コント集27
コント集27
261・・・・その言葉が聞きたかった
262・・・・逃げ遅れた
263・・・DAY
264・・・鏡よ鏡
265・・・結婚すれば
266・・・馬場
267・・・腕に縒りをかけて
268・・・褒めてない
269・・・容量
270・・・陰口
『その言葉が聞きたかった』
・登場人物
北島
藤原
・舞台
闇医者の家
明転。
闇医者の家。デスク一つに椅子二つ。
北島、藤原、板付き。
北島「先生……!母は……!母は助かるんでしょうか……!?」
藤原「私は闇医者ですが、どんな病気も必ず治します」
北島「本当ですか!?」
藤原「その代わり、値段は法外ですよ?」
北島「いくらになるんでしょうか……?」
藤原「五千万円です」
北島「五千万……!?」
藤原「払えないならこの話は無かった事に……」
北島「いえ!絶対に払います!今は払えなくても、一生掛かってでも払います!」
藤原「『一生掛かってでも払います』か……その言葉が聞きたかった」
北島「え……?」
藤原「『え……?』か……その言葉が聞きたかった」
北島「は?」
藤原「『は?』か……その言葉が聞きたかった」
北島「何を言ってるんですか?」
藤原「『何を言ってるんですか?』か……その言葉が聞きたかった」
北島「本当に何を言ってるんですか?」
藤原「『本当に何を言ってるんですか?』か……その言葉が聞きたかった」
北島「ちょっとちょっと」
藤原「『ちょっとちょっと』か……その言葉が聞きたかった」
北島「マジで何を言ってるんですか?」
藤原「『マジで何を言ってるんですか?』か……その言葉が聞きたかった」
北島「ふざけてるんですか?」
藤原「『ふざけてるんですか?』か……その言葉が聞きたかった」
北島「母はもう時間が無いんですよ!?ふざけないで下さい!」
藤原「その言葉は聞きたくなかったな。何?」
北島「『何?』じゃないですよ。何を言ってるんですか?」
藤原「その言葉を聞きたかった」
北島「その言葉が多過ぎません?」
藤原「最後まで聞いてセットだからね」
北島「ちなみにその最後の言葉って何なんですか?」
藤原「『もう本当にゴミの分別が大変で辛いんですよ~!』だけど?」
北島「あれからどうやってそれに繋げるんですか?」
藤原「なんやかんやそうなるんだけどね」
北島「今までそうやってきたんですか?」
藤原「うん」
北島「凄いですね。よく今までの患者さん怒らなかったですね」
藤原「意外と怒らないよ?君だけだよ。怒ったの」
北島「そりゃ怒るでしょ。こちとら母の生死が掛かってるんですから」
藤原「分かったよ……手術するよぉ……」
北島「何でそんなやる気が無いんですか?」
藤原「そりゃ嫌だろ。人の腹を掻っ捌くんだぞ?」
北島「使命感とか無いんですか?」
藤原「無い、無い」
北島「何で医者やってるんですか?」
藤原「少しでも長くモラトリアムでいたかったから」
北島「今までよくそれでやってこれましたね」
藤原「まぁ大変だったけどね」
北島「正規の医者にならなかったのは何でですか?」
藤原「あんまり血を見たくないから」
北島「じゃあ法外な値段にしてるのは?」
藤原「あんまり手術したくないから値段を吊り上げた」
北島「酷い理由……」
藤原「あ、その言葉も聞きたかった」
北島「五月蠅い。じゃあ手術はしてくれるんですね?」
藤原「一応ね。ってかさっき『一生掛かってでも払います』って言ってたけど本当に払えんの?」
北島「それは……」
藤原「いるんだよねー。たまに私がモグリだからって警察に訴えて払わない人」
北島「まぁ、いるでしょうね。それは」
藤原「まぁそういう人は裏のパイプで無理矢理、金を作らせるから問題無いんだけどね」
北島「怖ぁ」
藤原「で、どうすんの?」
北島「借金してでも払います」
藤原「そんな話、信用出来ないね」
北島「じゃあどうすれば?」
藤原「私の下で働かないか?」
北島「えっ!?」
藤原「良い給料を払うよ」
北島「でもそれって犯罪……」
藤原「私の下で働けば給料は月収百万!どうだ?」
北島「百万……!?」
藤原「仕事内容は私の身の回りの世話。そして手術のサポート。私の世話は日々やるとして、手術はそう滅多に無い。かなり割の良い仕事だと思うが、どうだ?」
北島「本当に月百万、貰えるんですか?」
藤原「あぁ。それは約束する。そうすれば四年とちょっとで完済出来る。どうだ?やるか?やらないならこの話は無かった事に……」
北島「分かりました!やります!やらせて下さい!」
藤原「分かった。じゃあ手術をしよう。『やらせて下さい』か。その言葉が聞きたかった」
北島「でも絶対に『もう本当にゴミの分別が大変で辛いんですよ~!』なんて言いませんからね?」
藤原「さぁて、どうかね?」
暗転。
明転。
闇医者の家。
藤原、板付き。北島、ゴミ袋を持って舞台下手から登場。
藤原「ご苦労」
北島「はい」
藤原「北島君がウチに来てもう一年か。どうだ?仕事は慣れたか?」
