②僕とサラ
サラを背負って門の前にたどり着くと、既に何人か門の開くのを待つ冒険者の姿があった。
勿論、移動中も周囲への警戒は怠っていない。
「サラちゃん、また無茶したのかい?」
「責任感が強いっつうか、何つうかなあ」
冒険者達が、心配そうにサラの様子を見に来る。
「困ったもんですよ、本当に」
彼らを安心させたくて、僕は努めて明るく笑ってみせる。
「ん…クロウ…?」
ゆっくりと、サラが目を開ける。
「サラ、起きたか」
「起きてない、おやすみ」
「おい、起きてるだろ」
疲れて自分で歩きたくない時、サラはこうして寝たふりをする。
「私は頑張ったから、このまま帰る」
サラは両手にぎゅっと力を込める。
「おいクロウ、サラちゃんは頑張ったんだからそれくらいしてやれよ」
「そうだそうだ」
僕は溜め息をつく。
冒険者達は、基本サラに甘い。
それは、僕自身も例外では無い。
「仕方ないな」
僕は、サラを背負い直す。
冒険者だけじゃない。
この街の人間はみんな、一生懸命で危なっかしいサラに甘くなってしまうのだ。
やがて、午後五時になり門が開いた。
ぞろぞろと街へと戻る冒険者達と共に、僕とサラも門を潜る。
「ねえクロウ。私、強い?」
背負われながら、僕にしか聞こえないくらいの声でサラが呟いた。
「ああ、サラは最強だ」
「魔王も、倒せるくらい?」
「ああ。でもサラは強すぎて、一人だと森や街まで破壊してしまうからな」
「でも、クロウがいつも魔法でコントロールしてくれるから、私はこうして戦える」
「当たり前だろ。その為に僕は制御魔法を極めたんだ」
「ん、そうだね」
話しながら歩いていると、僕達の暮らす冒険者専用の集合住宅が見えてきた。
ここの一室で、僕とサラは暮らしている。
「ねえクロウ。あと半年で、私はどこまで強くなれるかな」
「…さあ、どうだろう」
僕はその質問には答えず、鍵を開けて部屋へと入った。
今から約半年後。
伝説の勇者であるサラと、その友達兼相棒である僕は、魔王討伐の旅に出る事が決まっている。




