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―第6話 「漏れた歪み」―

投稿遅れてしまいました…pc勢の皆さんを頼りにしていきてるので見捨てられたら死にます…そろそろ感想とかブクマ貰えるような人物になれるよう頑張ります

朝。


鏡に映る自分は、いつも通りのはずだった。


それなのに、どこか輪郭がわずかにぼやけて見える。



「氷月」


結菜の声で意識が現実に戻る。



「おはよう」


そう言った瞬間、ほんの少しだけ引っかかる感覚があった。


私。


そのはずだ。


教室。


陽菜がいつもの勢いで近づいてくる。


「ねぇ氷月、昨日さ!」


「何」


「やっぱり誰かと話してなかった?」


一瞬、間が空く。


「話してないよ」


言葉はすぐ出た。


ただ、その“すぐ”がほんの少しだけ遅れて感じられた。


「えー、でも見たんだけどなぁ」


陽菜は笑う。


冗談のようで、冗談じゃない温度。


結菜が横から静かに言う。


「陽菜、それやめなよ」


その時、教室の端。


柊雫がこちらを見ていた。


雫は何も言わない。


ただ、ずっと“ずれ”を見ている目だった。


昼休み。


廊下。


雫が立っている。


「氷月」


呼ばれる。


「なに」


少し間。


雫は、視線を逸らさずに言う。


「最近、言い方が変わった」


「言い方?


「うん」


雫は淡々と続ける。


「さっきも」


「“私”って言うタイミング、少しおかしかった」


心臓が一瞬だけ遅れる。


「気のせいじゃない?」


雫は否定しない。


肯定もしない。


ただ、見ている。


「気のせいなら、それでいい


その言葉が逆に重い。


放課後。


結菜と並んで歩く。


「氷月」


「なに」


「最近、ちょっと無理してない?」


その言葉は優しいのに、逃げ場がない。


「してない」


そう答えた瞬間。


――ワタシ。


内側で声がする。


一瞬だけ、視界が揺れる。


結菜が足を止める。


「今の」


「……何」


結菜は目を細める。


「今、“私”じゃなかった」


空気が一瞬だけ止まる。


陽菜が後ろから顔を出す。


「え、なにそれ怖いんだけど」


でも雫は、少しだけ視線を落として言う。


「やっぱり」


「ズレてる」


その言葉は断定じゃない。


ただの観測だった。


「何が?」


結菜が聞く。


雫は少しだけ間を置く。


「全部が同じじゃない感じ」


「声も、言い方も、タイミングも」


「どこかだけ少しずつ違う」


誰もそれを否定できなかった。


氷月は、自分の手を見る。


何も変わっていないはずの指先が、ほんの少しだけ遠く感じる。


――私は。


そのはずなのに。


――ワタシ。


また、内側で揺れる。


そして気づく。


これはもう“気のせい”ではない。

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