死神:安藤紫音 その2
死神の補佐を任せた如月聡介の実績は全然伸びてこない。一度連絡をもらって以降は過去に見過ごされた霊魂を見つけてはそれを知らせて来るだけにとどまっていた。
「ちょっとあんた、やる気あるの?」
今日も死後随分経っているであろう霊魂を見つけて連絡が来た。残念ながらそれらは死神のノルマとしてカウントされず、今月もノルマ達成が危ぶまれる中にそんな引き渡しを行っている場合ではないのだが無視する訳にもいかない。仕方なくその現場に向かった紫音だったが幸運にも聡介の頭上の炎が黄色くなっていることに気が付く。
せっかく手に入れた助手ではあるが成績もイマイチということもあり、今月のノルマを達成することを選んだ。
「その死神なりきり眼鏡、そろそろ一度メンテナンスするから預かるわ。」
しかしその判断が間違っていたということを思い知ることとなる。
再会以降、姉の家にはよく足を運ぶようになっており心太と心音ともよく家でゲームを一緒にしたりする仲となっていた。聡介の件もありノルマに余裕があるなと姉の家に入り浸っていた時にその不幸は突然訪れた。二人の頭の上の炎が黄色へと変わったのであった。
「やっぱり、黄色くなっているわよね?」
「うん、どうして?」
「分からないわ、今月の健診で確かに数値は悪くなっているとは言われていたけど。」
「そんな急にしかも二人同時に?」
二人が父親である雪村崇と同じ病であることは事前に聞かされていた。しかし子供のうちに悪化するケースはほとんどなく薬等で上手く抑え込めるとの話であったため病気であること自体忘れてしまうことが多々あった。
「そうね、何かしらの事故とかの可能性もあるし。」
「何とかその辺分からないかな?」
「、、、、予言の書であればあるいは、、、、」
「予言の書?」
姉曰く霊界の特別資料庫にある機密文書で人の生死について記載がされている書物だという。実際に見た訳でもなく噂で聞いたレベルとのことだったがそれに望みを繋げるしかない。
すぐさま霊界に戻った紫音は霊界で司書をやっている同期に連絡を取ってみるが特別資料庫には中級である彼女ですら入れないと一蹴されていまう。場所までは聞き出すことが出来たが逆になんでそんなことを聞くのかと怪しまれたのでお礼を言ってすぐに電話を切った。
半ば諦めて特別資料庫に向かった紫音であったが、なんとそのタイミングで中から一人の死神が出てきた。その死神は何か急いでいるのかスマホを見ながら速足でこちらに向かってくる。紫音はとっさに物影に隠れそれをやり過ごすと周囲に気を付けながらその扉に滑り込んだ。機密文書が保管されている場所のセキュリティとは思えない程あっけなく入り込め拍子抜けした紫音であったが、もしここに入ったことがばれた時のことを考えると気が気ではない。扉に内側から鍵を掛け、背中に冷たいものを感じながら予言の書を探し始めた。
保管されている書物はそれほど多くなくすぐに予言の書は見つけることが出来た。人の生死を記載してあるのだから相当分厚い物を想像していたがそれはただの一枚の羊皮紙のようなものでそこには何も記載されていない、、、、
確かに保管されている台座には予言の書となっている。
「どうすれば良いの?どうすれば心太と心音の運命が分かるの?」
すると絞り出した紫音の言葉に反応するかのように何も書かれていなかった予言の書に文字が浮かび上がってくる。
『雪村心太 約一ヶ月後に病死 自宅にて』
『雪村心音 約一か月後に病死 自宅にて』




