死神:日野天明 その2
死神の力を失い少し年齢を重ねている様であったが出会った当時と変わらぬ美しさだと思った。そして安藤紫音が度々かなえの元を訪れていたことから自然とかなえの家族を遠くから監視する生活が始まった。力を使ってまで助けた人間は既にこの世にいないこと、双子の子供がいること、、、監視を続けていると別に知りたいと思っていた訳ではないのだがかなえの現状が少しずつ見えて来た。そんな日々を送っていたある日、その双子の頭に灯る炎が黄色くなっていることに気が付いた。
当然安藤紫音も気が付いているだろう、かなえと紫音が双子の死の原因を調べ、御堂巌に頼る、、、、それらの行動に出ることはある程度の予測が立ったが二人だけの力では御堂巌には辿り着けないことも分かっていた。キーパーソンはもう一人の監視対象、細小路良子の息子である如月聡介だ。御堂巌と如月聡介の関係性を二人に気付かせるため特別資料室の比較的分かりやすい所に御堂巌に関する資料を配置し、紫音がそこに入るアシストも行った。部下に特別資料室での調べものを依頼し紫音が近づいたタイミングで電話を掛け呼び出す。
「先日提出した報告書はなんだ!間違いだらけだぞ、次の会議で使うんだ今すぐに戻って修正しろ!!」
青ざめた顔で飛んで来た部下には悪いことをした。
如月聡介の頭上にも黄色い炎が灯っていることは認識していた。御堂巌との関係性に気が付いた安藤紫音がその運命を変えるべく行動することも分かっていたがそれが万が一にも失敗する可能性もあったし、今回の如月聡介の運命について気がかりな点もあったため天明も現世へと出向くことにした。紫音のミッションは何とか無事に達成されたのだが、先の懸念事項も解消されておらず、上級死神に目を付けられるリスクもあるため一応派手な行動を今後起こさない様けん制しておく。
「そうしたいのは山々なのですが、上からはそこまでする必要がないと言われてしまっています。残念ながら今日は警告までです。
次はありませんよ?」
脅し過ぎてしまったのか、、、それ以降安藤紫音は完全に息を潜めてしまっている。この状況では話が進まないためまだ調査段階であった汚職事件の情報をリークした。もう少し裏を取ってから根こそぎ悪を潰してやろうと思っていたのだが双子の件については時間がないためカードを切ることにした。多くの死神が駆り出される状況となり安藤紫音や御堂巌にとっても動きやすい状況になったはずであった。
しかし一向にことは進展しない。初顔合わせの際の如月聡介の状況から御堂巌についての記憶が抜け落ちてしまっている可能性もあるのだが、天明にしても御堂巌とコンタクトをとる条件は分からないため何としても思い出してもらうしかない。
「ふむ、、、場所だけにこだわらず、物であったり、会話であったり何でも良いので思い出してみてください。ここで開かれたゲートはあなたと関係していたと記録が残っていました。事故現場から遠く、時間も大分経過していたことを考慮すると何かしらの仕掛けなり連絡手段があったんだと思います。ゲートについてもそうですが過去の遺物を使っている可能性も否定できません。いくら御堂巌と言えど四六時中あなたの様子を見ておく訳にはいかないので。」
アドバイスをするくらいしか出来ないのであるが盗聴器を仕掛けることも出来るため忙しい合間を縫って再び現世へと赴いた。
少なくともこの時点までは雪村かなえの手助けをしてやりたいという気持ちよりも御堂巌という巨悪を裁きたいという気持ちが勝っていたはずであった。




