コント集25
コント集25
241・・・・普通
242・・・・A
243・・・赤ずきん
244・・・お前に俺の何が分かる
245・・・痛
246・・・DNA鑑定
247・・・喰うか
248・・・やる事が多い
249・・・カロリー
250・・・ぎっくり腰
『普通』
・登場人物
康介(夫)
美幸(妻)
・舞台
自宅
明転。
自宅。テーブル一つにソファ二つ。
美幸、板付き。康介、舞台下手から登場。
康介「ただいま」
美幸「おかえりなさい」
康介「ご飯は外で食べてきた」
美幸「さっきメールで見た。お疲れ様」
康介「正将は?」
美幸「もう寝た」
康介「今日、正将の通知表が来たんだろ?どうだった?」
美幸「それがねぇ……」
康介「何?悪かったのか?」
美幸「いや、それが微妙で……」
康介「それって悪いって事なんじゃないのか?」
美幸「いや、何と言うか本当微妙で……」
康介「どういう事だ?」
美幸「実際、聞いてもらった方が早いかな。ちょっとそこ座って?」
康介「あ?あぁ」
美幸「行くよ?『基本的な生活習慣』。『普通』」
康介「おう」
美幸「『健康・体力の向上』、『少し普通』」
康介「少し普通?」
美幸「『自主・自律』、『やや普通』」
康介「やや普通?普通ってどういう事?」
美幸「まぁ最後まで聞いて?『責任感』、『ちょっと普通』」
康介「ちょっと普通?」
美幸「『創意工夫』、『ちょっぴり普通』」
康介「ちょっぴり普通?」
美幸「『思いやり・協力』、『ちょこっと普通』」
康介「ちょこっと普通?」
美幸「『生命尊重・自然愛護』、『ちょいと普通』」
康介「ちょいと普通?」
美幸「『勤労・奉仕』、『ちょい普通』」
康介「ちょい普通?」
美幸「『公正・公平』、『少々普通』」
康介「少々普通?」
美幸「『公共心・公徳心』、『そこはかとなく普通』」
康介「そこはかとなく普通?」
美幸「以上」
康介「一体どういう事なんだ?総合成績は?」
美幸「総合で四」
康介「そんなに細かく分けてる割に四なのか……よく分からん」
美幸「どう思う?」
康介「どういうこっちゃ分からん。ちなみに一番、上って何て評価なの?」
美幸「『かなり普通』」
康介「『普通』がデフォなのか……」
美幸「ちなみに一番、下は『物凄く普通』」
康介「凄いのか凄くないのか分からない……え?ちょっと待って?『かなり普通』って一個も入ってなかったよね?」
美幸「うん」
康介「正将に付けられた『普通』達ってどんな評価なの?」
美幸「全部、四~四.九って評価らしい」
康介「あ、そういう……ってか今の小学校ってそんなに評価を細かく分けてんの?」
美幸「みたい」
康介「ほー……何で全部『普通』なんだろう?」
美幸「今の時代、高い評価も低い評価も差別に繋がるから全部、差し障りの無い言葉に変えたらしい」
康介「はー……大変なんだな。今の先生って」
美幸「それがねぇ……」
康介「何?」
美幸「この先生だけみたいなのよね。この評価の付け方って」
康介「え?普通、統一してるもんじゃないの?」
美幸「働き方改革みたいなやつで、評価の仕方も先生それぞれに任せてるんだって」
康介「えぇ?それってどうなの?」
美幸「分かんない」
康介「でもとりあえす成績は四か。まぁまぁじゃない?」
美幸「まぁまぁだけど、二年生ならオール五でも良いんじゃないかなって」
康介「まぁ今は遊びたい盛りなんだろ。自分が危機を感じてから勉強を始めても小学生なら遅くはないよ」
美幸「普通そうなのかぁ……?」
康介「普通に普通だよ」
―――終わり
『A』
・登場人物
北島
藤原
・舞台
会社のオフィス
明転。
会社のオフィス。
北島、藤原、舞台上手から登場。
北島「さっきのが総務部、その前が人事部。そしてここが今日から藤原君が俺と一緒に働く営業部だよ」
藤原「はい。宜しくお願いします。北島先輩」
北島「何か質問はあるかな?」
藤原「そうですね。ここはA業部なんですよね?」
北島「そうだよ」
藤原「B業部はどこなんですか?」
北島「は?」
藤原「C業部もあるんですよね?」
北島「何を言ってるの?」
藤原「え?だってAがあるんだからBとCもあるんじゃないですか?」
北島「……あ、アルファベットだと思ってる!?」
藤原「はい」
北島「違うよ!?営業のエイは営むの方だよ!?」
藤原「あ、そうなんですね」
