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⑦勇者の役割

『魔王』を倒した時の事は、よく覚えている。



満身創痍で倒れたサラに駆け寄るチユ。


消滅直前の魔王の言葉。




「『魔王』は何度でも蘇る」



奴は、確かにそう言った。




百年ごとに現れる魔王。


百年ごとにやってくる勇者。


その因果関係。




当然気にはなったが、ひとまず世界は平和を取り戻した。








故郷に戻ると、僕達はそれは盛大に迎えられた。


僕があんなに喜んだ両親を見るのは、チユが生まれた時以来だった。


街を上げた祝賀会は、一晩中続いた。




そして、その日の夜。


騒ぎ疲れて眠ってしまったチユを寝室に運び込み、ふと気になっていた事を聞いた。


「それで、サラはどうするんだ」


「どうする、って?」


「サラは、勇者の役割を果たしてくれた。いつでも、元の世界に帰れる」


「元の世界…」


この提案は、サラにとっては予想外だったらしく、黙りこんでしまった。




僕達が旅に出ている間、両親はチユが元の世界に帰る方法を調べていた。


勇者は決まって、異世界からやって来る人間。


それなら、サラにも帰る場所があるのではないかと、両親は考えたのだ。




サラはしばらく考えて、静かに僕の問いに答えた。



「ここは、好き。クロウやチユ。お父さんやお母さんもいる。でも…」



「でも?」




「私は、元の世界も好きだった」




その一言に、全てが詰まっていた。




「なら、帰った方がいいな」


「うん…」




それきり、サラは再び黙ってしまった。



ただじっと、眠るチユを見つめていた。


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