6話「5月2日、スタバ」
ー4月28日(月)ー
「席替えしまーす!」
「おーまじ!?」
「最高じゃん」
昼休み。
HR委員の翔の一声で、席替え開催。
行事が1つ終了し、退屈になりかけていた日常がこれで再び変わりだす。
コミュニティを広げていきたいと思っていたし最高のタイミングだ。
スマホで抽選を行うらしい。ボタンを押すのはー叶多。
「いけーー!」
「まじ頼むで叶多」
結果。
俺は前から2列目の廊下側。何してん叶多、と思ったがー。
周りを確認すると、隣が叶多、前が玲、後ろが海とかいう神布陣だった。
不正を疑いたくなるレベルの神引きに4人で大興奮。
「え、えぐくね普通に」
「叶多、実はなんか細工したやろ」
「してないわ。引いた俺を褒めてくれ」
「翔ありがとー!」
「おーい」
見事に全員で受け流す。いい関係性が構築されつつあるな。
ー4月30日(水)ー
昨日の祝日から早い人はGWらしいが、高校生に有給はないものか。
せめて週末の直前に配置するくらいはしてほしいよな。
新しい席では、グループワークなどで順調に叶多と喋れている。
隣の席はまじで話しやすい。昼食も当然、一緒に食べる流れになる。
海と玲は今までも一緒だったが、なかなかに新鮮である。
「あ、ミセス新曲出るらしいよ」
「海ミセス好きなん?」
「全曲聞いてます」
「うわすっご、俺はあんま聞かないなー」
「俺もやな。ミセスはみんな聞きすぎや」
「叶多はなんか好きなバンドとかあるん?」
「俺90年代とかのバンドが好きなんよな」
流行りに乗ってそうだったので意外だった。でも気持ちは分かる。
なぜなら。
「俺ラルクとかよく聞いてるんだけど分かる?」
親がカラオケで歌うのを聞いて覚えたラルク。中学に理解者はいなかったが、
「おー!分かるよ!Driver's high とかでしょ」
「そそ!やばい初めて理解者できたわ笑」
海と玲はらるく…?って顔をしている。
「そりゃそうやろ聞かんもん普通」
「だよねー」
「あ、あとB’zもめっちゃ聞いてる」
くっそ、ウルトラソウルしか知らねえ。
「稲葉さんやろ」
「まじかっこいいであの人」
置いて行かれた玲と海を他所に、2人でバンドトークに花を咲かせた。
共通の話題があると一気に仲良くなれる。ありがとうラルク。
ー5月1日(木)ー
数学、二次関数。
練習問題を解き終え暇していると、後ろから肩を叩かれた。
海かなと思い振り返ると、叩いたのは右斜め後ろの女子ー横山美月だった。
「ねね、もう解いた?」
「解いたよ」
「2問目分かんないんだけど教えてくれない?」
美月の声はとりあえずめちゃかわいい系である。前の席でも女子のグループからこの声が聞こえてきて、狙ってしまおうか迷ったほどだ。
ノートに途中式を書きながら説明していく。
とはいえ明陵生なので、1回説明してしまえば十分だ。
「おー!分かりやすいね、ありがと!」
「いえいえ、分からんかったらまた聞いて」
女子とはまだ全然話せてないから頑張りたい。
昼休み。
「海、明日バスケ部オフやんね」
「そだよ」
「え、俺もだよ!」
玲が答える。
ちなみに玲は軟式テニス、海はハンドボール部である。
「まじで!?どっか行っちゃう?」
「そういえばこの前スタバの新作出たらしいね」
「うわ最高じゃん、飲みに行こうよ」
「いいなーお前ら」
ハンド部は水曜日オフが固定されているため海は断念。
バスケ部とかテニス部はオフの日が動くので揃う可能性があるってわけだ。
こうして初の遊びの約束をして昼休みが終わった。
ー5月2日(金)ー
「琉、今日昼練行ってみん?」
2限後の放課、後ろから玲が話しかけてくる。
「昼練?体育館開いてるん?」
「うん、自由参加らしいけど」
「シュート練とかそういう感じかな?」
「たぶんね。ちなみに朝練もやってるって」
「えそうなんだ」
「朝は弱いからきついな」
「分かるわーー」
そして昼。
弁当を爆速で食べる俺の横で早弁して食べ終えた海が待つ。
早弁の発想はなかったわ。ごめんって。
洋平と翔も誘って体育館へ。
体育館には1年生が半分くらいと2年生がほとんどいた。
「とうもーん、みんな毎日来てるん?」
「俺はだいだいは来てるよ」
「あーそうなんだ、乗り遅れたなー」
「まあ大丈夫だよ。大した事やってないし」
やばいね。これからは頑張って来ます。昼練。
放課後ー。
「早く行こーー」
いざ、都会へ。
明陵は中心市街地から2㎞ほどの好立地にあり、周りも官庁街である。
地下鉄に揺られてわずか3分で到着。
駅から出ると、
「やべえ、ビル高え…」
「上見てると田舎民だと思われるぞー」
「海は市内に住んでるからだろ?見上げちゃうって」
玲も一緒に見上げてるから田舎民だろ。
上を見上げながらスタバへ。
「俺新作頼むから2人別の頼んで回して飲まん?」
「いいね賛成」
「いいよー」
海が新作。玲はバニラフラぺ。俺は抹茶フラぺ。
ちなみに大の抹茶好きである。
「写真撮ろうよ」
「もちろん」
モザイクをかけて、ストーリーに投稿。メンションもしとく。
これから一体何枚、写真を撮るんだろうか。
久々に飲んだ抹茶フラペチーノは、いつもよりも甘く、口に溶けていった。




