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134. S と再会

フィル達が先に来ていた様で、言俐(コトリ)を出したとたん、横柄だった態度から媚びるような態度に変わった。


自分より下の者には威張り散らし、身分、階級で態度を変える人間のようだ。


そんなことを思いながら教会の扉をくぐる。中にはローブを纏った人が1人、ヒルダ神とヨルダ神の像を見上げていた。


足音に気づいてその人がこちらへ振り返ると、大袈裟な程肩が跳ね、被っていたフードを外すと、両手を上げてマリア嬢に向かってくる。


黒目黒髪の男。天創人か! しかも、有益の印がない!!


「マリア! 会いたかった!!」


マリア嬢の前に立ち、男を牽制する。ファジールも同じように私の隣に立ち、殺気を放つ。が、あれ? コイツ今、話さなかったか??


男は慌てたように謝るが、あたふたし過ぎて何を言ってるのかよく分からない。……やはり喋っている。どうやら怪しいものではないと訴えているが、現時点でこの上なく怪しい……


と、突然、後ろで黙っていたマリア嬢が、声を震わせながら、まさか!!と叫んだ。何かに気づいたらしい。知り合いなのか?


男はどこかホッとしたように微笑むと、指を一本立て口の前に持っていき、今はまだナイショね!! と言いながら、説明をするからフィル達が待つ部屋へ行こうと我々を促す。周りを見れば、何事かと聖職者達が陰から除いている。確かにここで騒ぐのはやめた方が良さそうだ。


男が先導し、部屋の前までくる。この中に皆がいると聞き、軽くノックをしてから返事も待たずに開けてみた。


正面にテーブル。その両サイドにリベルとフィルが座り、リベルの隣にリベルより大分小さい女性が座っている。部屋の奥にはリベルの隣の女性に良く似た子供と、恐ろしく顔立ちの整った男の子が遊んでいた。


「セス、お前……」

「リリア! リィナ!!」


何故か絶句するフィルと、私の背中からひょっこり顔を出し、中に入っていくジーマさん。あの親子の感動の再会は良いとして、


「久しぶりだな、フィル。リベルも……」


「…………そうね。ちょっと会わない間に、大分趣味が変わったようね?」


何の事か分からず首をかしげる。と、リィナがこちらを見て、


「お兄ちゃん可愛い!! そのネズミとお人形、見せて!!」


と、駆け寄ってきた。ネズミはダンの事だろうが、人形とは?


「……もしかして、私の事ですか?」


ジョロウさんが喋ると、フィル達が一斉にギョッとした。どうやら人形を胸に入れて歩いていると思ったらしい……って、え? もしかして、この道中ずっとそう思われてた!?


ジョロウさんがポケットから這い出て、テーブルの上に乗ると、自己紹介をした。虫族の人型を見るのは初めてなのか、フィル達だけでなく、リリアさんもリィナも珍しげにジョロウさんを見ている。


「あと、お前の後ろに居る……もしかしてファジールか?」


「……うん。いや、ハイ! お、おしさしぶりです!!」


昔からフィルが怖くて苦手なファジールはカミカミで挨拶をする。


「え? あのファジール?? スッゴい大きくなったのね!!」


リベルが驚くのも無理はない。前回会った時より、身長が1メートルは高くなってると思う。


「うん。リベル姉様も元気だった?」


と、リベルとファジールが近況報告を始めた。そんな中、奥から男の子が声をかけて来た。


「あんたがセレネス? あと、マリアって人は??」


「えーっと、君は??」


「僕はのノリアス。北の森で貴方達が会った、ユリノ……ユノって薬師の子供。」


北の森のユノ? …………北の森、北の……


「あ、赤い屋根の! 君はあの時の赤ん坊のお兄ちゃんかな? 無事に引っ越しは終わったの? ユノさんや赤ちゃんは元気かい??」


「ユノは死んだ。あの時の赤ん坊は、貴方の目の前に居る。それで、頼みがあるんだが……」


「イヤイヤ、待って待って! ユノさん亡くなったの? 赤ん坊が君って?? 旦那さん居なくなったゃったって言ってたけど、子供の面倒誰が見てるの!?」


落ち着けとフィルに促される。ノリアス君にも、順を追って説明するようにとフィルが言い聞かせてる。ユノさんと言えば、マリア嬢が泣きながら話を聞いていたが……と、マリア嬢が居ないことに気付く。


「あれ? マリア嬢が居ない! あ、あの黒髪の男も!!」


慌てて声を上げれば、リベルが、あの方が一緒なら心配ないと言う。リベルが『あの方』なんて言い方をするのは珍しい。どういう人かは知らないが、リベルが大丈夫と言うなら信用しよう。取りあえず、まず話を聞く。


1つ目、ノームの件。お互いの情報を出し会い、持ち合わせた情報を精査した結果、やはりリリアさんが末裔であることは間違いないとされた。あとは、戴冠式を行い大々的に女王であることを周知しなければいけない。それと、帝王学を全く学んでいないことから、しばらくは帝国の属国として、王族のみならず、家臣達も色々と学びながら国を作っていけるようにするのはどうか? とグッドル公から提案され、その方向で皇帝に話をして頂いているそうだ。


その話が終わった頃、マリアと黒髪の男が戻って来た。マリアの顔が幾分赤いが大丈夫だろうか?


いい加減、この男が何者なのか誰か教えてくれないだろうか? と思っていたが、ここでは話せないからと宿に移動することになった。


宿に着くと、ノーム達は自分達の部屋へ。あとはフィル、黒髪の男、ノリアスの3人部屋に集まる。ちょっと狭いが、そんなことは言っていられない。


集まったところでもう一度自己紹介から始める。3兄弟に勇者マリア、()族の印持ちファジール、()族の眷属ハムスターのダン、虫族の蜘蛛の虫人のジョロウ、北の森の薬師の息子ノリアス。そして……黒髪の男の正体を聞いたとき、ベッドとベッドの間でひしめき合いながら最敬礼を余儀なくされた。

読んで頂き、ありがとうございました。

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