北島「もしかして他にも勘違いしてた?」
藤原「創夢部って夢を創る部じゃないんですか?」
北島「この会社じゃある意味そうだけど違うからね?総務部はそういう事しないから。事務の仕事だから」
藤原「そうなんですね。じゃあ仁義部も違うんですか?」
北島「人事部の事言ってる?何の仁義を通すんだ?主に人材の採用や研修等を担当する部署だよ」
藤原「そうだったんですねぇ。あ、今更ですけど、居酒屋とかにあるAのヒレも違うんですか?」
北島「Bのヒレもあると思ってた?」
藤原「はい。というか出てきたんで」
北島「出てきたのか……多分、どこかの地域のその魚をそう呼ぶんだよ」
藤原「成程ー」
北島「他に何か質問はある?」
藤原「ついでの雑談の質問でも良いですか?」
北島「この際、良いよ」
藤原「B利な刃物とかAしきとかってあるんですか?」
北島「……あ、鋭利な刃物と美意識の事、言ってる!?」
藤原「あ、そうです」
北島「無いからね?そんなの」
藤原「そうなんですかー。あ、じゃあこの流れで言うと。A級グルメとC級グルメは無いんですなね?」
北島「それはある!」
―――終わり
『赤ずきん』
・登場人物
赤ずきん
狼
狩人
・舞台
おばあさんの家
・衣装
赤ずきん・・・赤い頭巾にスカート
狼・・・頭巾に狼のマスク
明転。
おばあさんの家。ベッドが一つに椅子が一つ。
狼、板付き。ベッドの前にいる。
狼「しめしめ……おばあさんは食べた。後は赤ずきんが来るのを待つだけだ……」
SE、ノックの音。
赤ずきん「お祖母ちゃーん。赤ずきんだよー」
狼「おっと、来た来た(ベッドに入り、布団にくるまる)どうぞー。入ってらっしゃーい」
赤ずきん「(舞台上手から登場)お邪魔しまーす。お祖母ちゃん、パンとブドウ酒を持ってきたの。具合はどう?」
狼「大分、良くなったよ。ありがとうねぇ」
赤ずきん「あら?お祖母ちゃん、ちょっと見ないうちに大分、姿が変わったわね」
狼「年寄りだからね。色々、変わるもんなんだよ」
赤ずきん「お祖母ちゃんのお耳はどうしてそんなに大きいの?」
狼「それは、お前の声をよく聞く為だよ」
赤ずきん「お祖母ちゃん、どうしてそんなに目が大きいの?」
狼「それはお前の顔をよく見る為だよ」
赤ずきん「お祖母ちゃん、どうしてそんなにお口が大きいの?」
狼「それはね、お前を、食べる為だよー!(ガバッと起き上がり、赤ずきんに飛び掛かる)」
赤ずきん「(片手で狼の首を掴んで制する)へー」
狼「何っ!?」
赤ずきん「お祖母ちゃん、じゃあどうしてそんなに毛が多いの?」
狼「ちょっとちょっと!?」
赤ずきん「ねぇ、何で?」
狼「ちょっと!話を聞け!」
赤ずきん「先に質問をしたのはこっちだ。先に答えてもらおう」
狼「狼!俺、狼!」
赤ずきん「そうなんだー。じゃあ何で肉球が着いてるの?」
狼「狼だから!」
赤ずきん「そうなんだー。じゃあ何で尻尾が着いてるの?」
狼「だから狼だからって言ってるだろ!離せよ!?」
赤ずきん「質問しているのはこっちだと言っただろう。それともこの首、へし折られてぇか?」
狼「ヒッ……!わ、分かった!」
赤ずきん「どっちが上か分かってねぇみてぇだな」
狼「ヒッ!すいません!すみません!何でも答えます!」
赤ずきん「お祖母ちゃんはどこだ?」
狼「俺の腹ん中です!」
赤ずきん「どうやって食った?」
狼「丸飲みです!」
赤ずきん「まだ生きてるか?」
狼「はい!まだ多分生きてます!」
赤ずきん「まだ?多分?」
狼「いえ!絶対に生きてます!」
赤ずきん「そうか。もし嘘だったらこのこの首、へし折るからな?」
狼「ヒェッ!?ど、どうしたら良いんですか!?」
赤ずきん「吐け。今すぐ」
狼「は、はい!えーっと、オエー!」
赤ずきん「馬鹿野郎!私が汚れるだろうが!風呂場で吐け!」
狼「はい!すみません!」
赤ずきん「こっちへ来い。風呂場に案内してやる」
狼「はい!(赤ずきんと共に舞台下手に退場)おえー!」
赤ずきん「もっと!」
狼「おえー!」
赤ずきん「早く!」
狼「おえー!」
SE、ズルン。
赤ずきん「お祖母ちゃん!?お祖母ちゃん!?意識が無い!狼!早く医者を連れて来い!」
狼「は、はい!(舞台下手から登場)ふぅ……えらい目にあった……このまま逃げちゃお」
赤ずきん「あ、狩人が狙ってるから逃げようなんて考えるなよ?」
狼「狩人?」
SE、バキューン!