北島「はい。大分、慣れました。ただ……」
藤原「ただ?何だ?」
北島「手術したり先生のお世話をしたりで、もう本当にゴミの分別が大変で辛いんですよ~!」
藤原「その言葉が聞きたかった」
―――終わり
『逃げ遅れた』
・登場人物
北島
藤原
枝村
・舞台
取調室
刑務所の外
・衣装
藤原・・・包帯姿
SE、爆発音、ビルが崩れ落ちる音。
音声、人々が悲鳴を上げる声。
藤原「ふはははははははははぁあああああああああああ!皆殺しだああああああああああああ!俺の復讐だああああああああああ!はぁーっはっはっはっはっはっはっはっはぁああああああああああ!」
明転。
取調室。テーブル一つに椅子二つ。
北島、藤原、板付き。
北島「小川ホテル爆破事件の犯人はお前だな?」
藤原「はい……」
北島「人を殺そうとした。そうだな?」
藤原「はい……」
北島「で、ホテルを爆破した後、逃げ遅れたと」
藤原「そうです……」
北島「何でこんな事をした?」
藤原「あいつら、学生時代、散々、俺を虐めてたんです……」
北島「その復讐か」
藤原「はい……」
北島「何で逃げ遅れた?」
藤原「最後の一人が閉じ込められるまで見届けてたら逃げ遅れました……」
北島「ダッサ」
藤原「あー!ダッサって言ったー!」
北島「だって計画的に見えてガバガバな犯行なんだもん」
藤原「だって最後まで見届けないと死ぬかどうか分からないじゃないですか!」
北島「結果的に全員、助かってお前だけが怪我したんだけどな」
藤原「悔しいです……!」
北島「で?これからホテルの建築費用と損害賠償と慰謝料を払う事になったけど、これからどうするの?」
藤原「死刑になるつもりだったんですが、こうなってしまっては……」
北島「まぁ激発物破裂罪で死刑になるかもしれんな」
藤原「俺だけが死んでアイツらがのうのうと生きてるのが許せないです……!」
北島「そいつら捕まったよ?」
藤原「え?」
北島「闇バイトで強盗殺人を繰り返してたからお前の爆破事件の後に捕まったよ?」
藤原「あ、そうなんですか!?」
北島「うん。まぁ死刑になるだろうな」
藤原「そうだったんですか……」
北島「お前がホテルを爆破して事情聴取してたらポロっと零して捕まったとよ」
藤原「じゃあ、俺の復讐は……」
北島「結果的に達成されたな」
藤原「良かった……!」
北島「因果応報ってやつだな。今まで世間を舐めてたから報復を受けたんだ」
藤原「俺……」
北島「ん?」
藤原「俺、生きたいです……!」
北島「ん?どういう事?」
藤原「俺、人生やり直したいです……!生きて、アイツらを見返してやりたいです……!」
北島「まぁ無期懲役か五年以上の懲役になる可能性はあるけど……」
藤原「俺、生き残ります!絶対に生き残ってアイツらを見返してやります!」
北島「ま、まぁ頑張れよ。懲役刑になる事を祈ってるよ」
藤原「ありがとうございます!」
暗転。
明転。
刑務所の外。
藤原、枝村、舞台上手から登場。
藤原「お世話になりました」
枝村「もう帰ってくるなよ(舞台上手に退場)」
藤原「ふぅ……」
北島「(舞台下手から登場)よう」
藤原「刑事さん!?」
北島「十年で出てこれて良かったな」
藤原「これから色々お金を払わないといけないですけどね」
北島「どうするんだ?これから」
藤原「大学に行きます」
北島「行ってどうするんだ?」
藤原「爆弾の専門家になります!」
北島「爆弾から離れろよ!」
―――終わり
『DAY』
・登場人物
北島
藤原
・舞台
藤原宅
明転。
藤原宅。卓袱台一つに座布団二つ。
北島、藤原、板付き。
藤原「準備出来たか?」
北島「うん」
藤原「寝不足とか無いか?」
北島「大丈夫。今日は山登りだからな。しっかり眠れたよ」
藤原「ウチに泊まってもらって正解だったかな」
北島「うん。お陰様で体力回復出来た」
藤原「そうか。あ、あれ飲んどく?」
北島「何?」
藤原「リポビタン」
北島「折角だから貰おうかな」
藤原「はいよ」
北島「気合い入れるねぇ」
藤原「そういう日だからな」
北島「まぁ気合い入れる為の物だしな」
藤原「いや、そういう日だから」
北島「え?」
藤原「今日はリポビタンDAYだからな」
北島「ちょっと待って?Dじゃなくて日のDAYだと思ってんの?」
藤原「違うの?」
北島「違うよ。開発番号をドイツ語でDって言ったり、デリシャスから来てるんだよ」
藤原「そうだったのか。勘違いしてたわ」
北島「良かったよ。訂正出来て。さぁ、行こうか」
藤原「申し訳ないんだけど……」
北島「どうした?行きたくないのか?」
藤原「実は昨日から熱と倦怠感と寒気があって……」
北島「何だよ。昨日言えば良かったじゃん」
藤原「昨日はその日じゃないと思って……」
北島「何?どういう事?」
藤原「今日は申しDAYだから」
北島「申し出って他人行儀だな」
藤原「いや、申し出の日だから」
