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129. T の正体

まず、セス達と合流。勿論、リリアさんの旦那さん込みで。とだけ決めたところで、早速行き詰まる。


このまま本人達を連れていった所で、果たして偽物側に付いた人達がすんなり認めてくれるのかどうか……そして、何より、地下の国に何処から、どうやって入るのか。女王ですって連れていくのに、岩の隙間から隠れるように連れていくわけにはいかない……何て事を話しているのを横で黙って聞いている。


そこであることに気づく。一番始めに入った、()族の領土にある隠し扉まで戻るとか、そういう可能性もアリ? ……うわぁー!! ぜったいイヤだぁー!!!


ゲームでは指先を少し動かすだけで目的地に着く。なんなら、一度行った街や村等には魔法で飛んで行ける。が、この世界では何故か移動に関する魔法は各国の城にしか無いようだし、通常移動だって馬や馬車、それらが通れない道や場所は徒歩移動だ。


ここまで移動するのに、フィル達の馬は地下国に置きっぱなしだし、途中の村で売って貰えた馬は年寄りの一頭、2人乗りは耐えられないということで、荷物を持たせ交代で乗ってきた。


車、電車、飛行機移動に慣れた現代っ子の俺には、長距離の徒歩移動は苦行でしかなかった……


「あの……地底国の中にお知り合いが居るんですよね? それなら、入り口の場所はなんとかなるかもしれません……」


リリアが遠慮がちに言う。と、リィナに指示し、庭から何かを持ってきた。近づく度に土塊がボロボロと落ち、通った場所に道を作る。お友だちなの! とリベルの前に連れて来たのは、モグラ……なんだと思う。モゾモゾと動いてはいるが、ケツしか見えない。


リリアによれば、今はリィナが連れて来たやつしかいないが、モグラ族も代々使えて居た家臣なのだと教えられたそうだ。道理で地底国でも我々に協力的だった訳だ……


結局、他に案もなく、地底国の入り口については、リィナの友達モグラに仲間と連絡をとってもらい、出来れば執事さん、無理ならそれに順する判断ができる人に指示を仰ぐことにした。後は……


「地上で各国に協力を求めて、先に女王として宣言をしてしまったらどうだい? 勇者が神託で女王とその伴侶と認めてる訳だろう? それを伝えれば地上の国が動くと思うが?」


ジェバット公が言う。そりゃそうだ、神託と勇者と言う強い味方がいるではないか!! ……そういえば、俺がまだヒルダ役をしてた時、マリアが一緒ならモブのセレネスも俺の声が聞けてたな……もしかして、皆で祈れば、皆に声が聞こえたりするんじゃねーの……? うん、よし、後でリベルとフィルに言ってみよう!!


顔を上げれば、話し合いは終わったらしく、ジェバット公爵は他の皇帝と公爵に根回し、セス達とは、なるべく早く帝国の中央都市セクトリアで合流することに決まったそうだ。


屋敷から帰る時、リィナがノリアスから離れたがらず引き離すのにずいぶん苦労した。が、それ以上に、街ですれ違った『緋髪のイチカに似た女性』が本人だったと言う事実を聞いたフィルが、微動だにしない程ショックを受けて、宿に連れ戻すのか大変だった……


あの時気づいていれば、西へ魔物の討伐など危険な場所に行くのを止められたのに……と言うことらしい。気持ちは分からないでも無いけどね……


宿に着いて夕食を頂きながら、早速、先程神託について思い付いたことを話す。と、ガチャンッと貴族らしからぬ粗相をリベルがする。珍しい……


「セスと……セスとお話になったのですか??」


あれ? 食い付くとこそこ? 待って、予想外の所に食い付かれるときは、俺の方が問題発言をしてることの方が多いぞ……なんだ、何を間違えた俺!! 今しがたの発言を思い起こすも、なぜセスとの話に食い付くのかが分からない……


「タイラ様は創造主で神なのですよね?」


神の方は(仮)が付いてるけど、創造主とは間違いなく書いてある。なので、何の肉かは分からないものを咀嚼しながらコクコクと頷く。


「その……セスはヒルダ神様からご神託を頂いたと……」


「うん。」


「もしや、神とは、創造神様ではなく、この世界の守り神のヒルダ神様なのですか?」


「!!」


そうか。この世界はヒルダとヨルダ、それに、2人にこの世界を与えた大神様と、神様と呼ばれる者が1人ではない設定。だから、俺は世界を作った創造神という立場だと思っていたらしい。……ってか、創造神だろうが、ヒルダだろうが神は神だからそんなに驚く事でもないと思うが……


と、思ったのは俺だけで、リベルとフィルは食事の手を止め、俯いてプルプルと震えている。


「え、な、なに? どうした?? ご飯食べないと冷めちゃうよ?」


「申し訳ありません!!」


リベルが立ち上がって頭を下げる。それにつられるようにフィルも立ち上がり一緒に頭を下げる。いや、周りの視線が痛いので止めてください……


「よく分からないけど、取りあえず座って! 周り見て! 注目されてるから! ねっ! 座ろう!!」


2人は俯いたまま座る。


「取りあえず食べて! 話は部屋で聞くから……」


2人は頷いて残りを食べ始める。俺も食事を再開……って肉がない!! 見ればノリアスがにこやかにこちらを見てピースサインをしている。……ピースサインの意味を教えるんじゃなかった……


食事を終えて部屋に集まるなり、また2人は俺に頭を下げる。どうしたのかと聞けば、


「以前、ヒルダ様の像の右手を折りました……」


「経典の挿し絵にイタズラ書きをしました……」


など、過去にしてきたヒルダ神への悪さ? についての告白が続く。


「ストップ、ストーップ!! どうでもいい……、物凄くどうでもいい。」


創造神には悪さをしてないが、この世界のあらゆる所に描かれたり、像が作られているヒルダ神には、なにやら色々とやってきたようだ。その神が目の前に居ると聞いて始まった懺悔大会。止めなければまだまだ続く勢いだった。どれ程の事をしてきたのか……もしかして、ヒルダ神嫌われてる? とまで思ったほど。


過去の懺悔より、俺への扱いが雑になってきた方を気にして欲しい……とも思わなくもないが、下手に敬われてもやりずらいので気にするな! でこの話は終了。先程の話に戻る。


「……ヒルダ神様がこちらにいらっしゃるのに、神託はどの神が為さるのですか? ヨルダ神様ですか?」


そうか。どうしよう……ハルさんにヨルダ神として話して貰ってもいいが、ヨルダはあまり歓迎されていない神だからなぁ……プロデューサーが神として出てきても誰ですか?ってなるだろうし……と、ここで思い付く。


「大神様の言うことなら皆聞くかな?」


「ヒルダ神とヨルダ神にこの世界を任せた神ですよね? その神の神託ならば誰もが聞くと思いますが……」


良いことを聞いた。ならば、カズヤさんが協力してくれてるみたいだし、お願いしてみよう。


なんとか話をまとめ、明日グッドル公の屋敷に寄り、リリアとリィナを連れてセクトリアに出発するため、皆それぞれ体を休めるために部屋に戻った。

この度、始めて評価を頂きました! ありがとうございます。


長々と続いていますが、ぶっちゃけまだまだ続きます……


最後まで飽きずに読んで頂けるよう頑張りますので、お付き合い頂けると嬉しいです(*´∀`)



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