狼「何!?」
狩人「(舞台上手から登場)狩人だ」
狼「マジかよ!?」
狩人「責任もって最後まで付き合え」
狼「こんな童話があってたまるかー!」
―――終わり
『お前に俺の何が分かる』
・登場人物
北島
藤原
・舞台
ダム
明転。
ダム。
北島、藤原、板付き。北島、爆破スイッチを持っている。
藤原「止めろ!このダムを壊して何になる!?」
北島「このダムに沈められた村にはなぁ、俺の家族の思い出があったんだよ!このダムが無けりゃ、父さんと母さんは……!」
藤原「良いからその起爆スイッチを渡せ!」
北島「嫌だ!」
藤原「こんな事しても無駄だぞ!?」
北島「黙れ!俺はこのダムが嫌いだった……!このダムが無ければ、俺の父さんと母さんは今でも元気に暮らしてたんだ!」
藤原「そんな事をしてご両親が喜ぶと思うのか!?」
北島「五月蠅い!お前に俺の何が分かる!?俺の気持ちが分かるのかよ!?」
藤原「分かるさ!」
北島「何だと!?」
藤原「お腹いっぱいご飯を食べたい!違うか!?」
北島「……は?」
藤原「違ったか!じゃあお風呂に入ってリラックスしたい!違うか!?」
北島「何、言ってんの?」
藤原「また違ったか!じゃあふかふかのお布団でぐっすり寝たい!違うか!?」
北島「マジで何、言ってんの?」
藤原「また違ったか!じゃあえーっと、えーっと……」
北島「ちょちょちょ……本当に何を言ってんの?」
藤原「君の気持ちを考えてるんだ!」
北島「……あ、そういう事!?全然、違うからね!?」
藤原「じゃあ何を考えてるんだ!?」
北島「それを俺の口から説明するのは恥ずかしいと言うか……」
藤原「エッチな事か!?エッチな事なのか!?」
北島「違うわ!」
藤原「恥ずかしがらなくて良いんだぞ!?男同士,腹割って話そうじゃないか!」
北島「だからそうじゃないって!」
藤原「先陣斬って言えないなら俺から話そう!俺は声フェチだ!」
北島「聞きたくない!聞きたくない!」
藤原「じゃあ何を考えてる!?言わないなら俺は自分の性癖を言い続けるぞ!さっき言った通り声フェチだ!後、顔フェチだ!それから……」
北島「聞きたくないって!分かった!言うから!」
藤原「はい!」
北島「俺は村がダムの為に沈むって話を聞いた時、父さんは賛成、母さんは反対した。それが原因で両親は離婚。俺は母さんに着いていった。母は最期まであの村と父さんの事を思って病死。その後、父さんも母さんとの最後の喧嘩に後悔して死んでいった……お前にこの気持ちが分かるか!?」
藤原「…………」
北島「どうだ!?分かるかって聞いてんだよ!」
藤原「ごめん。分からない」
北島「は?」
藤原「で、その後どういう気持ちになったの?」
北島「それ言わせる!?」
藤原「分からないまま終わるとスッキリしない」
北島「えぇ……?じゃ、じゃあ分かったよ。言うよ。悔しいし悲しい。分かった?」
藤原「つまんな」
北島「何だと?」
藤原「もっとこう……何か複雑な感情が出てるのかと思ったら、案外あっさりした感情でつまらん」
北島「何だと!?だったらお前は俺の立場になったらどう思う!?」
藤原「えぇ?だって君じゃないし」
北島「考えてみろ!」
藤原「えー?しょうがないなぁ。ちょっと考えるから待ってて?」
北島「良いとも!」
藤原「……両親の夫婦喧嘩を日々、見る恐怖と不安。別れて尚、元夫の事を想いながら死んでいく母を見る悲しみと父への怒り。再会した父との会話の中、母への謝罪を聞いて溢れる心の苦しみ。そしてダムの為に沈んだ村での思い出。楽しかった日々、悲しかった日々、色んな感情が混ざり合って、憎悪の塊になった。かな?」
北島「この短時間でよくそこまで思えたね!?そうそう、それだよ!」
藤原「じゃあ最初からそう言いなよ。ちゃんと義務教育で国語、学んだの?」
北島「もういい!このダムを爆破する!」
藤原「ちょっと待って。(無線を取り出す)はい。はい。分かりました」
北島「何だ?」
藤原「いや、こっちの話」
北島「爆破するぞ!」
藤原「すれば?」
北島「何っ!?」
藤原「すれば?爆破」
北島「何だって!?」
藤原「だからすれば良いじゃん。爆破。復讐出来てスッキリするだろ?」
北島「お前も死ぬ事になるぞ!?」
藤原「君も死ぬじゃないか」
北島「このダムが崩壊すれば、この先にある村も沈むんだぞ!?」
藤原「爆破したいの?したくないの?どっちなの?」
北島「爆破する!」
藤原「じゃあすれば?」
北島「どうなっても知らないからな!(スイッチを押すが何も起きない)あれ?あれ?どうなってる!?爆破しないぞ!?」
藤原「俺は君と話す事が仕事だったんだ。時間稼ぎだよ」
北島「どういう事だ!?」
藤原「爆弾は解体されたようだ」
北島「何だって!?」
藤原「君と話して時間稼ぎをしている間に爆弾処理班に爆弾を解体させた」
北島「クソッ……!」
藤原「手錠、掛けさせもらうぞ?(北島に手錠を掛ける)」
