表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/7

5話「4月24日、遠足②」

バスは高速に乗ってスピードを上げる。


「これから俺らの地元通るんやで。な、一成」


「そうやね。家見えるかな~」


「田舎の風景楽しみだね」


「昌也くん?ちょっとお話ししようか…」


「嫌だぁぁ」


そんな馬鹿げた会話をしていると時間はあっという間に溶けていく。やっぱ何も生産性のない会話が一番面白いんだよな。


「あ俺の家の近くや!」


「思ったより栄えてる…?」


俺の地元舐めるなよ、昌也。


バスはセンターの手前にある文化会館に到着する。サルの専門家の講演を聞くんだとか。


そもそもサルの専門家の話を聞いて何になるのか。俺らはサルについて詳しくなりたいわけではない。むしろバスが一番の楽しみなまである。降りたくないなー。


「絶対講演いらないやろ」


「早く飯食おうぜ」


「それは早すぎるやろ」


「普通にだるいよな」


これが男子の総意である。女子は知らないが。


「このような事例を踏まえて観察方法はー」


男子で固まって座ったが、喋れる雰囲気ではなかった。

事前に配られた紙にメモを取る人が多数派を占めている。


だが俺らが占拠したのは、なんでもありの後方の席である。

喋れないなら寝ればいいのである。わずかな罪悪感とともに。


頑張って睡魔に抗っていた隣の昌也が爆睡をかまし始めたところで休憩時間に入った。


「まさー休憩だよー」


「あれ、俺寝てた?」


「記憶喪失かな?ちゃんとメモ取ってるかい」


「取る意味あるんか」


「さあな」


「あるんだなこれが」


トイレから帰還してきた海が後ろの席から参戦。


「なにっ」


「なんかレポート書くらしいよ?帰ったら」


「うわまじかよ」


「個人?」


「いや、グループだったはず」


「よし、他の人が取ってくれるっしょ!」


期待を裏切らない。さすが昌也だ(?)。


休憩が終わり後半戦開始。レポートが書けそうなくらいメモを取ったところで俺も寝た。

拍手の音で起きて、同時に手を叩く。完璧。


再びバスへ乗車。2時間も講演を聞いて気づけばもうすぐお昼である。


いよいよメインのモンキーセンターへ。隣に遊園地があるので抜け出して行きたいところだが入園料が結構高いので断念。


バスを降り、クラスで写真を撮ったら昼食。芝生を確保し、男子全員が固まって食べることに。

俺は叶多の隣を確保。他の男子とももっと関係性を深めていきたいところ。


目の前の森でサルがずっと鳴いている。それを叶多が真似しだして数人が乗っかる。なんで皆そんな上手いんだよ。俺らの方がサルじゃねえか。


サル軍団と共に昼食を食べ終え、観察までは自由時間だ。

皆で移動し、檻にしがみついてサルを威嚇する昌也を写真に撮ったところで、俺はあることに気づく。


「昌也って、帽子被ったらわくわくさんに似てね?」


「わくわくさんってどんなんやっけ」


「やばい写真調べたらめっちゃ似てるんだけど笑」


玲が見せた写真で全員大爆笑。この日の昌也は水色の帽子を被って丸眼鏡だったのでそっくりだった。男子のグループLINEに雑に作った比較画像やコラ画像が大量に流れてきて笑い死にそう。


こうして昌也には”わくわくさん”のあだ名がつきました。やったね。


笑いが落ち着いたところで、各々観察場所に向かうことに。


俺も同じ班の玲と一成と一緒に移動する。俺らの班はしっぽの使い方を調べるらしい。

同じ班の女子2人と合流した後は、スムーズに観察を行えた。


終了後は空いてる芝生に座って5人で雑談。それぞれの中学の話や受験の話で盛り上がった。


当然のように俺に西峰の話が振られるので、持ち前の話術を駆使してエピソードを語る。

2人とも女子とは思えないくらいに話しやすく、めっちゃ盛り上がって楽しかった。


一段落したところで海から電話がかかってきた。どうやら他の班の男子も時間を持て余しているようなので、入り口付近に集合して自販機のアイスを買うことにした。


集まった6人とアイスを写真に収める。意外と研修と言いつつも楽しめた。


その後、アイスの自販機には長蛇の列ができていた。

どうやら時代の先駆けになったらしいね、と叶多が言い、皆で笑った。


帰りのバスは疲れて静かになると思っていたが甘かった。

来月の球技大会に向けてクラスTシャツをデザインを決めるらしい。


室長の海の呼びかけでみんなデザインを調べ始めた。


赤ブロックの102は赤を基調に作るため、様々な赤のアイデアが102のグループに流れてくる。

叶多がソ連の国旗を送った直後に、某ケン〇ッキーのロゴが目に留まる。


「人だけ担任の小野先生にしたらいいんじゃね?」


「お、いいんじゃない?」


すると、3分もしないうちに女子から編集された画像が送られてくる。天才の集まりなのかここは。


「めっちゃいいやん!」


「これにしようぜ!」


小野先生の薄い髪が特徴的なロゴの完成である。これが背中側につくらしい。


バスの中の話題は球技大会に移り変わる。全員でTシャツのデザインを決めたのもあり、一段とクラスの雰囲気が良くなっていく。


ーこうしてバスは高校に到着し、遠足(研修)は終わりを告げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