北島「……あ、申しDAY!?申し出の日ってそういう事!?」
藤原「うん」
北島「違うよ!普通に申し出る事だよ!」
藤原「あ、そうなの?また勘違いしてた」
北島「良かったよ。訂正出来て。じゃあ今日は休もう」
藤原「すまんな……」
北島「ゆっくり休め。何か買うか?ポカリとか」
藤原「あー、食べ物を買ってきてもらおうかな」
北島「何が良い?お粥?」
藤原「いや、何か揚げ物を」
北島「大丈夫なのか?体調、悪いだろ?」
藤原「今日はFRYDAYだから」
北島「……あ、もしかしてフライデーってフライを食べる日だと思ってる!?」
藤原「違うの?」
北島「違うよ!スペルが違うよ!YじゃなくてI!」
藤原「あ、そうなんだ。華金って言うくらいだから揚げ物をビールで流し込む日だと思ってた」
北島「凄い解釈……お前、他にもデーとかデを勘違いしてないか?」
藤原「多分もう無い。あ、何か体調、良くなってきたかも」
北島「本当か?無理すんなよ?」
藤原「もうDAY丈夫だ」
北島「何でいきなり江戸っ子?」
藤原「江戸っ子じゃないよ?もう平気って事」
北島「……あ、大丈夫な日って事!?」
藤原「そう」
北島「もう今日は山登りは中止だ!お前のデーを直す!」
藤原「何かピアノみたいだな」
北島「五月蠅ぇ!」
―――終わり
『鏡よ鏡』
・登場人物
女王
魔鏡
インタビュアー(以降「イン」)
・舞台
城
明転。
城。大きい鏡がある。
女王、板付き。
女王「鏡よ鏡。世界で一番、美しいのは誰?」
魔鏡「それは女王様、貴方です」
女王「おほほほほ!そうよねぇ!」
魔鏡「とでも言うと思いましたか?」
女王「え?」
魔鏡「具体的にどのように美しい者ですか?」
女王「え?」
魔鏡「性別、人種、国籍。これらを指定して下さい」
女王「そこまで言わないといけないの?」
魔鏡「じゃないと正確なアンケート結果が出ません」
女王「アンケートって何?」
魔鏡「世界一、美しい女性ランキングの投票です」
女王「どうやって投票させるの?」
魔鏡「全世界の人間の脳に直接、語り掛けます」
女王「そんな事出来るの?」
魔鏡「出来ます」
女王「凄いな。お前」
魔鏡「それ程でも。それで。男性ですか?女性ですか?」
女王「女性で」
魔鏡「年齢は?」
女王「全年齢で」
魔鏡「出身地は?」
女王「国籍、問わず」
魔鏡「では結果をお伝えします。それは白雪姫です」
女王「え?そうなの?でもそれは当時、姫だったけど今は違うじゃないか」
魔鏡「これが当時の写真です」
女王「……子供のやつじゃないか。お前、ロリコンなんじゃないか?」
魔鏡「世界的に知られている子なので人気なのです」
女王「それで私は何位だ?」
魔鏡「七億三千二十一位です」
女王「えぇ!?その基準は何だ?」
魔鏡「認知度が関係あります」
女王「認知度?」
魔鏡「はい。女王様は世界的に見てもあまり知られていないので」
女王「女王なのに?」
魔鏡「国内では知られていますが、基本、引き籠ってるので女王としての国外での認知度は低いです」
女王「えぇ……?どうしたら認知度が上がる?」
魔鏡「とりあえず外に出たらどうですか?」
女王「うーん。この生活に慣れちゃったからなぁ……でも認知度を上げるには出てみるかぁ」
魔鏡「でもそれで認知度は出ても人気は出ないと思いますがね」
女王「何故?」
魔鏡「貴方が横暴だからですよ」
女王「あぁ……そういう事か。じゃあボランティアでもしてテレビに出ようかね」
魔鏡「それでも人気は出ないと思いますがね」
女王「何で?」
魔鏡「女王様、そこまで美人じゃないですよ?」
女王「は!?」
魔鏡「美人よりではあるけれど、それは化粧のせいでもあるでしょうね」
女王「何?」
魔鏡「女王様は化粧して七億位くらいなんで」
女王「それでも世界七十億人の中で十人に一人の割合で美人の分類になってるの凄い方じゃない?」
魔鏡「ですが白雪姫はスッピンですからね。女王様は昔こそ美しかったですが、成長に連れて今は性格が歪んで顔に出てますよね」
女王「嘘だろ……今更、顔は変えられないし……」
魔鏡「まぁまぁ。整形という手もありますし」
女王「それって自分がブスって認めるようなもんじゃないか!それだけは頼りたくない!」
魔鏡「じゃあどうします?」
女王「心が美人でやっていこうと思う!」
魔鏡「もう既に嫌な女王っていう国民の認知が入ってる状態ですよ?」
女王「あー!そうだったー!」
魔鏡「もう国民にすら見放されてますけど、どうします?」
女王「五月蠅ーい!悪口ばっかり言うお前なんかこうだー!(鏡を殴る)いってぇ……!」
魔鏡「私が普通の鏡じゃない事、忘れてません?」
女王「だって鏡は鏡じゃん」
魔鏡「鏡の鑑ですね」
女王「誰が上手い事を言えと」
魔鏡「とりあえず福祉活動から始めましょうよ」
女王「そうするか……」
暗転。
明転。
城。椅子が二つ。
女王、イン、板付き。二人共椅子に座っている。
イン「さて、白雪女王、どうしてボランティア活動を始めたのですか?」
