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魔物使いの進化論 ~最弱スライムから始める神話級魔物育成~  作者: 庵


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17/73

第17話 共に強くなる

レイの進化まで。


あと三レベル。


【ハイウルフ】


【進化条件】


【Lv:7/10】


【戦闘経験:達成】


【連携行動:達成】


条件は。


もう分かっている。


なら。


やることは単純だった。


「レベルを上げよう」


「ぷる!」


レイの耳が。


真っ直ぐ立つ。


翌朝。


ルークは冒険者ギルドの掲示板を見ていた。


「これ……いけるかな」


昨日までとは。


少し違う依頼。


【討伐依頼】


【対象:ゴブリン】


【討伐数:十体以上】


【場所:リーベル北部森林】


【注意:複数個体の群れを確認】


「十体……」


一度に十体ではない。


北部森林に増えたゴブリンを。


合計十体以上討伐する依頼。


「昨日のビッグボアよりは安全かな」


「ぷる」


レイも。


静かに依頼書を見る。


「無茶はしない」


昨日。


格上との戦闘で。


勝った。


だが。


危なかった。


プルは吹き飛ばされた。


レイも。


傷が治りきっていない脚を酷使した。


勝てたから。


次はもっと強い敵。


そんな進め方をするつもりはない。


「僕たちが確実に勝てる相手と戦う」


レイの耳が動く。


「その代わり」


ルークは笑う。


「いっぱい戦おう」


「ぷる!」


北部森林。


最初の群れ。


ゴブリン四体。


「レイ」


ルークが小さく呼ぶ。


レイが。


右へ。


「プル」


「ぷる」


左。


以前なら。


ルークが細かく指示していた。


どの敵を狙う。


どこから攻撃する。


いつ下がる。


今は。


違う。


レイが動けば。


プルが合わせる。


プルが敵を止めれば。


レイが隙を突く。


ルークは。


全体を見る。


「奥の一体!」


棍棒を持ったゴブリン。


違う。


その後ろ。


石を持ち上げた個体。


「投げる!」


レイが反応。


横へ。


石。


飛ぶ。


「プル!」


「ぷる!」


身体を広げる。


硬化。


ガンッ!


石を弾く。


「今!」


レイが。


一気に距離を詰めた。


四体。


討伐。


「よし」


順調。


だった。


「…………?」


ルークは。


自分の手を見る。


今。


石。


ゴブリンが投げるより。


少し前。


なぜか。


分かった。


持ち方。


肩。


視線。


「たまたまかな」


深くは考えなかった。


二戦目。


ゴブリン三体。


「ギャァ!」


短剣。


ルークへ。


「っ!」


避ける。


以前なら。


棒で受けていた。


でも。


身体が。


勝手に動いた。


半歩。


横。


刃が。


服のすぐ横を通る。


「…………え?」


自分でも。


驚いた。


ゴブリンが。


もう一度。


短剣を振る。


見える。


速い。


でも。


以前ほどではない。


「そこ!」


棒。


手首。


ゴッ!


