⑤Real world(現実世界)
「くそっ!」
なんでこんなことに?全ては、無謀な競合を吹っ掛けてきたケン達の所為だ。しかも、無責任に逃げ出したんだからムカつく。
「東都市に戻って、公爵にこの領域は侵さないように伝える。
それで満足か?」
「もう遅い。先に仕掛けてきたのはオマエだ。交渉のタイミングは終わった」
「くっ!冷血野郎っっ!」
全ての後悔が手遅れ。次の一撃を喰らえば俺は死ぬだろう。俺が死ぬってことは、ケン達がクエストをクリアできなくても、生還したケン達の勝ちになるんだろうか?ムカついて仕方がない。
〈強大な壁にぶつかるたびに都合良く覚醒するスキル・・・
GREAT FORL FORCE〉
数日前に俺に語りかけてきた光の言葉を思い出す。
「まだだ!まだ終わらん!諦めてたまるか!
うおぉぉ!グレートファールフォース発動!」
気合を発し、自分自身の才能を信じて立ち上がる!すると、目の前に光る球体が出現!触れたら、光球は両手持ちの長剣に変化をした。
「ぬぅぅ!それは、聖剣・天地真理!
何故、貴様がその伝説の剣を持っている!?」
「へへっ!俺が時代に選ばれたからだ!」
「待て、話し合おう!一定程度ならば、我が領地への人間の侵入を黙認しよう!」
「もう遅い!『交渉のタイミングは終わった』と言ったのはオマエだぜ!」
聖剣・天地真理の柄を握り、一振りしてから切っ先をダークファントムに向ける!
「いくぜ!超ブラックホール弾を喰らえっっ!!!」
聖剣・天地真理の切っ先から巨大な漆黒弾が発せられ、ダークファントムに向かって飛ぶ!ダークファントムは先ほどと同じように気合で掻き消そうとしたが、超ブラックホール弾は消えない!
「ぐぅぅぅ・・・おのれ!こうなれば!!」
ダークファントムが気合いを発したら、正面に巨大な穴が出現!必殺の超ブラックホール弾は、その穴に飲み込まれてしまった!
「なにぃ!?」
「ふははははは!オマエ自身の技で滅ぶが良い!」
俺の目の前に巨大な穴が出現!中から超ブラックホール弾が飛び出してきた!
「バカなっ!ぐわぁぁぁ!!!!」
俺自身が超ブラックホール弾に飲み込まれる!
「ツィホーッッッ!!!」×4
仲間達の、悲鳴にも似た俺を呼ぶ声が途切れ・・・俺は漆黒の中に落ちていった。
〈GREAT FORL FORCE発動。生命の緊急退避をします〉
真っ暗闇の中で声が聞こえた。都合良く覚醒するスキルが発動されて、俺は助かるらしい。
・
・
・
「・・・ん?」
薄暗い建造物の中で、俺は仰向けに倒れていた。
「俺・・・生きている」
上半身を起こして周囲を見回す。見覚えの無い建造物の中。ここは比較的広い通路のようだ。
「ここは・・・どこだ?」
床は石造りっぽいのだが、幾つもの石を組み合わせてあるのではなく一枚物っぽい。壁も片側は一枚物の石っぽいのだが、無色透明の大きなガラスが連続で嵌め込まれている。窓から外を眺め、ここが地上階ではないことと、大きくて頑丈な建物ってことを理解した。
「堅固な要塞・・・と言いたいところだが、
こんなにたくさんの窓が有ったら、外敵の侵入は容易だろうな」
石造りの床や壁には継ぎ目が無い。巨大な岩をくり抜いて要塞にしたのだろうか?何年がかりでくり抜いたのだろう?凄まじい労力だ。
内壁は革製だろうか?内壁の奥は広い部屋になっていたので、警戒をしながら踏み込んだ。室内には、木と鉄を組み合わせた貧相な机と椅子がいくつも規則正しく並んでいる。
「むぅぅ?」
部屋側の壁にも幾つもの大きなガラスが嵌め込んであり、窓の向こうには広くて真っ平らな地面があり、更にその先には所狭しと建造物が並んでいる。
「あれは民家?見たことのない建造物・・・ここは外地か?」
故郷や帝都では、こんな建物を見たことが無い。外地には、こんな奇怪な文明があるのだろうか?この地の住人は人間?それともエルフやドワーフ?
「採掘や鍛冶や石工はドワーフの得意分野・・・
ここはドワーフの国かもしれんな」
理解できないことだらけだ。文献や吟遊詩人の語りに、こんな文明は伝えられていない。もしかしたら、俺は人類が未到達の国に来てしまったのかもしれない。
誰でも良いから、一定の知能があって、会話ができる者と接触したい。
「ん?なんだこりゃ?
なんで、こんな物騒なもんが、こんなところに落ちてんだ?」
人語が聞こえたので通路に飛び出した。見たことのない奇怪な服を着て、上背があり、スマートだが筋肉質な男が、両手剣を手に持って眺めている。
「あっ!それは!」
我が聖剣・天地真理。ブラックホール弾に飲み込まれた時に手放してしまったのだ。
「なんだオマエ?アニメかRPGのコスプレでもしてんのか?」
「あにめ?こすぷれ?それはなんだ!?
いや・・・話はあとだ!先ずは剣を返してくれ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
原住民は俺を眺めた後、聖剣・天地真理を返すどころか「渡さない」と言わんばかりに遠ざけた。
「コスプレは許容するとしても、この剣、本物だろ?
オマエみたいな頭がイタそうな奴に、こんな物騒なもんを返すのはヤバそうだ」
「先ほどから、何をわけのわからないことをっ!」
「ワケが解んねーのはオメーだ!
その老け面、1年坊や2年には見えん。
3年やセンコーでオマエみたいな奴を見たことは無い。不法侵入者か?」
「俺はアーズマの至宝・ツィホー・アウキャス!
これ以上の無礼を働くなら、敵とみなすぞ!」
「・・・アーズマ?」
「さっさと剣を返せ!」
得体の知れない原住民とはいえ、武装をしていない少年相手にグレートファールフォースを使う気は無い。俺は「大人を怒らせたら怖いんだぞ」って気持ちを込めて、威嚇のつもりで掴みかかった。
「そのチンドン屋みてーな恰好・・・アーズマ・・・
まさかとは思うが、なんかメンドクサソーだな」
てっきり、少年は俺の威嚇に恐れおののくと思っていた。だが、「売られた喧嘩は買う」と言わんばかりに腰を低く落として構え、遠心力をつけて聖剣・天地真理を振り下ろす!
バチコン!
「ぐはぁ!」
少年が振り下ろした聖剣・天地真理のフラー(平らな部分)が脳天に炸裂!
「えっ!?マジ!?オマエ、見掛け倒しか!?
威嚇のつもりで軽く振り下ろしたんだから、ちゃんと避けろよ!」
少年の皮肉交じりな言葉を聞きながら、俺は意識を落とす。
モーソー転移Ⅰの智人のストーリーと同じように、何の脈絡もなく、伏線を考えず、ありがちなパターンを重ねて、ご都合主義で仕上げたストーリー。
スーパーライジング、ブレイブスター、ダークファントム等などは、「誰でも思い付くけど単純すぎて使わないだろうな」的なネーミングをイメージしています。
ラストで出てきたのはメインキャラの藤原史弥なんだけど、面識の無いツィホーの視点では、正体不明の少年になってしまいます。