女王「最初は邪な気持ちだったんです。人に好かれたいという気持ちから」
イン「それで今はどうなんですか?」
女王「今はやっているのが楽しいです。人の為になるのが、生き甲斐になりました」
イン「成程。どうしたら長くボランティアを続けられるのですか?」
女王「アドバイスしてくれる相棒がいますから。ね?」
魔鏡「はい。女王様」
イン「それではインタビューを終わりにします。ありがとうございました」
女王魔鏡「ありがとうございました」
イン「以上、昔、一世を風靡した元世界一美しい女性、白雪姫から、世界一格好良い女性になった、白雪女王のインタビューでした!」 ―――終わり
『結婚すれば』
・登場人物
北島
藤原
小川
・舞台
居酒屋
明転。
居酒屋。テーブル一つに椅子が二つ。テーブルの上にはジョッキが三つ。
北島、藤原、小川、板付き。
北島「しっかし、やっとお前達が結婚とはな」
藤原「北島には世話になったな」
北島「本当だよ。大学時代に彼女が欲しいって言ってきたお前に唯一の女友達の小川を紹介して、大学卒業して三年同棲の末、ようやく結婚だもんな」
小川「北島君、ありがとね」
北島「おう。今日は二人の婚約祝いに俺が奢るよ」
藤原小川「ご馳走様でーす!」
北島「良いって事よ。ところで式の予定日は?」
小川「三ヶ月後の六月にしようと思ってる」
北島「ジューンブライドか。梅雨時だけど大丈夫か?」
藤原「俺、晴れ男だから大丈夫、大丈夫!」
小川「私も晴れ女だし!」
北島「あっそ!」
藤原「ところで北島はまだお相手、見付からないのか?」
北島「俺?いない、いない」
小川「勿体無~い!北島君、男気あるのに。お相手の女性、いくらでもいるでしょ?」
北島「そもそも考えられないよ。結婚なんて。まだ仕事もロクに出来てないのに」
藤原「お相手がいると幸せだぞ~?」
小川「そうそう。楽しいよ~?」
北島「お熱いこって」
藤原「相手がいると幸せは二倍に!」
小川「喜びも二倍に!」
北島「よく聞くな、それ」
藤原小川「苦しみも二倍に!」
北島「……ん?苦しみは半分に、じゃないの?」
藤原「俺は借金、三百万!」
小川「私も借金、三百万!」
藤原「二人、合わせて~?」
藤原小川「借金、六百万!」
北島「コンビ名みたいに言うな!」
藤原小川「夫婦漫才で~す!」
北島「やかましいわ!何!?借金あんの!?」
藤原「あるよ?」
北島「あんのかい!」
藤原「でさぁ、一つ相談なんだけど」
北島「何?金は貸さないよ?」
小川「違う違う。結婚式の会場をどこにしようかって相談」
北島「え?借金あるのに結婚式を挙げるつもりなの?」
藤原「それはそれ、これはこれじゃん?」
北島「まず借金を返してから式を挙げろよ」
小川「だってそんな事を言ったらいつまで経っても式を挙げられないし……」
北島「ってかさぁ、何で借金したの?」
藤原小川「パチンコで」
北島「パチンコで六百万!?」
藤原「やだなぁ。一人、三百万ずつだよ」
北島「そういう問題じゃねぇ!パチンカスじゃねぇか!」
小川「やだ、北島君!チンカスだなんて!」
藤原「ここ居酒屋だぞ?」
北島「チンカスじゃねぇ!パチンカスだよ!」
藤原「何だ。パチンカスか」
藤原小川「へへへへへへ……」
北島「何笑ってんだ!?生活、困窮してんのか!?」
藤原「してるよ?」
小川「何でか分からないけど」
北島「パチンコのせいだろ!絶対!」
藤原「そうなのかなぁ?」
北島「督促状届いてるのか!?」
小川「めっちゃ届いてるよ」
北島「どうすんだよ!?」
藤原「地道に返すしか無いなぁ」
北島「返し切れるのか!?」
小川「たまに勝つ時あるよ?」
北島「勝ってないだろ!?勝ってたらそんな借金額にならないんだよ!」
藤原「これから巻き返すから」
北島「限度がある!お前ら仕事どうしてんだよ!?」
藤原「この前、会社、辞めてきた」
小川「私も」
北島「は!?」
藤原「二人でパチプロになった」
北島「絶対に止めた方が良い!」
小川「だから仕事、辞めてきたよ?」
北島「そうじゃねぇ!今すぐ元の仕事に戻れ!後悔するぞ!?」
藤原「一度きりの人生!」
小川「賭けた方が面白いじゃない!」
北島「結果、負けてるじゃねぇか!」
藤原「勝つ時もあるって!」
北島「そりゃ勝つ時もあるかもしれないけど総額で負けてるじゃねぇか!」
小川「だからこれからだって!これから運が向いてくるって!」
北島「パチンコは技術なんだよ!運でどうこう言ってる間はパチプロ向いてねぇよ!」
藤原「やけにパチンコに詳しいじゃん」
北島「そりゃ俺の仕事はパチプロだからな」
藤原小川「えっ!?」
北島「あれ?言ってなかったっけ?俺、脱サラしてパチプロになったんだよ」
小川「北島君!」
藤原「俺達に!」
藤原小川「パチンコを教えて!」
北島「えー?ライバルが増えるの嫌なんだけど……」
藤原「結婚祝いだと思って!」
小川「ご祝儀は無くて良いから!」
