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死神:日野天明 その3

 なんとか如月聡介は御堂巌に辿り着くことが出来たらしい。彼に仕込んだ盗聴器からそのことが確認でき安堵する反面、双子を救うために雪村かなえが自分の命を差し出さなければいけないという事実にも直面した。

 関係ない!自分がその場に乗り込み御堂巌を押えてしまえば双子は助からないが決められた通りの時間が流れていくだけなのだから、、、、そう必死に自分に言い聞かせるがそうなった時の雪村かなえがするであろう悲しみに満ちた表情が容易に想像出来てしまい、どうしても気持ちが揺らいでしまう。

 そんな状況のまま御堂巌が指定したゲートが開かれる日を迎えた。


 一同が突如現れたゲートに吸い込まれた後、天明もそのゲートに近づき中の様子を探る。幸いにもゲートは姿を消すことなくその場に留まり、微かではあるが向こう側の会話も聞き取ることが出来るようであった。

「、、、、かなえさんの代わりに俺の命を使ってもらうことって可能ですか?」

 いよいよ自分もゲートをくぐろうとしたその瞬間に如月聡介から驚くべき提案がなされた。

 何を言っているんだ彼は?関係ない人間だろ??

 中からも当然同様のやり取りが聞こえる。

「もとより母からもらった命ですけど、誰かを救うために使うのであればきっと喜んでくれますよ。」

 いや違う!君じゃない!!


 そこから先は自分でも全く想像していなかった方向へと転がり落ちていく。

「ここで私から一つ提案があります。皆さんにとってきっと良い条件だと思いますよ?」

 自分の突入で張りつめていた空気が一気に混乱の様相を呈しているのが手に取るように分かる。それはそうだ、自分ですら頭の中が大混乱しているのだから。

「その双子のお子さんの片方を救うのに私の死神の力を使ってみませんか?」

「はぁ?何言ってんの?」

「誰もが死なずに済む最良の提案ですけど?」

「そうじゃなくて、、、あんたに何のメリットが、、、」

「そうですよ、日野さんにそこまでしてもらう訳には。」

 状況が状況だけに二人が知り合いであったことを完全にスルーしてしまう聡介と紫音がいた。

「あなたは覚えていないかも知れませんが、、、、初めてお会いした時に困ったことがあったら何でも相談に乗ると言ったでしょ?

 私はあなたたちの様に嘘が嫌いなんですよ。」

「そんな昔の話で、、、」

 当然それだけではないのが自分には分かっていたがそれ以上は言ってもしょうがないことであろう。

「さぁ、御堂巌!私の死神の力でも問題がないでしょ?

 私の気が変わらないうちにさっさとやってしまってください。」


 御堂巌の作業は無事に完了し双子の頭の上に灯る炎は緑色へと変わっていった。

「残り少ない人生を現世で、と言うのも悪くはないでしょう。」

 ポツリとつぶやいた天明の言葉は誰の耳にも届いていなかった。

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