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魔物使いの進化論 ~最弱スライムから始める神話級魔物育成~  作者: 庵


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16/73

第16話 進化まであと一つ

それから。


ルークたちの生活は。


一気に変わった。


朝。


冒険者ギルドへ行く。


依頼を選ぶ。


森へ向かう。


戦う。


素材を集める。


町へ戻る。


報酬を受け取る。


そして。


翌朝。


また森へ。


「これ……」


五日目の朝。


ルークはギルドの掲示板を眺めながら呟いた。


「冒険者っぽいな」


「ぷる!」


「…………」


プルが元気よく跳ねる。


レイは隣で静かに座っている。


「いや、冒険者なんだけどね」


まだ。


少し不思議だった。


村を出て。


それほど経っていない。


なのに。


今では。


森へ向かうことが。


日常になり始めている。


最初の二日。


狙ったのはゴブリンだった。


一戦目。


三体。


二戦目。


四体。


以前なら。


複数のゴブリンを見つければ。


慎重になっていた。


だが。


今は違う。


「レイ!」


灰色の影が走る。


敵の側面へ。


「プル!」


青い身体が伸びる。


逃げ道を塞ぐ。


レイが追い込む。


プルが止める。


そこへ。


ルークが加わる。


一体ずつ。


確実に。


倒す。


三日目。


戦い方が。


さらに変わった。


「…………」


ルークが。


指示を出す前に。


レイが動いた。


右。


敵の背後へ。


ゴブリンが振り返る。


その瞬間。


「ぷる!」


プルが左から伸びる。


脚を取る。


転倒。


レイ。


爪。


「…………」


ルークは。


棒を構えたまま。


止まっていた。


「僕、何も言ってないんだけど」


「ぷる!」


レイは。


当然という顔。


「二匹だけで倒した……」


嬉しい。


でも。


少しだけ。


寂しい。


「僕いらなくならないよね?」


「ぷる?」


レイが。


ルークを見る。


少し考えるように首を傾げる。


「そこで考えないでよ」


「ぷる!」


戦闘を重ねるほど。


レイの強さが分かってきた。


速さ。


嗅覚。


爪。


もちろん。


それも強い。


だが。


一番は。


そこではなかった。


「レイ、また気づいた?」


「…………」


耳が動く。


少し先。


まだ。


何も見えない。


数秒後。


ガサッ。


茂みから。


フォレストラット。


「やっぱり」


敵を見つけるのが早い。


さらに。


戦闘中。


敵が逃げようとすれば。


先に進路を塞ぐ。


複数いるなら。


一番危険な個体を見る。


プルが狙われれば。


すぐに割って入る。


「頭いいなあ」


「ぷる」


プルも認めるように揺れる。


「プルも頭いいよ」


「ぷる!」


「……たぶん」


「ぷる!?」


四日目。


新しい変化が起きた。


「レイ!」


ゴブリンが逃げる。


森の奥へ。


速い。


レイが追う。


距離。


十メートル。


八メートル。


六メートル。


縮まる。


だが。


ゴブリンも必死だ。


木々の間を抜ける。


「逃げられる!」


その瞬間。


レイの身体が。


沈んだ。


地面を蹴る。


一気に。


加速。


「速っ……!」


今までとは違う。


灰色の身体が。


一瞬で。


ゴブリンへ追いついた。


飛びかかる。


「ギャッ!」


転倒。


【スキル熟練度が一定値に到達しました】


【疾走 Lv.1 → Lv.2】


「来た!」


ルークの目が輝く。


「レイ! 疾走が上がった!」


「…………」


レイが振り返る。


「速くなったよ!」


尻尾。


ぶん。


一回。


「嬉しいんだ」


ピタッ。


「隠しても遅いよ」


その日の帰り道。


ルークは。


レイの情報を確認した。


【個体名:レイ】


【種族:ウルフ】


【Lv:6】


【スキル】


【嗅覚 Lv.2】


【爪撃 Lv.1】


【疾走 Lv.2】


「Lv6……」


契約した時はLv3。


確実に。


強くなっている。


プルも。


【個体名:プル】


【種族:ハイスライム】


【Lv:7】


【スキル】


【吸収 Lv.2】


【変形 Lv.2】


【硬化 Lv.1】


「プルの方が一つ上か」


「ぷる!」


プルが。


勝ち誇るように跳ねた。


レイを見る。


「…………」


レイの耳が。


ぴく。


「気にしてる?」


「…………」


「ぷる!」


プルが。


レイの周りを跳ねる。


「やめといた方がいいと思うよ」


「ぷる?」


次の瞬間。


レイが走った。


「ぷる!?」


プルを追う。


「ぷるるるるる!?」


逃げる。


追う。


「やっぱり」


ルークは笑った。


この二匹。


思っていた以上に。


負けず嫌いらしい。


五日目。


進化条件。


【ハイウルフ】