北島「……そこまで言うなら……でもまず借金を返す必要があるな」
小川「ど、どうしたら良い?」
北島「俺が贔屓にしてる組の金融会社があるからそこだと無制限で借りれるぞ」
藤原「マジか!教えてくれ!」
北島「(名刺を取り出す)枝村組にこの名刺を見せればすぐに金が借りられるぞ」
小川「本当に!?」
北島「あぁ。今日もまだギリギリやってると思うぞ?」
藤原「督促状の期限が明日までなんだ!美幸、行くぞ!」
小川「うん!北島君、ありがとう!(藤原と共に舞台上手に退場)」
北島「(スマートフォンを取り出す)あ、枝村さん?男女二名、そっちに行きましたんで。はい、はい。あ、百万、口座に入るんですね。いつもありがとうございます」
―――終わり
『馬場』
・登場人物
北島
高田
枝村
西岡
・舞台
大学の食堂
明転。
大学の食堂。テーブル一つに椅子が二つ。
馬場、板付き。北島、舞台下手から登場。
北島「高田君」
馬場「あぁ、北島君か」
北島「もう講義、終わり?」
馬場「うん。北島君は?」
北島「俺も終わり。この後サークルに行く予定」
馬場「じゃあサークルの時間までここで話でもしてようか」
北島「そうだな」
枝村「(舞台下手から登場)コンガ。ここに居たのか」
馬場「あぁ、枝村君か」
枝村「コンガはもう講義終わりだよな?」
馬場「うん」
枝村「後でレポート手伝ってくれないか?高校じゃ習わなかったところだから分からなくて」
馬場「良いよ。ただサークルが終わってからだから夜になるけど」
枝村「良いよ。俺の家で良いか?」
馬場「分かった。じゃあ後で」
枝村「おう。宜しくな(舞台上手に退場)」
西岡「(部隊上手から登場)ロバート」
馬場「あ、西岡君」
西岡「ロバートって帰国子女だったよな?」
馬場「そうだよ?」
西岡「じゃあ後で英語、教えてくれないか?和訳が難しくてさ」
馬場「良いよ。あ、でもこの後、枝村君の所に行く予定なんだ……」
西岡「あぁ、さっき枝村君が枝村君の家で勉強会をしようって話になったから一緒にやろうよ」
馬場「分かった。じゃあまた後で」
西岡「おう。じゃあ宜しく(舞台下手に退場)」
北島「高田君って帰国子女だったのか」
馬場「うん。アメリカに十五年程」
北島「あー、だからコンガって呼ばれたりロバートって呼ばれたりしてるのか」
馬場「うーん、ちょっと違うかな」
北島「え?ロバート・コンガ・高田って名前じゃないの?」
馬場「いや、本名は馬場太郎」
北島「え?」
馬場「馬場が本名だからあだ名で芸人のロバートとババコンガと高田馬場から来てる」
北島「え?あ?そうなの?てっきりロバート・コンガ・高田が本名だとばかり……」
馬場「まぁ仕方ないよね」
北島「あれ?でもサークルで自己紹介した時、高田って言ってなかった?」
馬場「愛称で自己紹介してくれって話だったから高田って名乗った」
北島「あ、そうだったんだ。てっきりずっと本名の高田って呼ばれてきたから高田で通してるんだと思ってたよ」
馬場「まぁ日本に来た時に移り住んだのが高田馬場だったから高田ってあだ名で高校時代はずっと呼ばれてたよ」
北島「じゃああながち間違いでもないのか」
馬場「うん」
北島「こんがらがらない?そんなにあだ名があると」
馬場「もう慣れた」
北島「俺だったらもう分かんなくなっちゃうなー。どうやって区別されてんの?」
馬場「高校からの友人がロバート、大学で知り合ったクラスメイトがコンガ、サークル仲間が高田」
北島「あー、意外と瞬時に話が切り替えられるのか」
馬場「そう。結構、使い分けてる」
北島「他にも言われそうな名前がありそうだな」
馬場「そうかもね」
暗転。
明転。
大学の食堂。
馬場、板付き。北島、舞台下手から登場。
北島「よっ、シン」
馬場「あぁ、北島君か」
北島「シンはもう講義終わった?」
馬場「うん。サークルの時間までここで時間を潰そうと思って」
北島「じゃあ俺もシンと一緒にここで時間潰そうかな。良い?シン」
馬場「良いよ」
北島「じゃあ失礼して」
馬場「ねぇ」
北島「何?」
馬場「何で俺の事『シン』って呼ぶの?」
北島「俺の実家が東京の品川なんだけど、そこに新馬場って駅があるからそこから取ってる」
馬場「『ん』が入るけど、まぁ字は馬場か」
北島「そう。あ、嫌だった?」
馬場「いや、これから親友には『シン』って呼ばせようと思う」
北島「俺は親友か?」
馬場「うん。親友」
―――終わり
『腕に縒りをかけて』
・登場人物
康介
美幸
・舞台
自宅
明転。
自宅。舞台下手側にリビング。テーブル一つに椅子二つ。舞台上手側、キッチン。
康介、美幸、舞台下手から登場。
康介「ふぅ……ただいまー」
美幸「おかえりなさい。さぁ座って座って」
康介「あぁ」
美幸「退院おめでとう」
康介「ありがとう。いやぁ、もう本当、入院生活、辛かったぁ……」
美幸「何が辛かった?」