北島「……すみませんでした」
藤原「一つ良い事を教えてやろう」
北島「何だ?」
藤原「このダム、近々、解体されるんだよ」
北島「何だって……?」
藤原「老朽化でな。そして新たに建築される予定も当分無い」
北島「そうだったのか……」
藤原「だから言ったろ?こんな事をしても無駄だって」
北島「すみませんでした……!」
藤原「罪を償ったら、この村に来いよ」
北島「はい……!」
藤原「じゃああっちにパトカーがあるから行こう」
北島「はい……本当に申し訳ありませんでした……!」
SE、無線の音。
藤原「はい。こちら藤原。爆弾は?うん、うん。え!?解除出来てない!?じゃあ何で爆発しなかったんだ?うん、うん。あ、そうなの?狂言?はい。はーい。お疲れ様でしたー。偽物の爆弾だったのか」
北島「こんな事でもしないと、他の元村達がやってくると思って……」
藤原「元村民達が復讐するのを止める為に大事件にして警備体制を厳重にして抑制しようと考えたのか」
北島「俺は、父さんと母さんの気持ちをどちらも尊重したくて……!」
藤原「気持ちは分かるぞ」
北島「やっと、気持ちが分かってくれたな」
―――終わり
『痛』
・登場人物
北島
藤原
・舞台
藤原宅
明転。
藤原宅。卓袱台一つに座布団二つ。
藤原、板付き。腕を擦っている。
SE、ピンポーン。
藤原「おっ、来たか」
藤原、舞台上手に退場し、北島と共に舞台上手から登場。
藤原「どうぞ上がって~」
北島「お邪魔しまーす」
藤原「あの店、開くのまだ時間あるよな?」
北島「だな。どうせ暇だし暫くお前ん家で時間、潰そうと思ってな」
藤原「もう飲んじゃう?」
北島「いや、ここで腹を満たしたらあの店で楽しめなくなっちゃう」
藤原「それもそうだな。じゃあゲームでもする?」
北島「なぁ。さっきから腕、擦ってるけどどうした?」
藤原「ちょっと痛くてな……」
北島「鈍痛?」
藤原「いや、ドン痛じゃない」
北島「じゃあ激痛?」
藤原「いや、劇痛じゃない」
北島「じゃあズキズキ痛む感じ?」
藤原「いや、好き好き痛む感じでもない」
北島「じゃあ何だ?病院に行った方が良いんじゃないか?」
藤原「いや、少ししたら治ると思う」
北島「いつから痛むんだ?」
藤原「さっき外で転んだ時に肘を打った時だな」
北島「じゃあズキズキ痛むんじゃないか」
藤原「いや、好き好きじゃない」
北島「やっぱり鈍痛じゃない?」
藤原「いや、ドン痛じゃない」
北島「だったら激痛じゃないか?」
藤原「いや、劇痛じゃない」
北島「じゃあどういう痛みなんだ?」
藤原「何と言うかこう……ギザギザな物で擦られてるみたいな痛み」
北島「じゃあ激痛じゃないか」
藤原「え?劇痛って舞台劇を見て感じる痛みの事じゃないの?」
北島「違うぞ?もしかしてズキズキ痛むのも勘違いしてる?」
藤原「好き過ぎて心が痛む事じゃないの?」
北島「全く違うぞ?じゃあ鈍痛は?」
藤原「銃でドンッて撃たれた時の痛みじゃないの?」
北島「全然違うぞ?ってかそれら痛みの表現じゃなくて原因になったものじゃないか」
藤原「それもそうか。ずっと勘違いしてた」
北島「もしかして他の痛みも勘違いしてる?」
藤原「かもしれん」
北島「陣痛は?」
藤原「神による痛み」
北島「違うな。赤ちゃんを出産する為に必要な子宮の収縮の事だな」
藤原「そうだったのか」
北島「腹痛は?」
藤原「七福神による痛み」
北島「違うな。お腹が痛くなる事だよ」
藤原「そうなのか」
北島「頭痛は?」
藤原「豆を食べる事で起きる痛み」
北島「それって腹痛じゃない?頭が痛い事だよ」
藤原「そうなのか」
北島「胃痛は?」
藤原「医者による痛み」
北島「胃が痛い事ね?」
藤原「そうなのか」
北島「よくもまぁこんなに勘違いし続けたものだな」
藤原「まさか自分でもこうなってるとは思わなかったよ」
北島「よく全部を難しく勘違い出来たな」
藤原「一応、大学出てるんだけどな」
北島「本当だよ。病院に行った時どうしてたの?」
藤原「物心ついた時から病院に行った事、無くて」
北島「それは凄いな」
藤原「あ、あれはそうでしょ?死痛」
北島「何?」
藤原「死ぬ時に感じる痛み」
北島「歯が痛い事ね?延々、続くよこれ」
―――終わり
『DNA鑑定』
・登場人物
康介
美幸
正将
・舞台
自宅
明転。
自宅。テーブル一つに椅子が四つ。
美幸、板付き。
康介「(舞台下手から登場)ただいま」
美幸「おかえりなさい」
康介「あ、起きてたのか。正将は?」
美幸「もう寝た」
康介「そうか。あ、メールでも送ったけど、遅くなったから外で食事は済ませてきたから」
美幸「そう」
康介「風呂入るね」
美幸「ねぇ、アナタ。ちょっと話があるんだけど」
康介「何?風呂入った後じゃ駄目?」
美幸「うん」
康介「急ぎの話?」
美幸「うん」
康介「分かった。何?」
美幸「アナタ、浮気してたでしょ」
