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171. I の驚き

後半、ノリアスのオマケがあるので本編が若干短めです。

オマケは読まなくても本編には支障ございません。

ううーん……あの高台の話の内容が聞こえない……皆意識を集中して高台を見守る中、ノリアス君だけはうつむき何かぶつぶつと呟いている。具合が悪いのだろうか……


ドラドさんに声をかけ、ノリアス君に近づく。


「ノリアス君、具合悪い?」


声をかけるも、聞き取れない言葉でブツブツ言い続けるので肩に手を置きもう一度声をかける。と、弾かれたように顔をこちらに向けた。


「イ、イチカ……どうしたの?」


「いや、下向いてたから具合が悪いのかと思って……大丈夫? 少し端の方で休ませてもらう?」


ノリアス君に聞けば、はにかんだように笑い


「イチカは優しいね! ありがとう、大丈夫……」


『ヒルダシンよ、どうするつもりだ?』


タイラさんと一緒に高台にいる竜王が、怒気を孕んだ声で立ち上がってヨロヨロしているタイラさんに詰め寄っている。そして、その声を聞いた騎士隊の人たちが『ヒルダシンだと?』『あれが??』『ゾウと違い過ぎないか?』とザワザワとし始める。


暫く2人の様子を見ていたが、やはり声は聞こえない。そのうち、タイラさんが1人、パントマイムのように何かを探し、気付き、しゃがんで、立ち上がり、こちらに向かって来ようとしたところを、竜王に襟首を捕まれむせ返っている。


その間に、ノリアス君が一度大きな舌打ちをしたような気がしたのだけれど、気のせいだったのかな??


「ノリア……」


突如、お腹を殴られたような衝撃……何事?? 混乱する私に『イチカ!!』と遠くから名前を呼ぶフィルの声と、『うわっ』とすぐ近くで聞こえるタイラさんの声。……下ろしてあげての声で自分の状況を知る。


竜王に荷物のように抱えられていたのを降ろしてもらうと、反対の手で手にはノリアス君も抱えられていたと知る。大人の私にかなりの衝撃があったのに、子供のノリアス君はさぞかし痛かったろうに……全く、何が竜王だ!!


雑な扱いとノリアス君への言いがかりを受けて、腹が立った私は竜王に喰ってかかる。と、心底不思議そうにタイラさんが神でノリアス君は魔王で間違いない、称号にそう書かれている。と教えてくれた。


そうか、称号か……そういえば私は、その称号が読めないから読める人に会いに行く途中だった……すっかり目的を忘れてたわ……


でも、当のタイラさんもノリアス君も何故か態度がおかしい。タイラさんは私から顔を隠すようにして横を向いちゃうし、ノリアス君は凄く悲しそうな顔で、魔王にはなりたくないと言う。


そうよね、いくら称号に『魔王』ってあっても嫌だよね!!


「失礼……」


どこからか声が聞こえて探すと、ノリアス君の足元にお爺ちゃんスライムが!!


うわぁー……スライムだぁ!! こっちに来てから魔物は色々と見てきたが、なかなか見れなかった……魔物と言えばスライムでしょう!! やっと見れたぁーー! プルプルしながら話してるー!


「イチカ、どう思う? 」


ノリアス君の問いかけで我に返る。


「スライム君が言うとおりなら、悪い話じゃないと思うけど……ホントに悪いことしない?」


スライムに聞けば、ポヨンッと小さく跳ねて向きを変え、『悪いこと』の定義を教えて欲しいと言う。あぁ、ポヨポヨしてる……触ってみたい……


と、ここでまた竜王が訳の分からないが言いがかりを付けてきた。匂いがどうのこうのと言うが、もしかして私匂ってる?? ノリアス君と同じ匂いと言うけど、ノリアス君は別に臭くないし……


カラカラと何かが落ちる音に振り向くと、フィルとドラドさんが私達がいる場所まで登って来たところだった。2人は私と竜王の間に立って、タイラさんに本土に戻ろうと言う。そうだ! 向こうは魔物に襲われてるんだ!!


でも、タイラさんはノリアス君の足元にいるスライムに目を向ける。あぁ、魔物たちがここを囲っているんだった……でも、嫌がってるノリアス君を無理やり魔王にするわけには……


「イチカ、このスライムが言ってたこと僕がやったら嬉しい?」


ノリアス君は私に聞いてくる。


「そうだね、もしノリアス君が魔王で、魔物達を良い方に導けるのなら、そうしてくれた方が嬉しいかな。」


そうなればこの世界はきっと住みやすくなるだろうし……と、ノリアス君がまたよく分からない言葉でブツブツ言い始める。と、両手を上げ私を見上げて来る。


ん? 抱っこ?? 高い位置に行きたいのかな?? って私で身長足りる?? フィルの方が良くない?? と思うも、早くしろとばかりにノリアス君がピョンピョン跳ねる。なので抱き上げると、ニコニコと首に手を回しチュッっと音を立ててキスをした。


…………………えぇぇぇぇぇぇぇ!! いや、子供はノリで親とかにするんだろうけど、母親でもない私にしちゃダメでしょ!!


と、ノリアス君がキラキラと光りはじめる、思わずギュッと目を閉じると、黒目黒髪のスラッとした男の人に抱き抱えられていた。


えっと、どちら様でしょう??


「ほぉ、この女の穢れを吸って成長したか? 魔王よ……」


魔王? え? この人ノリアス君?? 綺麗な顔はしてたけど、あらまあ、格好良くなっちゃって………………………もう、久しぶりに会う親戚のおばちゃんみたいな感想しか出てこない……何がどうなってこうなった?? 誰か説明求む。


◇◇◇◇


171.5 ノリアス オマケ


ここまでイチカの香りに釣られて集まってくる魔物どもを魔王の力で牽制してきた。お陰で魔王としての本来の力が徐々に使えるようになりつつある。と、同時に、更なる魔力を得るための残虐性も顔を出しつつある。どうしたものか……


魔王の力が少し使えるようになったことで気付いたのだが、イチカのこの『魔物を惹き付ける匂い』の元は、イチカに交じった魔物の魔素のようだ。何故かは判らないがイチカの血に、本来ならば霧散して消えてしまうはずの魔物を形成していた魔素が取り込まれ、増殖し、相反する聖属性の血と反発することにより匂いを発しているようだ。


竜王の話では僕からも同じ匂いがしているらしい。だから僕の居場所は直ぐに魔物に見つかってしまうのか……危ないな……


イチカの匂いは一緒にいてとても落ち着く。だが、イチカの身の安全を考えると消し去ってしまった方が良いのかも知れない……


また嗅ぎたくなった時は、今度は僕がイチカにまたその匂いを纏わせれば良いのだから……


読んで頂き、ありがとうございました。

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