↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
23/31

4-2・原因

〈モーソーワールドを生き抜いたキミ達がこの場に集まった奇縁、

 何らかの宿命に導かれた結果かもしれんな。

 再びモーソーワールドに赴いて、不具合の原因を取り除いてくれ〉

「ただの偶然です!」

「都合良く宿命扱いしないでください!」

「俺は途中で脱落した!生き抜いてねーぞ!」

「アンタ、異世界の管理人だろ?自分で何とかしろよ!」


 みんな文句を言ってる。まぁ、当然だろうな。僕も文句しか思い付かない。


〈ボクは結果を見守る存在だ。モーソーワールドに直接介入はしない〉

「バグが起きてるのに放置するってこと?」

〈そういうことだ〉

「無能!」

「無責任!」

「クソバカ!」

「役立たず!」

〈あえて受け入れよう。

 モーソーワールドの不具合が原因でリアルワールドが滅びたとしても、

 ボクは実験の結果として受け入れるだけ。

 止めるかどうかはキミ等次第だ〉


 なんか、上から目線で「大人の対応」みたいな素振を見せてるけど、要は僕等に丸投げってことだ。酷いよ。


「す、少し状況を整理しようか」


 異世界で異常が発生したせいで現実世界にモンスターが出現しているんだけど、管理人にはその場しのぎの処理しかする気が無いから、現実世界がぶっ壊れるのが嫌なら、僕等で何とかしろ。・・・以上!


〈今回は特例としてモーソーワールドで命を落としても、

 リアルワールドでは影響が無いように処理をする。

 前回と同様に、キミ等がモーソーワールドにいる間は、

 リアルワールドの時間は進まないように配慮もする。

 相応の報酬も用意しよう。

 無事に解消してくれれば、どんな願いでも1つ叶える。

 条件はこれでどうかな?〉


 前回は51人の転移に対して1つの願いだったので、今回は破格の好待遇だ。要は、それくらいヤバいってことなんだろうね。


「はぁ?人にものを頼んでおいてそれだけかよ?

 オメー、私等を舐めてんのか?

 叶えられる願いは、1人1つ、合計で5個だろ!」

〈バ、バカなことを言うな〉

「だったら願いは決まっている!

 私達5人で『テメーを撲殺』だ!」

〈わ、わかった・・・願いは1人1つにしよう〉


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 交渉(脅し)上手の武藤さんのおかげで、破格の報酬が5倍に増えた。要は、それくらい撲殺されたくないってことなんだろうね。


〈受け取りたまえ〉


 喋る光から小さい光が飛んできて、僕の目の前で停止する。


「これは?」

〈異世界に行くためのスイッチだ。

 異世界への転移は、本来ならば命のBETが必要。

 BET無しの特例は、ボクが試作をした1回分しかない〉

「なんで僕に?」

〈理由はスイッチを起動すれば解る〉

「なんで参加者は俺等5人だけなんだよ?

 全人口とは言わねーけど、ヤベー状況なんだから万単位で参加させろよ!」

〈参加者は、キミ等に限定する必要は無い。他の者でも構わない。

 だが、選抜者はスイッチの所持者を含めて6人が限界だ。

 その理由も、スイッチを起動すれば解る〉

「想定外を発生させた人って誰なんですか?

 どこに行けば会えるんですか?」

〈キミが取り零したキミの友人。

 カレはボクの想定を超えてしまった〉


「・・・トモ?」


 智人トモの部屋で喋る光に接触できたのは運や偶然ではなかった。喋る光は何かとんでもないことをしたトモを要観察していた。だから直ぐに応じて出現したんだ。


「トモが何をしたんですか?」

〈いいだろう。説明しよう〉


 チート維新(?)のあと、智人トモは冒険者となってパーティーを組み、外地に旅立った。

 モーソーワールドは管理者によって作られた平面世界。外地の全周を山脈で囲まれており、その先は無。最果てに辿り着く為には、外地を闊歩する最強クラスのモンスターを潜り抜け、且つ、幾つかの関門を守る様々な強敵を倒さねばならず、モーソー人では最果てに到達できない仕様になっている。つまり、モーソー人が山脈を超えて作られた世界の外側に飛び出すことは不可能。


〈だが、カレはモーソーワールドの外側に踏み込んでしまった〉


 それは、モーソーワールドそのものを覆す想定外。作られた世界は想定外に対処できず、あちこちでバグが発生をした。


「そのバグが異世界生物の現実世界への流入・・・ですか?」

〈何故、バグがリアルワールドに干渉しているのかは不明だが、

 バグが関係しているのは間違いないだろうね〉

「どうすれば解消されるんですか?」

〈カレをモーソーワールドの内側に連れ戻してくれ。

 それで解消されるかは試さなければ解らないが、

 少なくとも、想定外を取り除くのは最優先事項だ〉


「チート君が負けイベに勝ってゲームの外側に行ったから、

 ゲームが壊れかけてるってこと・・・かな?」

「ちゃんと作れよ、運営者!」

「やれやれ、チートが絡むのかよ?面倒くせー奴だ」


 陽ちゃんと武藤さんと藤原くんは文句を言ってる。1年前に智人トモの暴走に巻き込まれて、またトモの所為で迷惑を被っているんだから当然だよね。

 でも僕は「智人トモが悪い」って気持ちになれない。


「僕が連れて帰れなかったから・・・トモだけ残しちゃったから・・・」


 あの日、陽ちゃんは何度も「脱落させる以外の選択肢は無い」って言った。武藤さんは公約通りに親友の安藤さんを脱落させた。

 でも僕はできなかった。トモを生きたまま帰還させたくて、トモに解ってもらいたくて、脱落をさせずに勝つ戦いをした。


  『ミコ。俺は、モーソーワールドに残るよ』

  『現実から逃げるなっ!責任から逃げるな!

   この卑怯者がぁぁっっっっっ!!』


 その結果、トモは自分だけが異世界に残る選択をした。陽ちゃんと約束した通りに脱落させていれば、選択肢なんて与えずに強制送還をさせることができたのに。

 僕はバカだ。僕の甘さのせいで、皆にとんでもない迷惑をかけている。


「・・・尊人くん」


 真田さんが、震える僕の手を握りしめてくれる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。