見えてはいけないもの
「ちょっとあんた、やる気あるの?」
「あるよ!実際に今日だってこうやって霊魂見つけて連絡いれただろ?」
「それはそうだけど、もうすぐ亡くなる人見つけて来てよ。」
「なんでだよ?前言ってた現世と霊界のバランス云々の話なら霊魂でも問題ないんじゃないか?」
「そういった側面もあるけど、いろいろあるのよ死神の世界には!」
「、、、、分かったよ、俺に課せられたノルマの件もあるし、もう少しちゃんとやるよ。」
聡介は嘘をついた。
実際には死神から借用した眼鏡を使い黄色い炎を灯した人を見つけてはその運命を変えるよう仕向けているのだった。一度やってみると黄色い炎のうちは意外と些細なことでも運命は変えられることが分かり、出張から戻った後に既に四件ほど成功させている。
その活動の傍ら何故か霊魂の声が聞こえてしまう能力を使って上手く霊界へと行けなかった霊魂探しもしており、今回は完全球体となっている霊魂を紫音に引き渡したのだった。
「じゃあ、俺はこれで帰るから。」
「え?あぁ、ちょっと待って!」
「ん?」
さっさと立ち去ろうとする聡介を紫音は急に呼び止めた。振り返った先にあったの不自然な笑顔であった。
「その死神なりきり眼鏡、そろそろ一度メンテナンスするから預かるわ。」
「なんだよ、それじゃ黄色い炎も探せないじゃないかよ。やる気出せって言ったのそっちだろ?」
「ちょっとの間だけよ、いいから貸して。」
「ったく、ほらよ。」
慣れてはならない理不尽。
「じゃあ、また連絡するわ。」
眼鏡を受け取った紫音はそう言い残し去って行った。
榎本に絡まれるのが嫌で度の入っていない代わりの眼鏡をつけて生活する日々を続けて一週間が経過したが紫音は何も言ってこない。
このままあの奇妙な生活ともお別れか、そんなことも少し考え始めていたそのタイミングで聡介は大きな衝撃を受ける。
「如月、これ来週までにまとめておいてくれ。」
そう言って資料を手渡して来た鈴木の頭上にうっすらと緑色の炎が見えている。
「は?」
「は?じゃないだろ。」
「あ、すいません。まとめておきます。」
眼鏡を外し、目をこすった後に深呼吸をして周囲に目をやると、、、、同僚の頭の上にうっすらと炎が見えている。
嘘だろ?どういうことだ?何で死神の眼鏡をつけていないのに、、、、、
ズキッ
完全混乱状態の頭に激痛が走る。
『おかあさん、何であの人あんな所に立っているの?』
『あの人はもうすぐ天国に行くの、だから天国に連れて行ってくれるお使いを待っているのよ。』
、、、、小さい頃の記憶?俺って昔霊魂見えてたんだっけ?
更に何が何だか分からなくなった聡介は席を立った。
トイレの手洗い場で顔を洗って落ち着きを取り戻そうとする聡介はその日二度目の衝撃を受けることとなった。
鏡に映る自分の頭の上にうっすら見える炎の色が緑色ではなく黄色だったのである。