康介「何だよ?藪から棒に。してないよ」
美幸「嘘。私、知ってるんだから」
康介「何を?」
美幸「これよ!(DNA鑑定書をテーブルに出す)」
康介「何これ?」
美幸「DNA鑑定書よ!これでアナタの浮気が分かったわ!」
康介「どういう事?」
美幸「血液型が合わないから、もしかしてと思って調べてみたのよ!」
康介「それで?」
美幸「正将は私の子じゃない!血の繋がりが無いの!アナタが他所で作った子供だったのよ!」
康介「……誰の子だよ!?」
美幸「え?」
康介「普通、逆だよ!」
美幸「え?え?」
康介「普通、夫側が自分の子供かどうかを調べて、托卵されたとか浮気されたとかが分かるのがDNA鑑定だよ!」
美幸「え?え?え?」
康介「これじゃあ必然的に俺の子でもないよ!」
美幸「え?え?え?え?じゃ、じゃあこれって……?」
康介「多分、俺の子でもないよ!」
美幸「そんな……!?」
康介「大体さぁ、自分であの子を産んだ記憶は無い訳?」
美幸「あるわよ!」
康介「じゃあ何かの手違いで子供が入れ替わったとしか思えないだろ!」
美幸「病院側の問題って事!?」
康介「多分な!」
正将「もー。父さん、母さん?こんな夜に何だよ?」
美幸「あ、正将。ごめんね。起こしちゃった?」
正将「五月蠅かったもん。何?夫婦喧嘩?」
康介「いやー、何と言うか……」
正将「何これ?」
康介美幸「あっ!それは!」
正将「DNA鑑定書?あー、遂に気付いたか」
康介美幸「え?」
正将「俺は養子だよ」
康介美幸「は?」
正将「なかなか子供が出来なくて、父さんと母さんが俺を養子にしたんだよ」
美幸「で、でも、私には貴方を産んだ記憶が!」
正将「俺が催眠術を掛けたんだよ。父さんと母さんが俺に頼んでね」
康介「どういう事だ?」
正将「今、催眠を解くよ(手を叩く)。はい。どう?」
康介「……そうだ!俺達はなかなか子供が出来なくて悩んでて……!」
美幸「互いに不妊症で、仕方なく養子を迎えたんだった……!」
康介「そして本当の息子じゃない事で鬱気味になったから……!」
美幸「正将が催眠術を独学でやってるって聞いたからお願いしたんだった……!」
正将「ショック?」
康介美幸「微妙……!」
正将「じゃあこのまま記憶を取り戻したままにする?また記憶改ざんする?」
康介「でももう鬱じゃなくなったしなぁ」
美幸「このままでも良いんじゃない?」
正将「俺の事、これからも本当の息子として接してくれる?」
康介「あぁ」
美幸「うん」
正将「じゃあこれからも宜しくね」
康介美幸「宜しく!」
―――終わり
『喰うか』
・登場人物
北島
藤原
枝村
・舞台
取調室
明転。
取調室。机一つに椅子二つ。
北島、藤原、枝村、板付き。
藤原「お前がやったんだろ!」
北島「俺はやってねぇ!」
藤原「いい加減に吐け!じゃないと帰さないからな!」
北島「俺には黙秘権がある!」
藤原「何だとこの野郎!」
枝村「藤原さん!一旦、落ち着きましょう!」
藤原「……そうだな」
北島「ふんっ!」
藤原「あぁ、もうこんな時間か。北島。お前、腹、減ってねぇか?」
北島「そんなんで俺は喋らねぇぞ」
藤原「好意は受け取っておくものだぜ」
北島「そうかよ。じゃあ喰わせてもらおうか」
藤原「よし。おい、枝村。カツ丼だ」
枝村「はい(舞台上手に退場)」
北島「本当に取り調べでカツ丼が出るんだな」
藤原「美味いぞー。あの店は」
枝村「(舞台上手からカツ丼とスープを持って登場)ほら、カツ丼だ(舞台上手に退場)」
北島「じゃあ喰わせてもらおうか」
藤原「どうだ?美味いか?」
北島「意外に美味いじゃねぇか」
藤原「そうだろう、そうだろう!スープも飲め!」
北島「おう」
藤原「美味いか?」
北島「美味い」
藤原「そうか、そうか!じゃあ蕎麦も食うか?」
北島「いらない」
藤原「カレーはどうだ?」
北島「いらねぇ」
藤原「天ぷらははどうだ?」
北島「いらん」
藤原「唐揚げはどうだ!?」
北島「いらねぇって!」
藤原「竜田揚げはどうだ!?」
北島「おい!待て!」
藤原「何だ?」
北島「お前はおばあちゃんか!」
藤原「何だって?」
北島「そんなに俺に飯を喰わせたいのか?」
藤原「うん」
北島「何で?」
藤原「お腹減ってると思って」
北島「腹を満たせて白状させようって魂胆じゃないのか?」
藤原「いや?純粋にお腹いっぱいにさせたくて」
北島「余計なお世話だよ」
藤原「もしかしてここに来る前に何か食べてきたのか?」
北島「喰ったよ。五時間程前にな」
藤原「体調、悪いのか?」
北島「そういう事じゃない」
藤原「嫌いなものがあったのか?」
北島「そういう事でもない」
藤原「アレルギーがあるのか?」
北島「だからそういう事でもない」
藤原「トラウマでもあるのか!?」
北島「だから違ぇって!」
藤原「じゃあ何だ!?」
北島「これでお腹いっぱいなんだよ!」
藤原「まだ若いのに!?」