康介「入院中にも言ったけど、ご飯かな。塩っ気が無くて、しかも量が少なくて物足りなかったんだ」
美幸「そう言うと思って、退院お祝いに腕に縒りをかけて美味しいご飯を食べさせてあげる」
康介「マジか。何を作ってくれるの?」
美幸「それは出来てからのお楽しみ」
康介「じゃあもう昼だし、早速、頼むよ」
美幸「分かった。じゃあちょっと待ってて(キッチンに向かう)」
康介「何が出てくるんだろうなー。肉?魚?」
美幸「お肉もお魚もあるよー(切ったチャーシューを取り出す)」
康介「マジ?両方あるって何だろう?」
美幸「お肉は煮込んだやつよー(鍋を取り出す)」
康介「魚は?」
美幸「スープの出汁よー。もやしとキャベツと海苔の入った皿を取り出す)」
康介「サラダもあるの?」
美幸「サラダ代わりのもやしとキャベツと海苔があるよー(寸胴を取り出す)」
康介「米?パン?麺?」
美幸「麺よー(麺を寸胴に入れる)」
康介「麺かー。パスタかな?」
美幸「もうちょっと待っててねー」
康介「良いよー」
美幸「よし。もう良いでしょ(麺の湯切りをする)」
康介「え、何してんの?」
美幸「湯切り」
康介「……あ、ラーメン!?」
美幸「そだよー」
康介「肉ってチャーシュー?」
美幸「そだよー」
康介「魚って魚介系スープ?」
美幸「そだよー」
康介「サラダってまさか二郎系?」
美幸「そだよー」
康介「えぇ……?退院して直後に二郎系ラーメンはキツいんだけど……」
美幸「だってしょっぱいのが良いって言ったから……」
康介「極端過ぎるって。味も量もいきなりそれはキツいよ」
美幸「折角、腕に縒りをかけて作ったのに……」
康介「むっ……じゃあ食べようか」
美幸「はーい(ラーメンをリビングに持って行く)」
康介「じゃあ頂きます」
美幸「召し上がれ」
康介「……美味っ!?何これ!?本家の味そっくりなんだけど!?」
美幸「この三ヶ月間、本家でみっちり修業してきたからね」
康介「え?仕事は?」
美幸「商売替えした」
康介「でも給料とか……」
美幸「週五でフルタイムで入ってるから大丈夫」
康介「あ、そう……」
美幸「で、どう?食べ切れそう?」
康介「味はともかく、ちょっと量がな……」
美幸「じゃあ残りは私が食べるよ」
康介「良いのか?こんな食べ掛けで」
美幸「夫婦でしょ?気にしないわよ」
康介「そうすか。じゃあ残り頼むわ」
美幸「はいは~い(丼を持ってキッチンへ行き、麺を取り出して皿に置く)」
康介「何してんの?」
美幸「夜に食べようと思って」
康介「でも何で麺を避けてんの?」
美幸「このままだったら麺が伸びちゃうじゃない」
康介「あ、そういう事……」
美幸「それにしてもこれくらいの量、入院前は食べてたのに、入院生活で胃袋、小さくなった?」
康介「あー、かもしれない」
美幸「入院って怖いのねー」
康介「病人しかいないから余計に精神的に病みそうだったし」
美幸「今は平気?」
康介「晴れ晴れとした気持ちだよ」
美幸「それは良かった。デザート食べる?」
康介「あるの?」
美幸「あるよー」
康介「じゃあ食べようかな」
美幸「はーい。(巨大なパフェを持ってくる)どうぞー」
康介「何これ?」
美幸「パフェ」
康介「多過ぎるって」
美幸「余ったら私が食べるから」
康介「お前、加減ってものを知らないのか?」
美幸「喜んでもらおうと思って」
康介「極端過ぎるだろ」
美幸「正直な話、作る事が楽し過ぎて」
康介「毎日こんな食事してたのか?」
美幸「うん」
康介「体調、大丈夫か?」
美幸「不思議と太らないんだよね」
康介「過食症だよ。お前」
美幸「これからフードファイターになるつもりでもある」
康介「儲かるならそれでも良いよ」
―――終わり
『褒めてない』
・登場人物
北島
藤原
・舞台
花見会場
明転。
花見会場。
北島、藤原、舞台上手から登場。
北島「良い所、見付けたな」
藤原「花見には丁度良いな」
北島「ここら辺にするか(ビニールシートを広げる)」
藤原「そうだな(酒とつまみを取り出す)」
北島「じゃあカンパーイ」
藤原「カンパーイ。あ、そうだ。この前さ、お前に金借りたじゃん?」
北島「あ、そうだったっけ?」
藤原「うん。自販機で煙草を買う時に万札しか無かったから小銭、借りたじゃん?」
北島「あー。そうだったねぇ」
藤原「忘れないうちに今、返すわ」
北島「良いよ別に。あげたようなもんだから」
藤原「いや、ここは筋を通したい。はい」
北島「あれ?ポチ袋?」
藤原「こういう時にはちゃんとしたいからな」
北島「あっそう。あれ?千円?五百八十円じゃなかった?」
藤原「利子だよ」
北島「別に良いのに~」
藤原「良いから受け取ってくれ」
北島「じゃあ遠慮無く。わざわざご丁寧にどうも」
藤原「褒めるなよ」
北島「褒めてねぇよ」
藤原「あ、そうだ。この前、旅行に行った時にお土産を買ったんだ。はい」
北島「どこ行ったの?」
藤原「沖縄」
北島「沖縄名物でこの大きさは何だろう?……耳かき?」
