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3話「4月16日、自己紹介」

ー4月11日(金)ー


クラスの雰囲気が柔らかくなっていくのと同時に、本格的な授業が始まっていく。


仲良くなった4人で結構話せるので授業は楽しく乗り切れている。進度が恐ろしく早いこと以外は。


ただ、昼食を楽しみに1日を過ごすと意外とあっという間だ。

「ねね、再来週遠足みたいなのあるの知ってる?」


昼休み、柊弥が話題を切り出す。


「あー、なんかあるのは知ってる。どこ行くんだっけ?」


「モンキーセンターだって」


「え遠足じゃないやん」


昌也ががっかりしたように言う。


「生物の授業の一環だってさ」


「いやめんどくさそうやな」


「まーバスだけだな楽しみは」


と口々に文句を言いつつ、弁当を食べる。


そんな最中、突然後ろから馴染みのない音楽が流れ始める。ボカロか?

振り向いた先、音の正体はー西峰のスマホだった。


ああ、ついに本性を出し始めたか。


今年まで西峰と同じクラスになったことはなかったのだが、中学では自分の好きな曲を放送室から流すなどの行為をしてきている奴なのでなんとなく予想はついた。


面白がって寄る男子と、引き始める周りの女子。果たして、これから状況はどう傾くか。


ここで他のグループに絡みに行くのが正解だったのかもしれないが、タイミングが掴めずに昼休みが終わってしまう。まあ、しゃーなしだな。


午後の授業を終え、海の席へ。


「海、今日も仮入部行く?」


「うん、行くよー」


「一緒に行こうぜ」


「もちろん」


そこへ1人の男子が近づいてくる。


「2人ともバスケ部?」


「そー」


「俺もなんだけど一緒に行っていい?」


「いいよー!名前なんて言う?」


上原翔(かみはらしょう)、翔でいいよ」


「俺琉でいいよ」


「俺も海で」


「おっけー」


こうして、また交友関係が広がっていく。素晴らしいね。


ちなみに翔も背は低めだがイケメンである。かわいい系男子?みたいな感じだ。


家に帰り、長かった1週間が、終わる。

来週こそは相川と話したいな。普通に俺ビビりすぎだろ。

あと後ろの方の男子と固まって飯食べれたら最高だな。


全部実現してやる。


ー4月14日(月)ー

1限の生物。来週の木曜に研修があると伝えられ、説明を受ける。

近くの席のメンバーで5人班を作って観察をするらしい。


俺の前方にいる柊弥と昌也は前の方のメンバーと組むらしいので、俺と一成は後方へ。

5人班なので2つ後ろの席の西峰が同じ班になろうとしてきたが、


西峰の隣の男子が無理やり俺たちの班に入ってきてくれた。神かよ。


思わず、名前を聞く前にグータッチを交わした。


「ごめん、名前なんて言う?」


阪本玲(さかもとれい)、よろしくね!」


「おっけ、俺東條琉。よろしく!」


玲とはめっちゃ仲良くなれる気がするな。


玲は後方で固まってた男子グループの1人だから、これで後方のグループとも仲良くなれるかも。


その後、同じ班の女子2人とも自己紹介を行い、研修での役割を決めて授業終了。


そして昼休み。


今日、玲たちと昼食べてみない?、と柊弥たちに提案し、玲のグループの近くへ。


「昼一緒に食べていいー?」


「いいよー!」


快諾。月曜日にして1つ目標を達成。


玲以外の男子ともだいぶ話せたし、海も同じ机に固まってきてくれた。


玲が西峰の愚痴をめっちゃ俺に言ってきたのが面白かった。隣の席だから感じることがいろいろとあるらしい。いずれ同中って言ったら盛り上がるだろうな、と期待してテンションが上がる。


そういえば、クラス全体の自己紹介を全くやっていないんだよな。同中だとまだバレてないのもそのおかげ(せい?)である。

HRで時間を取らなかったのもびっくりしたけど、さすがにどっかのタイミングでやるべきでしょ。


その「タイミング」は、水曜日に。


ー4月16日(水)ー


7限、家庭科。


「今から自己紹介の紙を書いてもらいまーす」


担当の50歳くらいの女教師がそう宣言。家庭科でやるのかよ、そんで今かよ、と苦笑。クラス全体も似たような雰囲気に。同じこと思ってるんだろうな。


書いた内容を1人ずつ発表していくらしい。なんか得意技とかいう枠あるし。何を書けばいいんだ。


とか言ってるうちに発表がスタート。鬼畜かよ。


トップバッターは1番、相川。


「得意技は、えー声量がメガホンなところです」


それなりの笑い。メガホンなところってなんだよ、と思いつつ俺も笑い取る路線に変更。


その後はあの人そんな名前だったんだー、の繰り返しで特記事項はあまりなし。


そして俺の番に。


「24番、東條琉です。駒木中出身です。」


「得意技は、テンションが上がると声が急に裏返るとこです。」


結構ウケた。相川より笑い多い気がする。勝ったぜ(?)。


そして、2つ後には満を持してー西峰颯。


「26番の西峰颯でーす。中学は、東條君と同じ駒木中です!」


え、中学一緒なの?って視線が俺に集まる。余計なことしてきたな。視線が痛い。


西峰は人前で喋るときだけ女々しい喋り方になるので、めっちゃ引かれること間違いなし。

そして西峰が俺につるんでくるとそのせいで俺も虐げられるかもしれない。


これが俺が入学式で名簿を見た時の最悪のシナリオである。


今のところそれはなさそうなので一安心。あとで駒木中はネタにしよう。


その後、海のめちゃ長いスピーチに笑いが起きたくらいで自己紹介は無事に終了。


授業後、集まってくる男子に西峰の武勇伝(事件)をいくつか披露。その最中になんと相川登場。

話のギアを上げつつ、一段落したところで話しかけに動く。


「名前、相川であってる?」


「そー!」


「下の名前何だっけ」


本当は分かってるけど。”知らないふり”は人間関係を作る上で俺の中では定石である。


「叶多だよ」


「叶多ねおっけ、俺琉ね」


「さっき紹介で聞いて覚えたよ。話そうと思って。」


それは嬉しい。思ってたよりも関西弁っぽいイントネーションだな。


「やっぱり西峰関係か?笑」


「あいつやばいな普通に」


「だろ?中学の時もさ…」


西峰のおかげで話が弾む。意外と余計じゃなかったかも。


2つの目標を無事達成し、達成感に包まれた水曜日だった。


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