北島「若さは関係無いだろ!」
藤原「育ち盛りなんだからいっぱい食べなさい!」
北島「やっぱりお前おばあちゃんだろ!」
―――終わり
『やる事が多い』
・登場人物
北島
藤原
・舞台
取調室
明転。
取調室。机一つに椅子二つ。
北島、藤原、板付き。
北島「お前がホテル爆破、及び五人の殺人事件の犯人か?」
藤原「はい……」
北島「そうだったのか」
藤原「何ですか?」
北島「いや、こっちの話。何でこんな事をした?」
藤原「アイツら、学生時代に俺の事を虐めてきたんです……いつか殺してやろうと思ってて……」
北島「だが殺しはいかんなぁ」
藤原「でもそれ以外に復讐方法が思い付かなかったんです……」
北島「復讐はそもそもいけないが、もし見返してやりたいならビッグになってやるとかで良かったんじゃないか?」
藤原「この手で、殺してやりたかったんです……!」
北島「そうか。分かった。じゃあまず初めから聞いてくぞ。どうやって殺した?」
藤原「ナイフで……」
北島「爆弾を使ってホテルを爆破したな。その爆弾はどうやって手に入れた?」
藤原「マフィアに頼んで……」
北島「そのマフィアとはどうやって知り合った?」
藤原「ネットで検索したら出てきて……」
北島「金はどうした?」
藤原「裏社会の人に借りて……」
北島「爆弾はどこに仕掛けた?」
藤原「ホテルの地下に……」
北島「具体的にどこだ?」
藤原「まず配電室に仕掛けて停電を狙いました……」
北島「どうやって配電室に入った?」
藤原「鍵を盗みました……」
北島「どこで盗んだ?」
藤原「警備員室に入りました……」
北島「どうやって警備員室に入った?」
藤原「警備員の一人の家に忍び込んで鍵を盗みました……」
北島「どうやってその人の家に入った?」
藤原「その人の鍵を盗みました……」
北島「どうやって盗んだ?」
藤原「その人の鍵をスりました……」
北島「監視カメラがあっただろう。バレなかったのか?」
藤原「監視カメラに仕掛けをしました……」
北島「どうやって監視カメラを仕掛けた?」
藤原「さっきの警備員の鍵で警備室に入ってカメラに細工しました……」
北島「どう細工した?」
藤原「ダミーの動画を流しました……」
北島「どういう動画だ?」
藤原「先日の動画をコピーして、それをまた流すようにしました……」
北島「どうやってコピーした?」
藤原「USBメモリでコピーしました……」
北島「どうやって爆破した?」
藤原「時限爆弾で爆破しました……」
北島「どうやって時限爆弾を作った?さっきのマフィアか?」
藤原「借金した所とは別の裏社会の人に頼みました……」
北島「その裏社会の人間とはどうやって知り合った?」
藤原「ネットで闇の何でも屋があって、そこに依頼して郵送してもらいました……」
北島「それも前の裏社会の団体に頼んで金を借りたのか?」
藤原「はい……」
北島「会場は真っ暗だっただろう。どうやって探し出して殺害した?」
藤原「蛍光塗料を服に掛けてたので光って見えました……」
北島「どうやって蛍光塗料を掛けた?」
藤原「パーティー用にプレゼントと偽って前もって蛍光塗料入りの香水を彼らに送りました……」
北島「どうやって住所を知った?」
藤原「探偵に依頼して……」
北島「それでナイフでグサッと、か?」
藤原「はい……」
北島「どうやって会場から抜け出した?」
藤原「緊急灯が点く前に会場を抜け出して、関係者専用出入り口から逃げました……」
北島「どうやって関係者専用出入り口を見付けた?」
藤原「警備員室に忍び込んだ時にホテルの地図を見ました……」
北島「はぁ~ん?用意周到だな」
藤原「すみませんでした……」
北島「っていうか、やる事が多くない?」
藤原「え?」
北島「いや、やる事が多いなって思って」
藤原「ま、まぁ、そうですね……」
北島「もっと犯罪って簡単なものが多いからこんな大事件は初めてだよ」
藤原「まぁ、普通はそうですよね」
北島「こんな手の込んだ用意周到な犯行して何で捕まったんだ?」
藤原「犯行が成功して家で酒飲んで、気分が良くなって飲酒運転したら検問で酒気帯び運転ってっ事で捕まりました」
北島「いるんだよなぁ……こういう、大成功した後で雑な事で捕まる奴」
藤原「例えば?」
北島「罪を犯して高跳びした後、その国で事故を起こして捕まった奴とか、違法薬物の取り締りを搔い潜ったのに自分で使って事件起こして捕まった奴とか」
藤原「はぇ~……間抜けな奴もいるもんですねぇ」
北島「その内の一人がお前だぞ?」
藤原「ごめんなさい」
北島「何で普通に殺さなかった?」
藤原「逃げ切ろうと思って……」
北島「でも捕まったじゃないか」
藤原「それは今回の事件とは関係無いですよね?」
北島「それはまぁ確かに」
藤原「というか逆に何で俺があの事件の犯人だって分かったんですか?」
