いざ、出張へ
本社へと向かう新幹線の車両には鈴木と榎本以外の黄色い炎は見受けられないため列車事故により致命傷を負って、、、、という選択肢は考えなくて良いだろう。
初めて黄色い炎を見かけてから約一ヶ月、恐らくこの五日間の出張日程のどこかで二人の炎は赤くなるに違いない。新幹線を待っている時から絶えず周囲に違和感がないか注意深く気を配っている聡介のことなんかお構いなしに榎本がちょっかいを出してくる。
「何キョロキョロしてるんだよ、本社に行くんで緊張しているのか?」
「そりゃ本社行くことなんて滅多にないし、新幹線乗るのも久しぶりだからね。」
「ったく、先が思いやられる。ホント大丈夫かよ?」
「榎本!いちいち如月に突っかかるな。これまで資料作りとか頑張ったんだから大丈夫だよ。お前もずっと横で見てたろ?」
「、、、はい。」
「如月もそんな緊張するな、何かあっても俺がフォローするから。」
「はい、足を引っ張らないようにします。」
ちょっと心配どころが違うのだが、、、この優しい上司だけ上手く救えないか、とふと黒い考えが頭をよぎってしまう聡介であった。
初日は大半が移動で本社には少し顔を出しただけで早々と宿泊するホテルへと向かったまでは良かったのだが、明日からの本番に向けて決起集会でもするかと鈴木から無慈悲な提案がなされた。普段であれば榎本に絡まれるだけなので丁重にお断りするのであるが今回ばかりはそうする訳にいかず、渋々付き合うこととなった。
もう、部屋で大人しくしててくれよ!
ホテル近くの居酒屋で開催された決起集会は聡介の予想を裏切ることなく榎本の自慢話と聡介の仕事に対する注文に終始することとなった。会社であればそれを抑止する鈴木もお酒が入り上手く機能しくれていない。そう言えばこの上司はお酒が好きだけどめっぽう弱いのだった、、、、
「よ~し、帰るぞ~。」
その号令が発せられるまでの二時間、これは何の修行だ?と思いながら何とか耐えた聡介は鈴木を半ば抱えるような形でホテルへと戻って行った。
そうして何事もなく一日目は終了したのであった。
出張二日目、少し早めに食事を済ませてから煙草を一服し向かった集合場所のロビーで二人を見た聡介に緊張が走る。
昨日まで黄色かった二人の頭上の炎が赤色へと変わっている。
前回赤い炎を見かけた時は何もすることが出来なかったが今回は絶対に阻止しなければ、、、、
「おはようございます。今日もよろしくお願いします。」
「あぁ、こちらこそ。」
「遅いんだよ、煙草吸ってたのか?もういい加減やめたらどうだ?」
「だから、いちいち突っかかるな!まだ集合時間前なんだからごちゃごちゃ言うな。」
「、、、はい。」
「さぁ、今日からが本番だ!行くとするか。」
その通りです、今日からが本番です!




