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173. K と荻先生

ホテルに戻りモヤモヤしたままシャワーを浴び、コンビニで買った弁当を食べる。


イチカが熱を出した……それをキャラクターとはいえ男が看病した。その事実が引っ掛かって消化できない。


小さい頃から体調を崩したイチカの面倒を見るのは俺の担当だった。少しでも消化にいいものをと、ネットでレシピを調べ作って食べさせる。水を飲みたいと言えば口移しで飲ませ、汗をかけば体を拭いて着替えさせる。全て俺だけの特権、家族だから出来る『特別』だったのに……


その『特別』を他人にされてしまったら、ますます『家族』『兄妹』と言うことを足枷に感じてしまう……


どうにかゲームの世界(向こう側)に行けないものか……ハァー………イチカに会いたい……


ベッドに寝転がりながらそんなことを考えているうちに眠ってしまったらしい。


◇◇◇◇


翌日もいつも通りスマホのアラームで目覚め、ホテルで仕事をこなしてハルさん達の居るゲーム会社に向かう。


「こんにちは、これ、皆さんで……」


慣れた感じで会社の受付で挨拶をし、会議室に向かう。


「失礼しま……」


「おぉ! お兄ちゃん! 来た来た!」


今日は荻先生も居る日らしい。


「こんにちは。今日は早番だったんですか?」


「いや、夕べは遅番! 朝帰って寝て、今日はこれから仕事。だから仕事行く前に寄ってみた!! で、ちょっと……いや、大分?? 進めてみた。いやー、今回は見所盛りだくさんだったね!」


「ありがとうございます。見所ってどういう事ですか??」


「えっとね……騎士隊と合流して、仮面の男が出て来て、竜王とあって……あぁ、卵が孵ったよ! あとは……ノリアスがイチカちゃんとキスして大人になった。」


「言い方!!」


ハルさんが苦笑いしながら突っ込みを入れる。が、看過できない事を言っていたよな??


「……詳しく!!」


「お? おいおい、お兄ちゃん、綺麗な顔で凄まれると怖いって……」


「『壊滅した村』への移動途中、竜王の襲撃を受けたんだ。そこで女王が孵化して竜王の元へ返った。竜王が沈静化したから、竜王と戦ってた騎士隊と合流して、怪我人を手当したあとから、ムービーが始まってね。ドゥクランが宣戦布告して、本土に人造魔王を放ったって言う話をしたのと、魔王誕生、それに竜の女王の祝福までが一気に流れたんだよ。今までで1番長かったかもしれない。」


「そうそう! その魔王誕生で子供のノリアスがイチカちゃんにチュッって、で、パアーッて光ったと思ったらこれまたいい男に成長しててね! いや、ゲームだねぇ!!」


確かにゲームや物語じゃなければあり得ない事なんだろう。あと、荻先生の説明は興奮しすぎて小学生のようだ。少し落ち着いてほしい……それより、魔王になるのにキスをするのはいい、だが、その相手が何故イチカなのだ!! 普通は主人公じゃないのかよ!!


「マリアは何をやってたんですか?」


「え? だからその光景をずっと見てたんじゃないの?」


いや、それれはそうなんでしょうけど、そうじゃなくて………………あー、もう!! 八つ当たりしそうになる自分を諌める為に大きく深呼吸をし、話を無理やり変えて意識を逸らす。


「……そういえば、岡本さんに体調の変化がないか聞いてみたんですけど、虫刺されが酷いくらいで特に変わりは無いそうです。」


「虫刺され?」


「はい。他のキャラ達は刺されたりしないそうなんですけど、岡本さんだけ刺されてるそうです。でも、こちらの世界でも良くあったことだそうで、本人は特に気にして無かったみたいですけど……」


「それって、腕とか足とか言ってなかった??」


「あぁ、言ってましたね。」


「うーん、たぶんそれ虫刺されじゃなくて俺がやった刺激試験の痕かな……痛みとか、痒みとかがあるとかは??」


「ただ赤くなってるとしか言って無かったですね。」


「そっかぁ。じゃあ、向こうの世界と感覚の共有は無しって事だね。でも、熱が出ればこちらも熱が出て、傷つけばお互いの肉体に痕跡は残る。ふんふん……」


荻先生は少し何か考えてから、出勤すると言って帰って行った。


「さっきのムービー見るかい?」


ハルさんが聞いてくる。さっきのとは魔王がイチカにキスをするやつの事だろうか??


「いや、結構です。さっきの話で大まかな流れは分かりましたから。」


子供ととはいえ、イチカのキスシーンなんて死んでも見ない。


先程荻先生が占領していたモニターの前に座り、ゲームを引き継ぐ。マリアを操作しぐるりと見回すと見たことのないキャラが何体か居た。が、イチカは見当たらない。


「イチカが居ないんですけど……」


「ん? あれ? ほんとだ……なんでだろう??」


探していると、馬車の近くで寝ている。話しかけると、『気を失っているようだ』の表記。話が聞けないので、先程の場所に戻り、1人づつ話を聞く。


ファジール「ノリアスが魔王だったなんてビックリしたね! でも、本物の魔王が仲間なら偽物なんてすぐ倒せるよね!!」


セス「バリー殿が捕まっているようです。」


タイラ「バリーは酉族のモズに捕まっているみたい。どうやって助けるか……?」


ドラド「勇者様、本土に一刻も早く帰還しなくては!」


ハスキス「あなたが今の勇者か? 本土に人造魔王が出たそうだ。船に戻ろう。」


ノリアス「魔物はもう襲ってきたりはしないから安心して! で、バリーってあのメガネの人だっけ?? 助けに行く?」


竜王「お主が勇者か。東の方が騒がしいが早く行った方がいいんじゃないか?」


騎士「本土に帰還の準備を!」


騎士「本部より帰還命令が出ております!」


どうやら本編に関係ある人物は本土に戻って人造魔王を、モブのセスや、本来の敵である魔王ノリアス、こちらの世界の岡本さんは()族のバリーを助けたいらしい。


とりあえず、名前が出てきた酉族のモズを攻略本で調べてみる。


モズ・パーチ・セキセイ。黄色から毛先に向かい黄緑になっている髪色。サイドの髪を後ろに流がし、伺うような上目遣いでこちらを見ているイラスト。


右目は青く『俯瞰(ふかん)』(上空からの広範囲探索)スキル、左目は薄い赤色で『明眼』(肉眼で見えないモノを見る)スキルを持つオッドアイ。俯瞰で物陰に隠れた魔物や群れで来る相手の陣営の隙をみつけたり、明眼で魔物や弱点を発見し戦う。ただし、性格は非常に弱気で臆病。ドM。


……ドMって情報は要るのか?? 気弱で臆病……ってことは、今回ドゥクラン側に付いたのは、そういった性格が理由かも……。とりあえず内情を知る岡本さんに話しかければ、早速指示付きの会話がテロップに流れた。


読んで頂き、ありがとうございました。

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