北島「あのホテルの防犯カメラを確認したらお前が最初は映ってるのに、停電後は映っていなかったからついでに聞いたらお前が勝手に自白した」
藤原「えぇ!?じゃあ自白しなかったら俺、逮捕されなかったんですか!?」
北島「純粋に飲酒運転しただけだから罰金か懲役で終わりだな」
藤原「そんなぁ……」
北島「お前が自滅しなけりゃこうはならなかったな」
藤原「今からでも遅くない。俺の証言、取り消して下さい」
北島「もう遅い。さぁ、裁判が待ってるぞ」
藤原「死刑ですかね……?」
北島「五人も殺しゃ、多分、死刑だろうな」
藤原「俺はあいつらのせいで人生狂わされたんですよ?情状酌量の余地はありませんか?」
北島「知らん。俺は裁判官じゃないからな」
藤原「そうですか……じゃあ今ここで舌を切って死にます!」
北島「止めろ!」
藤原「どうせ死ぬなら自分の手で!」
北島「自分の歯だけどな!」
藤原「五月蠅い!」
北島「舌を噛み切っても死ねないぞ!」
藤原「え?」
北島「痛くて喋れなくなるだけだぞ!」
藤原「そうなんですか?俺を死なせないようにさせる為の嘘じゃないんですか?」
北島「喋れなくなって死刑になっても知らんぞ!?」
藤原「じゃあ止めます。刑事さん。俺の為に言ってくれたんですよね?」
北島「え?あぁ、まぁ」
藤原「俺、人に親切にしてもらったの初めてです!ありがとうございます!」
北島「あ、はい。どういたしまして?」
藤原「じゃあ俺、刑に服します!死刑になったとしても、精一杯、生きます!」
北島「あ、そう。死刑にならない事を祈ってるよ」
藤原「最後までありがとうございます!」
北島「あ、後ろの人ー?護送お願いしまーす。ほら、行け」
藤原「はい!ありがとうございました!(舞台上手に退場)」
北島「情状酌量で無罪になる事を祈るかぁ」
―――終わり
『カロリー』
・登場人物
北島
藤原
枝村(店員)
・舞台
居酒屋
明転。
居酒屋。テーブル一つに椅子二つ。テーブルには酒とつまみ。
北島、藤原、板付き。
北島「藤原。お前、太った?」
藤原「そうなんだよ。去年より十キロも太っちゃってさ」
北島「健康診断、行った?」
藤原「行った、行った。そしたら血糖値とコレステロール値が高くてダイエットを勧められたよ」
北島「禁酒と禁煙すんの?」
藤原「ちょっとは良いってさ」
北島「じゃあ今日はチートデイみたいなものか?」
藤原「そうだな」
北島「でもカロリーは考えないとな」
藤原「そうだなー。あ、すみませーん」
枝村「はーい(豚下手から登場)」ご注文でしょうか?」
藤原「はい。ビール追加と、あん肝と油揚げの醤油和えと枝豆大盛りお願いします」
枝村「畏まりましたー(舞台下手に退場)」
北島「大丈夫か?」
藤原「何が?」
北島「まだ酒とつまみがこんなにあるのに追加注文なんてさ」
藤原「大丈夫。カロリー計算はしてきてるから」
北島「本当か?もう二千キロカロリー超えるんじゃないか?」
藤原「大丈夫だって。夕飯は二千二百キロカロリーになるようにしてるから」
北島「……ん?」
藤原「どうした?」
北島「ちょっと待って?」
藤原「だからどうした?」
北島「今、夕飯は二千二百キロカロリーになるようにしてるって言った?」
藤原「言ったよ?」
北島「もしかして朝食と昼食も二千二百キロカロリーにしてる?」
藤原「そうだよ?」
北島「って事は一日に六千六百キロカロリー食べてるって事!?」
藤原「うん」
北島「それ間違ってってるよ!一日、二千二百キロカロリーに抑えるんだよ!」
藤原「あ、そうなの?病院にあったメニュー表にあったカロリーって一食毎って事だと思ってた」
北島「全然、違うよ!?一日に二千二百キロカロリーだからね!?」
藤原「道理で太る訳だ」
北島「そりゃそうよ。ってか一日にそんだけ喰ってその体型って逆に凄いな。仕事以外で普段、何してんの?」
藤原「毎日四十キロほど走ってる」
北島「凄っ!?何時間くらいで走るの?」
藤原「大体、二時間くらいかな?」
北島「凄いよそれ!?今度、大会に出てみなよ!」
藤原「勝てるかなー?」
北島「絶対に勝てるって!応援してるからさ!」
藤原「おう、ありがとう。出てみるわ」
暗転。
明転。
居酒屋。
北島、藤原、板付き。
北島「言った通りだったろ?」
藤原「今度プロのマラソン大会に出る事になった」
北島「スポンサーは?」
藤原「付いた。これからは今の会社を辞めて転職する事になった」
北島「今より食事制限されるんだろ?」
藤原「基本的には自由に喰って良いってさ」
北島「何で?」
藤原「喰わないと逆に瘦せ過ぎるらしい」
北島「カロリー計算しないで痩せて金も貰えるとか羨ましい」
藤原「そうだな。あ、すみませーん」
枝村「はーい〈舞台下手から登場〉。ご注文でしょうか?」
藤原「はい。ビールとあん肝と油揚げの醤油和えと枝豆大盛りと焼き鳥盛り合わせと唐揚げとラーメン。北島は?」
北島「あ、とりあえず俺はビールで」