「ギャッ!」


短剣が落ちる。


ルーク自身が。


踏み込む。


腹。


もう一撃。


ゴブリンが倒れる。


「…………」


自分の手を見る。


「僕……強くなってる?」


「ぷる?」


戦闘中。


考えている暇はない。


残り。


プルとレイ。


すでに一体ずつ。


相手にしている。


「僕もやる!」


ルークが走る。


戦闘終了。


「…………」


ルークは。


その場で。


軽く跳ねてみた。


「やっぱり」


身体が軽い。


気がする。


走る。


止まる。


方向を変える。


「前より速い」


「ぷる!」


レイが。


ルークを見る。


「レイほどじゃないよ」


当然。


比べものにならない。


でも。


村を出た頃の自分より。


明らかに。


身体が動く。


「なんで……?」


思い当たること。


職業。


【魔物使い】。


そして。


【共生契約】。


「…………」


ルークは。


プルを見る。


ハイスライム。


Lv8。


次に。


レイ。


ウルフ。


Lv7。


二匹とも。


契約した時より。


遥かに強い。


「もしかして……」


共生。


一方だけではない。


互いに。


影響する。


「僕にも……返ってきてる?」


その日。


町へ戻ってから。


ルークは試した。


宿の裏。


「プル、ちょっと手伝って」


「ぷる?」


地面に。


線を引く。


「ここからあそこまで走る」


距離は。


およそ三十メートル。


「僕が走ったら追いかけて」


「ぷる!」


「本気じゃなくていいからね」


位置につく。


「よし」


走る。


以前の感覚。


それより。


速い。


脚が。


自然に前へ出る。


身体のバランスも崩れない。


「…………!」


止まる。


振り返る。


「ぷる!」


プルが追いつく。


「やっぱりだ」


次。


片足で立つ。


身体を傾ける。


踏ん張る。


「これも……」


以前より。


安定している。


棒を持つ。


振る。


止める。


もう一度。


「身体を制御しやすい」


そこで。


ルークは気づいた。


一種類ではない。


「プルと……レイ?」


プルが進化した頃。


身体が。


少し疲れにくくなった。


転んでも。


以前ほど痛みが残らない。


森を長時間歩いても。


平気になった。


あの時は。


冒険者生活に慣れたのだと思っていた。


だが。


レイと契約し。


レイが成長してから。


反応。


感覚。


動き。


それが。


急に良くなっている。


「…………」


ルークの視界。


意識する。


自分。


【ルーク・フェルナー】


【職業:魔物使い】


今まで。


ほとんど見ていなかった。


自分自身の情報。


そこに。


新しい項目があった。


【共生恩恵】


「…………!」


開く。


【契約個体:プル】


【共生恩恵:微弱】


【身体耐性補正】


【身体操作補正】


そして。


【契約個体:レイ】


【共生恩恵:微弱】


【感覚補正】


【敏捷補正】


「やっぱり……!」


ルークの心臓が。


高鳴る。


魔物だけではない。


契約した魔物が。


成長する。


その一部が。


ルークへ還元される。


「共生だから……?」


従属ではない。


一方的に。


従わせるのではない。


魔物と。


人。


互いが影響し合う。


「…………」


これは。


思っていた以上に。


大きな違いかもしれない。


でも。


「微弱、か」


実際。


強くなったとはいえ。


ルークが。


ビッグボアと殴り合えるわけではない。


ゴブリン相手でも。


油断すれば怪我をする。


「ちょうどいい」


ルークは笑った。


「僕だけ急に強くなっても困るし」


「ぷる?」


「僕も一緒に育ってるってこと」


「ぷる!」


プルが。


嬉しそうに跳ねた。


レイの尻尾も。


少し動いた。


「もっと強くなったら」


二匹を見る。


「僕ももっと強くなるのかな」


なら。


なおさら。


楽しみだった。


翌日。


また。


森。


戦う。


三体。


四体。


二体。


危険なら避ける。


勝てる相手なら戦う。


少しずつ。


確実に。


【プルのレベルが上昇しました】


【Lv:8 → Lv:9】


「よし!」


【レイのレベルが上昇しました】


【Lv:7 → Lv:8】


「あと二つ!」


さらに。


二日。


依頼。


討伐。


探索。


時には。


戦わず逃げる。


時には。


レイが先に敵を見つけ。


避ける。


戦闘だけではない。


森での動きそのものが。


上手くなっていく。


そして。


ルーク自身も。


変わっていた。


レイが。


何かを見る。


以前なら。


「敵?」


そう聞いていた。


今は。


レイの耳。


視線。


姿勢。


それを見るだけで。


ある程度分かる。


右。


遠い。


まだ危険ではない。


「右に何かいる。でも遠い?」


レイが。


ルークを見る。


尻尾。


一度。


「当たった?」


「ぷる!」


「プルに聞いてないよ」


戦闘でも。


ルークは。


後ろにいるだけではなくなった。


ゴブリンの攻撃を避ける。


棒で。


敵の体勢を崩す。


プルへ。


追い込む。


レイが。


仕留める。


「はぁっ!」


棒。


脚。


「ギャッ!」


ゴブリンが崩れる。


「プル!」


「ぷる!」


拘束。


レイ。


爪。


討伐。


「…………」


ルークは。


息を吐く。


怖くないわけではない。


でも。


身体が。


ついてくる。


「僕も……」


強くなっている。


それが。


嬉しかった。


四日目。


【プル】


【Lv:10】


【レイ】


【Lv:9】


「プル、先に10になったね」


「ぷる!」


得意げ。


レイ。


じっ。


「…………」


「気にしない」


「…………」


「明日には上がるよ」


「…………」


「ぷるぷる!」


「プル、煽らない」


そして。


翌日。


相手は。


ゴブリン六体。


少し多い。


でも。


今の三人なら。


戦える。


「レイ、二体を引きつけて!」


走る。


