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雪村かなえの決意

しばらく続いた沈黙を破ったのは聡介であった。

「その時に俺はその死神に会っていると、、、、」

「霊界ではそれ以降何度かゲートの出現を確認しているみたいだから恐らく数回会っているはずね。」

「ゲートの出現を確認って、、、、」

「上からは止められてはいるものの御堂巌のやっていることを完全に見過ごす訳にもいかないんじゃないかな、霊界側としても。」

「、、、、俺の命を救うために母親が犠牲になったというのは、結構確率高い感じかな?」

「御堂巌の所に行っていることや予言の書の記載内容からするとほぼ間違いないと思う。」

「予言の書?」

「そう、霊界にある機密文書で現世でどこで誰が亡くなるか、大体のことが記されているの。」

「そんなんあるなら死神が霊魂探し回る必要ないんじゃないか?」

「さっきも言ったでしょ?機密文書なの存在自体知らない死神もいるんじゃないかしら。」

「う~ん、、、なんか釈然としないけど、、、」

「死神の書自体古くから霊界に存在し誰がどう内容を記載されたかも分からず、死神ですら知りえてはいけない情報も記載されている様です。

 現在では霊魂の流れが予定と大幅に差異があった時のみ確認に使われていると聞いています。」


 事故で両親を失った、そう聞いていたが実際には自分が死ぬはずであった。

 それを聞いたからいきなり罪悪感が生まれた訳ではなく、自分が母の分まで精一杯生きようという決意が湧くこともなかった。ただただ入って来る情報量が多すぎて状況整理に時間が掛かっている。

 その整理の過程で一つ不穏な事実に気が付いた。

「ちょっと待った!御堂という死神に会ってお子さんを助けてもらうにして何を対価にするんですか?」

 雪村かなえはその問いに対し無言を保った。優しさに満ちた笑顔が彼女の回答なのだろう。

「そんなの駄目でしょう!」

「まだ分からないの!お姉ちゃんが前に会った時にいくつか方法があると言ってたんだから!」

「それが、、、、人としての残りの寿命を差し出すってことじゃないのか?」

「分からないって言ってるでしょ!とにかく御堂巌に会ってみないことには!あんたはさっさとどうやって御堂巌に会ったのかを思い出しなさいよ!!」

 復活の理不尽。


 ヒートアップした聡介と紫音が落ち着くのを待って、雪村かなえが静かに口を開く。

「如月さん、赤の他人の場合は運命だからと受け入れ死神の職務を全うしておきながら自分勝手とお思いになるかもしれませんが、どういう結果になってしまうにしろ私は子供たちだけは何とか救いたいのです。どうかお願いします。」

「自分勝手ですよ!残された二人はどうなるんですか!」

「それについては準備を進めています。」

「しかし、、、」

「あなたのお母さまもきっと同じお気持ちだったはずです。自分はどうなっても良いから自分の子供だけは守りたいと思ったはずです。」

 ここで母のことを出してくるのは卑怯だ、そう思いながらも他に何か良い方法があるかと言われると何も思いつかない。二人が言うように御堂巌に会い懇願するしかないのだろう。

「分かりました、ちょっと親戚等にも確認してみます。前にも言ったように私自身会った記憶がないので。」

 そう言って聡介は雪村家を後にしたのだった。

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