枝村「畏まりましたー(舞台上手に退場)」
北島「大丈夫か?」
藤原「何が?」
北島「そんなに飲み食いして」
藤原「大会に備えて太るのが俺の仕事」
北島「カックイ~!」
――終わり
『ぎっくり腰』
・登場人物
小川(SM嬢)
藤原
儀間(受付嬢)
北島(救急隊員)
枝村(救急隊員)
・舞台
SMクラブ
・衣装
小川・・・ボンテージ
藤原・・・パンツ一丁
明転。
SMクラブ。
藤原、板付き。
藤原「奮発して一番人気SM嬢の小川女王様を指名しちゃった。楽しみだなぁ。ヘックシ!(倒れ四つん這いになる)あれ?あれ?痛っ!?」
小川「(舞台上手から登場)失礼しまーす。小川でーす。あら?もうお仕置きされたいんですかぁ~?」
藤原「ち、違う!」
小川「乗っちゃいますね~」
藤原「いででででで!」
小川「感度が良いんですねぇ~。ほ~ら鞭ですよ~」
藤原「や、止めてくれ!」
小川「よく鳴きますね~。じゃあ蠟燭でも垂らしましょうか~?」
藤原「マジで止めてくれ!」
小川「嫌よ嫌よも好きの内ってやつですか~?」
藤原「冗談じゃなく!プレイの一環じゃなくて!」
小川「え?そうなんですか?」
藤原「とりあえず降りて!」
小川「(降りる)ど、どうされました?」
藤原「ぎっくり腰です!」
小川「え?」
藤原「だから、ぎっくり腰です!」
小川「え、え、え?ど、どうしたら良いですか?」
藤原「救急車!」
小川「え、あ、はい……儀間ちゃーん?救急車、一台、呼んでー?」
儀間「えー?(舞台上手から登場)どしたのー?」
小川「豚、具合が悪いんだって」
藤原「こんな時に誰が豚だ」
儀間「えぇ!?豚様!?」
藤原「様を付けても意味無いですよ」
儀間「体調が優れないんですか!?」
藤原「えぇ、まぁ」
儀間「最近の流行り病ですか!?そういった方は最初からご来店を控えて頂くようにしているのですが!?」
藤原「違う違う。ぎっくり腰」
儀間「えぇ!?ぎっくり腰ですか!?どうしてそんな状態で来られたんですか!?」
藤原「違うって。くしゃみしたらぎっくり腰になったの」
儀間「くしゃみを!?やっぱり流行り病では!?」
藤原「だから違う。多分、花粉症」
儀間「本当ですか!?」
藤原「本当!本当!だからとりあえず救急車、呼んで下さい!」
儀間「…………(鞭で叩く)」
藤原「いった!?何するんですか!?」
儀間「いや、第三者に見てもらいたいってプレイなのかなって!」
藤原「違いますよ!いいから救急車を!」
儀間「は、はい!(舞台上手に退場)」
藤原「はぁ……」
小川「(鞭で叩く)」
藤原「だから痛いって!」
小川「どんな感じですか?」
藤原「は?」
小川「痛み」
藤原「何でそんな事を言わなくちゃいけないんですか?」
小川「もし今後、このような豚がいらっしゃった時の参考にしたくて」
藤原「だから豚って言わないで下さい」
小川「で、どんな感じなんですか?」
藤原「えぇ?えーっと、普段の腰痛みたいな鈍痛じゃなくて、鋭い刃物で刺されたような痛さ、ですかね」
小川「どんな時に起きました?」
藤原「俺の場合はさっきくしゃみした時に」
小川「成程ー。私も気を付けよーっと」
儀間「(舞台上手から登場)救急車呼びましたー!」
小川「はーい」
藤原「ありがとうございます」
小川「あ、最後にこれだけ良いですか?」
藤原「何ですか?」
小川「これからSMクラブからパンツ一丁で緊急搬送される気分はどうですか?」
藤原「……あっ!?」
小川「ねぇねぇ。どうですか?」
藤原「やっぱり取り消しでー!すみませーん!救急車、帰してー!」
SE、救急車のサイレン。
儀間「あ、来たみたいですよ!?」
藤原「嫌だー!このまま運ばれたくなーい!」
小川「ねぇねぇ。どんな感じ?」
北島「(枝村と共に舞台上手から登場)救急です。患者は?」
儀間「この人です!」
藤原「違いまーす!帰って下さーい!」
枝村「どういう状況ですか?」
小川「くしゃみしたらぎっくり腰になったみたいです」
北島枝村「(顔を見合わせる)……ぷっ」
藤原「あー!笑ったー!」
北島「とりあえず倒しますね(藤原を倒して横にさせる)」
藤原「いってぇ!」
枝村「どうですか?痛みは感じますか?」
藤原「え?あー、四つん這いになってた時よりは楽ですねぇ」
枝村「なら大丈夫でしょう。数時間すれば良くなりますよ」
藤原「あ、そうですか……」
北島「湿布とか氷嚢を腰に当てて安静にして下さい」
儀間「分かりました!」
北島「では我々はこれで。お大事になさって下さい(枝村と共に舞台上手に退場)」
藤原「最後の最後まで笑われた……」
儀間「じゃあ今日は特別に少し長く店を開けておくので、ゆっくり休んで下さいね!(舞台上手に退場)」
小川「ねぇ、どんな気持ち?」
藤原「恥ずかしい以外にありますか?」
小川「じゃあこの店でやりたい事は達成しましたね」
藤原「目的自体は達成しましたけれども!」
―――終わり




