二人を探せ
「そうかぁ、鈴木君の所のホープかぁ。」
「いや、私なんかは、、、うちには榎本もおりますし、、、、」
「控えめだねぇ、今日の君たちDグループ発表が素晴らしかったと皆言っていたよ、そもそも着眼点からして・・・・・・・・・・・・・・・」
本社のお偉いさんも参加しての懇親会で若手に声を掛けてくれるのはありがたいのだが全く話が頭に入ってこない、、、体は懇親会に参加しているが心は既にここにあらずの状態であった。
ホテルの部屋は三人とも階が異なっていたことを考えると会社からホテルの経路上で何か良からぬことが起こる可能性が高いが、二人がこの会が終わるまで自分を待っていてくれるとも思えない。この懇親会が終わり次第二人に連絡を取って最速で合流する!そのことばかりを考え時間を過ごした。
そしてついに待ちわびた時が訪れる。
「明日も交流会がある訳ですし、少し早いですがお開きにしましょう。
片付けは我々の方で行いますので皆さんは順次上がってください。」
人事部長のその優しい提案により懇親会が閉会したのであった。
本社のお偉いさんが退室した後、聡介はすぐにスマホを取り出し鈴木に電話を掛ける。
、、、、、、、、、、、出ない。
鈴木への連絡は諦め次に榎本に電話を掛ける。
、、、、、、、、、、、これまた出ない。
全身の血の気が引くの感じた。
何で出ないんだよ二人とも!
本社からホテルまでの経路はいくつかあるようだが、毎朝通って来ている経路に狙いを絞り全力で駆け出す。
もう間もなくホテルが見えてくる辺りまで走って来たが二人の姿は見えない、しかし事故や事件があったような形跡も見受けられない。二人は無事にホテルに着いたんだろうか?そんなことを考えた次の瞬間にスマホが鳴った。
榎本からだった。
聡介は慌ててその電話に出る。
「榎本!何で電話出てくれないんだよ、今どこにいるんだ?」
「ん?どうしたそんな焦って。会議続きだったからマナーモードにしていて気づかなかったんだよ、悪いな。」
「それで、それで今どこにいるんだ?課長も一緒か?」
「だから落ち着けって、課長も一緒だよ。初日に決起集会した居酒屋で少し飲んでたんだけど、いつもの様に、、、な。
そんな感じで今ホテルにのんびり向かっている所だよ。んでお前はどこにいるの?」
「俺も、もうすぐホテルだけど、、、そっちに今から向かうからそこで待っててくれよ。」
「え~、何でだよ、用があるんだったらホテルで落ち合えば良いだろ?」
「とにかく!そこにいてくれ!お願いだから。」
「、、、分かったよ、丁度ベンチもあることだし待ってるから早く来いよぉ。あと、、、課長運ぶのも変わってくれよな。」
「ありがとう!すぐに行く!」
道に迷っている暇がないため一旦ホテルまで向かい、そこから先日の居酒屋までの道のりを再び走り出す。
その場で待っていてもらうことが最良ではなかったかもしれない、しかし聡介と言う外乱がなければその選択肢はなかっただろうから少なからず運命は変わった、、、はず。
二人の運命を更に変えるため残った気力全てを使い全力疾走を続ける。