藤原「良いだろ?」
北島「まぁ、文句は言わねぇよ。どうもな」
藤原「何が良いか分からなかったから無難なやつ選んだ」
北島「適当な奴だな」
藤原「褒めるなよ」
北島「褒めてねぇよ」
藤原「さて(タッパーを取り出す)」
北島「何のつまみ?」
藤原「いや、酒」
北島「は?」
藤原「酒を入れてる」
北島「何で酒をタッパーに……?」
藤原「水筒が見当たらなくてな」
北島「いい加減な奴だな」
藤原「褒めるなよ」
北島「だから褒めてねぇよ」
藤原「さっきからずっと思ってたんだけど、褒めてないの?」
北島「褒めてねぇよ」
藤原「何で?」
北島「だって褒められるような事してないだろ」
藤原「じゃあ何で賞賛の言葉を俺に言ったんだよ?」
北島「そんな言葉、言ってないだろ」
藤原「言ったじゃん」
北島「何て?」
藤原「『丁寧』とか『適当』とか『いい加減』とか」
北島「『丁寧』はまだしも『適当』と『いい加減』は誉め言葉じゃないだろ」
藤原「じゃあどういう意味?」
北島「全部、皮肉だよ」
藤原「そうなの?」
北島「そうだよ。嫌味だよ」
藤原「てっきり褒められてるんだと思ってた」
北島「何でそう思った?」
藤原「『丁寧』、言動が礼儀正しく、配慮が行き届いている事。『適当』、程度等が程良い事。『いい加減』、程良い程度。手頃。だから」
北島「『丁寧』はともかく『適当』と『いい加減』をそのまんまの意味を使う人ってあんまりいないんじゃないかな?」
藤原「俺は使うけどなぁ」
北島「珍しいタイプだね」
藤原「ちなみに皮肉をせずにストレートに言うと?」
北島「最初、何だっけ?」
藤原「利子付けてポチ袋に入れて金を返した」
北島「やり過ぎ」
藤原「旅行のお土産に耳かき渡した」
北島「微妙な選択」
藤原「酒をタッパーに入れた」
北島「雑」
藤原「そんな風に思ってたのかよ……」
北島「誰が見てもそう思うと思うけどね」
藤原「お前だけじゃないか?」
北島「誰しもそう思うだろ。多分」
藤原「今までお前みたいに言ってきた人が多かったんだけど、これって全部、皮肉?」
北島「多分」
藤原「マジか……もう皆の事、信用出来なくなった」
北島「お前が変われば良い話だろ」
藤原「どうやって?」
北島「身の振り方を考え直せば良いだけの話だろ」
藤原「そうか……具体的にどうすれば良い?」
北島「ググれ」
藤原「そんな他力本願な……」
北島「俺に相談してる時点で他力本願だろ」
藤原「それもそうか」
北島「これからは人を喜ばせる方法と加減を考えるんだな」
藤原「分かった。頑張る」
暗転。
明転。
花見会場。
北島、藤原、板付き。
藤原「この前、お前に金を借りたじゃん?」
北島「あぁ。また煙草を買う時に小銭をな」
藤原「今返すわ(財布から五百九十円取り出して北島に渡す)」
北島「あれ?十円、多いぞ?」
藤原「利子」
北島「お前、中途半端だよ」
藤原「褒めるなよ」
北島「『中途半端』を褒めてるってどういう判断だよ」
―――終わり
『容量』
・登場人物
北島
藤原
・舞台
家電量販店
明転。
家電量販店。スマートフォンが並べてある。奥には契約の為のデスク一つと椅子二つ。
北島、板付き。藤原、舞台上手から登場。
北島「いらっっしゃいませー」
藤原「あのー、すみません」
北島「はい。いらっしゃいませ。何か?」
藤原「スマートフォンを買い換えようと思ってまして」
北島「あー、そうなんですね。畏まりました。今、何か決めている物はありますか?」
藤原「いえ、まだです」
北島「そうですか。ではこちらをご覧下さい」
藤原「すみません。私、機械に疎いもので……何が何やら分かりません」
北島「成程。ではどういった物をお求めですか?」
藤原「どういった物と言うと?」
北島「あぁ、伝え方が悪かったですね。申し訳ありません。どういったアプリをよくお使いになりますか?」
藤原「音楽プレーヤー?のアプリをよく使います」
北島「ではこちらなんか如何でしょうか?これは曲がクリアに聞こえて、しかも全部で十万曲入るんです」
藤原「えー!?そんなに!?」
北島「はい」
藤原「世の中に音楽ってそんなにあるんですねぇ!」
北島「あ、そこ!?ま、まぁもっとあるとは思いますけどね」
藤原「あ、そうだ。小説とか漫画って今はスマホでも読めるんですよね?」
北島「えぇ、そうですね」
藤原「それも使えると嬉しいですね」
北島「まぁ今はどのスマートフォンでも読めますが、沢山、読むのであれば、こちらなんか如何でしょう?こちらは何と十万冊の本が入れられるんです」
藤原「えー!?そんなに!?」
北島「はい」
藤原「世の中に本ってそんなにあるんですねぇ!」
北島「あ、そこ!?ま、まぁもっとあるとは思いますけどね」
藤原「後、写真をよく撮るんで解像度が高い物が良いんですけど」
北島「でしたらこちらはどうでしょう?こちら、二千万画素なんですよ」
藤原「えー!?そんなに!?」
北島「はい」