「プル、一体止める!」


伸びる。


「僕はこいつ!」


棍棒。


ゴブリン。


ルークへ。


振り下ろす。


見える。


横へ。


避ける。


踏み込む。


棒。


脇腹。


「ギャッ!」


二撃。


倒れない。


でも。


それでいい。


ルークの役目は。


一人で倒すことではない。


「プル!」


「ぷる!」


青い身体。


ゴブリンの腕を取る。


ルーク。


足払い。


転倒。


レイ。


横から。


爪。


「次!」


三人。


動く。


以前より。


遥かに速く。


遥かに。


自然に。


最後の一体。


レイが。


追う。


ゴブリンが逃げる。


【疾走 Lv.2】。


追いつく。


横へ回る。


進路を塞ぐ。


ゴブリンが。


反対へ。


そこには。


プル。


「ぷる!」


後ろ。


ルーク。


「終わり」


三方向。


逃げ道はない。


レイが。


地面を蹴った。


【ゴブリンを討伐しました】


【経験値を獲得しました】


そして。


待っていた表示。


【レイのレベルが上昇しました】


【Lv:9 → Lv:10】


「…………!」


ルークが。


拳を握る。


「来た!」


「ぷる!」


レイが。


ルークを見る。


「レイ!」


進化情報。


【ハイウルフ】


【進化条件】


【Lv:10/10 達成】


【戦闘経験:達成】


【連携行動:達成】


全て。


揃った。


【ウルフ → ハイウルフ】


【進化可能】


「レイ」


ルークが。


目線を合わせる。


「進化できる」


「…………」


耳が。


真っ直ぐ立つ。


共生契約。


そこから。


感情が伝わってくる。


期待。


興奮。


そして。


強くなりたい。


「やろう」


レイが。


一歩。


ルークへ。


「プルもいい?」


「ぷる!」


プルが。


レイの横へ。


三人。


並ぶ。


ルークは。


【YES】を選んだ。


【進化を開始します】


レイの身体が。


光に包まれる。


「…………!」


プルの時とは違う。


白銀。


風。


周囲の草が。


揺れる。


レイの身体が。


少しずつ。


大きくなる。


脚。


長く。


太く。


灰色だった毛。


そこへ。


銀色が混ざる。


「レイ……」


光が。


弾ける。


そこにいたのは。


もう。


小さな若い狼ではなかった。


身体は。


一回り以上大きい。


ルークの腰ほどだった体高は。


胸近くまで。


毛並みは。


灰色から。


銀灰色へ。


鋭い目。


でも。


その目は。


ルークが知っている。


レイのもの。


「…………」


レイが。


自分の身体を見る。


「ぷる……」


プルが。


見上げる。


レイも。


プルを見る。


「ぷる?」


レイが。


前脚を上げる。


ぽす。


プルの頭へ。


「ぷる!」


「変わってないね」


ルークは笑った。


表示。


【個体名:レイ】


【種族:ハイウルフ】


【Lv:1】


【スキル】


【嗅覚 Lv.2】


【爪撃 Lv.2】


【疾走 Lv.2】


【気配察知 Lv.1】


「新しいスキル……!」


【気配察知】。


嗅覚だけではない。


周囲の。


生き物。


魔物。


危険。


それらを。


感覚的に察知する。


「レイにぴったりだ」


参謀。


斥候。


誰より先に。


危険を見つける。


「それに爪撃もLv2」


進化によって。


上がった。


「どれくらい強くなったんだろう」


「…………」


レイが。


少し。


得意げに胸を張る。


「分かりやすいよ」


すぐ戻る。


「ぷる!」


プルが。


レイの周りを跳ねる。


その時。


ルークの身体に。


異変が起きた。


「…………っ!」


熱い。


胸。


腕。


脚。


「ルーク?」


もちろん。


レイは喋らない。


でも。


心配する感情が。


一気に流れ込む。


「大丈夫……」


ルークは。


自分の身体を見る。


心臓。


速い。


でも。


苦しくない。


むしろ。


身体の奥から。


力が湧いてくる。


視界。


鮮明。


風。


木の葉。


音。


遠く。


鳥。


「…………聞こえる」


今までなら。


気にもしなかった音。


そして。


身体。


軽い。


ルークは。


地面を蹴った。


「っ!」


自分でも。


驚くほど。


前へ出た。


「速……」


レイほどではない。


当然。


それでも。


昨日までの自分とは。


明らかに違う。


表示。


【契約個体の進化を確認しました】


【共生恩恵が強化されます】


【契約個体:レイ】


【共生恩恵:微弱 → 小】


【感覚補正:上昇】


【敏捷補正:上昇】


【新規恩恵を確認】


【危険察知:微弱】


「…………」


ルークは。


目を見開く。


レイが。


進化した。


だから。


ルークも。


強くなった。


「本当に……」


一方通行ではない。


魔物が成長する。


ルークも成長する。


そして。


もしかしたら。


ルークの成長も。


いつか。


二匹へ返るのかもしれない。


共生。


その意味。


「面白い」


ルークが笑う。


「面白すぎる」


「ぷる!」


レイが。


ルークを見る。


「僕も強くなったよ」


レイの尻尾が。


大きく振られる。


「これなら」


ルークは。


棒を握る。


今までは。


二匹を守りたいと思っても。


守られることの方が多かった。


でも。


いつか。


「僕も二匹を守れるくらい強くなれるかもしれない」


「ぷる!」


レイが。


ルークの隣へ。


プルも。


反対側へ。


「よし」


ハイスライム。


プル。


ハイウルフ。


レイ。


そして。


二匹と共に。


少しずつ強くなる。


魔物使い。


ルーク。


まだ。


三匹目はいらない。


今は。


この二匹と。


もっと戦う。


もっと育てる。


もっと進化する。


三人で。


どこまで行けるのか。


ルークは。


それが。


楽しみで仕方なかった。

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