第109話 新たな出会い。
新連載 『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』
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良かったらお願いします。
「そうだよね?あの主と戦った人だよね?」
不意に投げかけられた言葉に、俺は一瞬だけ反応が遅れたが、すぐに思い当たる節に辿り着く。
「え?まぁ、そうですね。その人で合ってます。」
そう答えると、彼女はどこか嬉しそうに目を細めた。
「いや~~まさかこんなところで会えるなんて思ってなかった。私、君の戦っている姿を見てすごく感心したんだよね。最後まで何があっても諦めない執念に感動したの。って、ごめんね、私だけ熱くなっちゃってさぁ。」
その言葉は軽い口調で語られているはずなのに、不思議と嘘やお世辞には聞こえなかった。純粋に感じたことを、そのまま言葉にしているだけ――そんな印象を受ける。
「いやいや全然‥‥大丈夫です。もしかして同じ探索者なんですか?」
そう問い返すと、彼女はあっさりと頷いた。
「そうだよ。私の名前は宮崎日葵。」
その名前を聞いた瞬間、頭の奥で何かが引っかかった。しかし、はっきりとした形にならないまま考え込んでいると、隣で話を聞いていた姉ちゃんが小さく息を呑む。
「え!?」
その驚き方は明らかにただ事ではなく、続く言葉には確信が混じっていた。
「宮崎日葵さんって、やっぱり、あのSランクの人ですよね?」
その一言で、俺の中でも記憶が繋がった。
そうだ。彼女はつい先日、日本で五人目となるSランクに到達した探索者であり、速度と回避を極限まで高めた双剣使いのアタッカーとして知られている存在だ。
戦闘技術は言うまでもなく超一流だが、それ以上に注目されているのはその年齢で、現役の女子高生でありながら、探索者歴わずか五年でSランクに到達したという異例の経歴を持っている。
世界全体を見渡しても、たった五年でその域に到達した探索者は存在しない。それはつまり、彼女の成長速度が他の探索者とは比較にならないほど突出していることを意味していた。
そんな人物が、今こうして目の前に立っている。
姉にその正体を言い当てられた彼女は、少しだけ視線を逸らしながら照れたように笑った。
「まぁ、一応そうです。自分としてはまだまだだと思っているんですけど、周りからはそういう評価をされていますね。」
その言葉には嫌味も誇張もなく、本心からそう思っているのが伝わってくる。つまり彼女は、今の自分に満足していないどころか、まだ先を見据えているということだ。
そんな彼女が、あのイベントでの俺たちを見ていた。
正直なところ、あの結果で名前を覚えられているとは思っていなかった。確かに主は倒したが順位は散々で、目立つような結果を残したとは言い難い。それでも、彼女のような存在の目に留まっていたという事実に、少しだけ胸の奥が熱くなる。
「あのイベントでの結果は残念な形で終わってしまったので、俺としても誰にも覚えてもらえていないと思っていたんですけど、まさかSランクの人に見てもらえていて、しかも感動したなんて言ってもらえて嬉しいです。」
そう言うと、彼女はゆっくりと首を横に振った。
「そんなことないんじゃないかな。確かに結果だけ見れば良くはなかった。でも、あのイベントの中で君たち以上に印象に残る戦いをしていたパーティーはいないって断言できる。」
その言葉には迷いがなく、まるで確信をそのまま口にしているかのようだった。
「それぐらい良かったし、何より私はあの戦いを見て『あの子は強者になる』って思った。そして今回こうして実際に会って話してみて、確信に変わった。」
一瞬だけ、彼女の視線が真っ直ぐに俺を捉える。
「絶対に君は――Sランクへ上がってくる。」
その言葉は静かだったが、不思議と重みがあった。軽く言っているようでいて、冗談や勢いではないことが伝わってくる。
「いや、流石にそれは過大評価な気がしますけど。」
苦笑いを浮かべながら返すが、彼女は一切表情を崩さない。
「いや過大評価じゃない。私は確信してる。君はSランクに上がってくるって。」
そう言い切った後、ふっと表情を緩める。
「だから、次にこうして会う時は互いにSランクの称号を持った時になるだろうね。私は、その時を楽しみにしているよ。」
そう言い残すと、彼女は軽く手を振りながら人混みの中へと消えていった。
その背中を見送りながら、しばらく言葉が出てこなかった。
こうして姉とのお出かけは、思いもよらない出来事に巻き込まれながらも、無事に終わりを迎えた。




