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第四章 馬車に心を揺らされて

旅の第一歩。馬車に揺られながら、俺、トラ、リオ、ヴァルドは景色を眺めていた。俺達が住む村は田舎の辺境。大した建物があるわけではないが、この美しい緑の草原は、この辺りでしか見られない。


「おいヒョウー!!!」

「なんだよ」

「すげーぞ!! 妖精が花に水やりやってた!!」

「そりゃあ、妖精は自然を愛する生き物なんだから、花を育てたりもするだろ」

「だな!!」


結局トラは何が言いたいのかわからない。昔から脳みそまで筋肉のこいつのことだ。特に意味はないんだろう。


「ヒョウー!」


腰に身に着けている【心剣リオン】が振動する。


「悪いな。ちょっとここは窮屈だろ。今出してやる」


取り出した【心剣リオン】は、昨晩、丹精込めて磨いたこともあり、より一層美しさに磨きがかかっていた。


「それで? どうした?」

「いやー! みんなでお出かけなんて、昔みんなで行った遠足を思い出すよねーって!」

「お!!! リオはなんて言ってんだぁ!!!?」

「昔みんなで行った遠足を思い出すっt――」

「よく覚えてんなぁぁぁ!! そんなこともあったよなぁぁぁぁあ!!!」

「我は遠足など行った覚えはないぞ!!」

「お前はその時i――」

「お? ヴァルドはなんて言ってんだぁ?」

「お前r――」

「我も遠足に連れて行け!!」


「――あーもう!!! 喋るんなら一人づつ喋れよ!!!!」


しまった。次に次にと会話を続けるこいつらに苛立って、つい怒鳴ってしまった。


三人を見ると、トラは尻尾が下がり、リオは刀身が下に向いている。そして何故か鎧で表情なんて分からないはずのヴァルドまでしょんぼりしているように見える。


「「「ごめんなさい」」」


――なんか、もう、三人から同時に謝られると、すごく罪悪感がある。ていうかなんでこいつら食い気味に話すんだよ!?


************


三人を落ち着かせた後、「人の話を聞け」という事と、「疲れるから会話のペースを落とせ」ということを言い聞かせた。


トラは変に拡大解釈をして話を脱線させるし、リオは何も理解していないし、ヴァルドに関しては、何故か同じことを復唱し始める。


どこかの先生みたいなことは言いたくないが、コイツらが落ち着くまでに30分かかった。


「よし。じゃあ話す」

「まず俺が、新聞屋や住民たちから聞いた情報によるとだ」

「「「……」」」

「あの時、俺等の村以外では魔蝕は発生していなかったらしい」

「「「……」」」

「そして、勇者が行方不明になったそうだ」

「「「……」」」


誰も喋らない。


「カァーカァー」


鳥の鳴いている声だけが虚しく響く。


――いや、何なんだこの空気感は。すごく気まずいんだが。コイツらは喋るか喋らないかの両極端なことしかできないのか!? 頼むよ、せめて相槌くらいは打ってくれよ!


「あの」

「「「……」」」

「聞いてる?」

「聞いている」「聞いてるよ」「聞いてるぜ」

「ならよかった」

「「「……」」」

「つまり、俺たちの目標の一つが決まった」

「「「……」」」

「それは勇者を見つけることだ」

「「「……」」」

「あのさ」

「んー?」「どうした!!」「なんだ」

「静かにしろって言ったのは俺だ」

「うん」「そうだな!」「ああ」

「でもな、俺は喋るなとも返事をするなとも言ってない」

「「「つまり?」」」

「あの、話してください」


コイツらは一体何なんだ。


話し合いが一向に進まない。


謎に息がピッタリだし。


――旅は始まったばかりだって言うのに、俺の胃はもう痛くなりはじめている。

若干個性派なキャラ達を動かすのが楽しくて楽しくてしかない。

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