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運命が変わる時

あと1キロ離れていたら体力が底をついていたであろう。しかし幸いにもそうなる前に三つの赤い炎が目に入って来た。

 、、、、三つ?

 なんと鈴木と榎本が座るベンチに近づいていく人影の上にも赤い炎が灯っているのだった。

 その時間に道路上に車は、、、、見当たらない、頭上から何か落ちて来そうな気配は、、、ない。これからあの三人に何が襲い掛かるのか、周囲を何度も見渡すが残念ながらそれらしきものを見つけることが出来ないでいた。

「ちくしょう、、、ここまで来て」

 そんな焦る聡介だったが次の瞬間ぎょっとする。二人に近づく人物の手にはなんとナイフが握らえていた。

 どんな状況だ??理解しようにも到底出来そうにないし、時間もない。鈴木とナイフを持った人物との距離は残り1メートルもない状況となっていた。

「えのも、、、、」

 いや違う!

「火事だ!!」

 聡介は走り続けて来てもう限界を迎えつつある肺に無理やり空気を吸い込み大声で叫んだ。


「?如月?えぇ~火事?」

 声に気付いた榎本がベンチから立ち上がり辺りを周囲に目をやる。その後慌てて近隣の店からも人が顔を出し始めた頃にはナイフを持った人物はその場からいなくなっていた。襲われそうな時などは助けてと叫ぶよりも火事だと叫んだ方が周囲の注意を引きつけられると以前何かで得た知識は何となく正しかったということが証明された。

「何だよ、火事なんか起きてないじゃないか、お前も酔っぱらってんのか?」

「、、、ホントだ、、、な。すいません、私の勘違いでした。お騒がせしました。」

 叫び声に驚いて出てくれた人々に謝罪しながら何とも損な役回りだと思わずにはいられなかったが、それ以上に安堵の感情が大きい聡介であった。

 慌ててナイフをしまって立ち去った人物含め、その場には緑の炎しか灯っていなかった。


 現場近くでナイフを持ち歩いていた男が警察に捕まったというニュースを見たのは次の日のニュースであった。その男は誰でもいいから人を殺して自分も死のうと思っていたが大勢に目撃されそうになり急に怖くなって思いとどまったと話していると言う。

「昨日の居酒屋の近くだな、おっかない世の中になったもんだ。」

 誰でいいからに該当していたであろう榎本は暢気なことを言っている。

「ホントだな、何事もなくて良かった。」

「さぁ最終日だ!有終の美を飾ろう。如月もしっかりな。」

 これまた自覚のない鈴木が気合を入れる。

「はい。」

 今回の出張の目的を既に達成し一足先に帰りたい位であったが昨日のようなグループワークであればためになるから良いか、、、、そう思いもう少しだけ頑張ろうと気力を振り絞る聡介であった。

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