藤原「人間の目ってそんなに解像度が高いんですねぇ!」
北島「あ、そこ!?ま、まぁもっとあるとは思いますけどね」
藤原「どれにしようかなぁ。迷うなぁ」
北島「こちらはそれらが少しスペックは下がりますが、纏めてあるような物ですよ」
藤原「じゃあそれにします」
北島「ありがとうございます。ではこちらへ」
藤原「あ、その前に良いですか?」
北島「何でしょう?」
藤原「ぶっちゃけ儲かってます?」
北島「まぁ、お陰様で」
藤原「じゃあやらしい話して良いですか?」
北島「お答え出来かねないものもありますが……」
藤原「月にどれくらいエッチなDVD観てますか?」
北島「あ、本当にやらしい話なんですね。お答え出来ません」
藤原「企業秘密ですか?」
北島「純粋に嫌だからです」
藤原「あ、そうですか」
北島「質問は以上ですか?」
藤原「はい」
北島「ではこちらへどうぞ」
藤原「はい」
北島「ではこちらをお読みになって、問題が無ければこちらにサインをお願いします」
藤原「はい(読んでサインをする)。はい」
北島「ありがとうございます。では料金が八万三千円になります」
藤原「えー!?そんなに!?」
北島「先程の契約書に記載してあったと思うのですが……」
藤原「世の中にお金ってそんなにあるんですねぇ!」
北島「あ、そこ!?」
―――終わり
『陰口』
・登場人物
小川
儀間
・舞台
高校の教室
明転。
高校の教室。机二つに椅子が三つ。
小川、儀間、板付き。
小川「ねぇ。ウチらのグループの北島君の事なんだけど」
儀間「アイツがどうかした?」
小川「アイツ、ハブらない?」
儀間「何で?」
小川「だって何かウザくない?」
儀間「あー。確かに」
小川「でしょ?」
儀間「すぐキョドるし」
小川「そうそう」
儀間「目があったらすぐ目を逸らすし」
小川「うんうん」
儀間「よく見たら顔が良いだけだし」
小川「……ん?」
儀間「一緒に遊びに行く時の私服ダサいし」
小川「んん?」
儀間「手ぇ、握ったら汗でダクダクで気持ち悪いし」
小川「え?ちょっと待って?」
儀間「何?」
小川「付き合ってる?」
儀間「付き合ってないよ?」
小川「嘘だぁ!だってデート行って手ぇ、繋いでるじゃん!」
儀間「デートくらい誰とでも行くでしょ」
小川「男女がデート行ったらそれはもう付き合ってるでしょ!」
儀間「同性同士でもデートとは言うでしょ。アンタともよくデートしてるし」
小川「……あ、登下校と放課後の寄り道の事を言ってる!?」
儀間「後、休日のデートね」
小川「休日に普通に遊びに行く事ね!?変な言い方しないで!?」
儀間「え?違うの?」
小川「違うよ!普通に遊びに行く事だよ!」
儀間「でも私達、仲、良いじゃん?」
小川「まぁ……」
儀間「よく二人で遊びに行くじゃん?」
小川「うん」
儀間「互いの家に泊りに行った事もあるじゃん?」
小川「うん」
儀間「一緒にお風呂に入った事もあるじゃん?」
小川「うん」
儀間「一緒の布団で寝た事もあるじゃん?」
小川「うん」
儀間「これって付き合ってないの?」
小川「違うでしょ。普通の友達だよ」
儀間「普通にしては親密過ぎない?」
小川「それはまぁそうかもしれないけど……」
儀間「じゃあ私達、付き合ってるんじゃない?」
小川「いや、それは違うでしょ」
儀間「あ、北島君とも付き合ってる形になるから浮気してる事になる?」
小川「そういう問題じゃない」
儀間「浮気してごめんなさい」
小川「だからそうじゃない」
儀間「裏切ってごめんなさい」
小川「だから違うって」
儀間「弄んでごめんなさい」
小川「語弊がある言い方、止めて」
儀間「でも美幸を裏切って北島君と遊んでたから」
小川「それは別に良いよ。愛真が誰と付き合おうが私は文句は言わないよ」
儀間「じゃあ美幸。私と付き合って下さい」
小川「どうしてそうなった?」
儀間「二人の内どっちかを選ぶなら美幸だと思って」
小川「同性同士でそれは無理」
儀間「今の世の中HDMIが言われてるんだよ?」
小川「……LGBTの事を言ってる?」
儀間「あ、そうそうそれそれ。私SDGsでよく間違えるんだよね」
小川「……ADHDの事を言ってる?」
儀間「あ、そうそうそれそれ」
小川「まぁ、そんだけよく間違えるならADHDなのも納得だわな」
儀間「で、どう?付き合ってくれる?」
小川「まぁ、お試しなら。アンタ、一人で歩いてたら危ない目に遭いそうだし」
儀間「ありがとう。じゃあ今日もデート付き合ってね?」
小川「はいはい」
暗転。
明転。
高校の教室。
小川、儀間、板付き。
小川「へへへ~。ダーリン」
儀間「こら美幸。学校ではくっつかないでって言ったでしょ?」
小川「だって楽しいんだも~ん」
儀間「ちょっとトイレ行ってくるから待ってて?」
小川「早く戻ってきてね?」
儀間「はいはい。じゃあ待っててね?」
小川「は~い」
儀間「欲しい物は何が何でも手に入れる。それが私のやり方」
―――終わり




