとは思えない。


「富醒発動・レンタル!・・・・・え?」


 発動した途端に何となく理解できた。僕の目の前には複数枚のカードが表示されている。リターン、アーマーファンブル、ファイアウインドミル、アジリティ、ヒール、そして藤原くんのルーラーと、真田さんのピークエクスペリエンス、最終決戦後の状態が維持されていた。

 ブラークさんのマジックソードだけが無くなってるのは、ブラークさんが返却を希望したからだね。


「みこっちゃん、ここは一択だよね?」

「うん」


 僕、鈍感な部類だと思うけど、「この状況で次に何をするか」くらいは、さすがにわかる。これで違ったら、想像の斜め上を行きすぎでしょ。喋る光に「もう少しちゃんとしてくれ」と文句を言ってやる。


「リターン選択!・・・発動!」


 僕達の目の前に直径が2mより少し大きいくらいの半円の光の穴が出現した。6人が一塊になって通れるくらいかな?本来は、異世界から現実に帰る特殊能力だけど、特例で逆流できるって解釈でいいんだよね?

 ツィホーさんを現実世界に置いていくなら、もう一人くらいは仲間を選抜できるけど、邪魔なので帰ってもらいます。


 真田さんが「いつも通り」って感じに僕の右腕にしがみつく。左側にはツィホーさんが寄り添った。


「頼みましたぞ!神子ミコト殿!!」


 ツィホーさんの左に吉見くん、真田さんの右に武藤さん、武藤さんの右側に少し恥ずかしそうにして藤原くんが寄り添う。


「なんで右隣がツィホーさん?」


 両脇を女の子で固めたいって下心があるわけじゃないけどさ、ツィホーさんに密着されるのは、なんか違う気がする。左隣は吉見くんか藤原くんで、ツィホーさんは一番端っこじゃね?


「行くよっ!いっせーのーせっ!」


 掛け声で足並みを揃えて異世界への入り口に突入。周りが真っ白になる。


〈辿り着く場所は、キミが現実世界に帰る直前に居た場所だ〉


 喋る光の声が聞こえた。


「え?それって・・・」


 なんか、嫌な予感しかしない。



 次の瞬間、僕達は偉そうな人がいっぱいいる広くて豪華な部屋の真ん中に立っていた。僕が異世界で最後にいた場所=智人トモとの最終決戦地=帝都にある帝城の謁見の間だ。


「おおっ!この重み、懐かしいな」


 身なりは私服ではなく紅い腹当の鎧に変わっていて、背には先生の剣を背負っている。真田さんは銀の胸当てと魔石ダガーと大きいナイフを装備している。吉見くんは僕と同じタイプの鎧、武藤さんは紅い当世具足と下り藤の旗竿を、藤原くんは革の胸当てと刀身が短い幅広剣グラディウスを装備している。


「・・・・・・・・・・」


 正面の玉座に座ってる見知らぬ人が、チート維新(?)後の王様かな?帝皇様だっけ?周りにいるたくさんの人は、大臣とか騎士様の隊長クラス?みんな、驚いた表情をして、突然出現した僕達を眺めている。


「ヤバくね?」

「ヤバいよね」

「スッゲー場違いだな」


 不審人物として捕らえられて、そのまま処刑台送りになったらどうしよう?命は担保されてるけど、直ぐに処刑されちゃったら、「貴重な1回の特例を使って、いったい何をしに来たの?」ってことになってしまう。


「おおっ!誰か思うたら、ムツキと舎弟共か!」


 僕等を知ってる人がいる?「助かった」と思って声のする方に振り返ったら、上府剛太郎さんが寄ってきた。 相変わらず中世ヨーロッパの世界観にはそぐわない任侠っぽい人の格好をしている。


「ゴウパパか!?」


 自称・愛人の武藤さんが真っ先に寄って行って、ゴウちゃんさんと手を取り合う。


「ミコト様、サリ様、お久しゅうございます」

「お元気そうで何よりですわ」


 他方から懐かしい声がしたので振り返ったら、豪華なドレスを着た女性達が寄ってくる。片方はそうでもないけど、もう片方は走るたびに大きな胸が揺れている。シリーガルさんとバクニーさんだ。真田さんが寄って行って再会を喜ぶ。


「シリーガルさん!バクニーちゃん!久しぶりっ!」


 金髪と銀髪の同じ顔をした男性が一緒にいる。確か、金髪がバクニーさんをお嫁さんにして北都市ノスを継いで、銀髪はシリーガルさんのお婿さんになって西都市セイの公爵になったんだよね。名前はロズさんとバウラーさん。金髪と銀髪の、どっちがロズさんで、どっちがバウラーさんかは忘れちゃったけど。


「と、とりあえず、不審者扱いされて、いきなり惨殺される展開は免れたかな?」


 助かったけど、なんで帝城に南都市サウザンの大商人やノス公やセイ公がいるの?重大な会議をしていた?


「まさか、ムツキ達が世界を救う英雄として召喚されるとは思わなかったぞ!」


 ん?えいゆうとしてしょうかん?なんか、ゴウちゃんさんから意味不明な単語が飛び出したぞ。なにそれ、美味しいの?


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