【Lv:???】


【戦闘経験:9/10】


【???】


「あと一回」


今日。


一戦すれば。


戦闘経験は達成。


問題は。


最後の条件。


何なのか。


「戦えば分かるかな」


ルークたちは。


いつもより少しだけ。


森の奥へ入った。


Fランク冒険者が。


普段活動する範囲。


その。


境目。


「今日はここまで」


無理はしない。


父との約束。


危ないと思ったら逃げる。


それは。


守るつもりだった。


だが。


レイが。


止まった。


「…………」


鼻を上げる。


「何かいる?」


耳。


前。


身体が低くなる。


「プル」


「ぷる」


警戒。


少し待つ。


音。


ドス。


ドス。


「…………大きい」


何かが。


歩いている。


木々の間。


姿を現す。


「…………」


ルークの表情が。


固まった。


大きい。


フォレストボアより。


さらに。


一回り。


いや。


二回り。


黒褐色の毛。


太い牙。


身体には。


古い傷。


「ボア……?」


でも。


違う。


ルークの視界。


【ビッグボア】


「上位種……」


フォレストボアより。


明らかに強い。


「…………」


レイが前へ出る。


「待って」


ルークが止める。


「戦わない」


レイが振り返る。


「今日は条件を一つ埋めたいだけ」


勝てるかもしれない。


でも。


危険を冒す必要はない。


「別の魔物を探そう」


その時。


ビッグボアが。


こちらを見た。


「…………」


目が合う。


「まずい」


前脚。


地面を掻く。


「逃げる!」


ビッグボアが。


地面を蹴った。


ドドドドドッ!


「速い!」


巨体からは。


想像できない速度。


「横!」


三人。


散る。


ビッグボアが通過。


木へ。


ドンッ!


「…………!」


太い木が。


揺れる。


樹皮が。


大きく抉れた。


「まともに受けたら終わる……」


プルでも。


危ない。


「逃げよう!」


走る。


だが。


ビッグボアが。


追ってくる。


「なんで!?」


縄張りに入った。


そういうことかもしれない。


「レイ!」


「…………!」


先頭へ。


レイが走る。


プル。


ルーク。


ビッグボア。


速い。


距離が。


縮まる。


「くそ……!」


このままでは。


追いつかれる。


レイが。


突然止まった。


「レイ!?」


振り返る。


「何して――」


レイが。


ビッグボアを見る。


逃げない。


「駄目!」


その瞬間。


レイが走った。


ビッグボアへ。


「レイ!」


真正面。


衝突する。


その直前。


横。


疾走。


一気に回り込む。


ビッグボアが。


レイを追って向きを変える。


「…………!」


ルークは気づいた。


「僕たちから離してる……?」


レイは。


自分が囮になった。


「馬鹿!」


ルークが叫ぶ。


「一緒に逃げるんだよ!」


「…………!」


レイが。


一瞬。


ルークを見る。


その目。


何か。


強いもの。


「…………」


伝わってくる。


共生契約。


守る。


自分が。


「違う!」


ルークが叫んだ。


「それは違う!」


レイの耳が動く。


「一匹で守ろうとするな!」


あの時。


レイは。


両親を失った。


守れなかった。


だから。


今度こそ。


自分が。


そう思っているのかもしれない。


「僕たちは仲間だ!」


プルも。


レイを見る。


「ぷる!」


「守るなら!」


ルークは。


棒を構えた。


怖い。


明らかに。


今までで一番強い。


それでも。


「一緒に守る!」


「ぷる!」


プルが。


ルークの前へ。


レイが。


止まった。


「…………」


ビッグボアが。


向きを変える。


「戦うよ」


逃げられない。


なら。


勝つ。


「プル!」


「ぷる!」


「正面は絶対に受けない!」


レイを見る。


「レイは走って!」


「…………」


「攻撃しなくていい!」


レイの耳が立つ。


「こいつを走らせ続ける!」


ビッグボア。


強い。


重い。


速い。


でも。


だからこそ。


弱点がある。


「急には曲がれない!」


レイが。


理解した。


走る。


ビッグボアが追う。


「プル、待つ!」


「ぷる!」


レイ。


右。


急旋回。


ビッグボア。


遅れて曲がる。


木へ。


ドン!


「今!」


プル。


伸びる。


硬化。


尖る。


後ろ脚。


突く。


「ブギィィ!」


浅い。


でも。


傷。


「離れろ!」


プルが戻る。


レイ。


反対側。


ビッグボアが追う。


「もう一回!」


ドン!


木。


プル。


攻撃。


「これなら……!」


少しずつ。


削る。


一度。


二度。


三度。


ビッグボアの動きが。


鈍る。


「レイ!」


走る。


だが。


「…………!」


後ろ脚。


傷。


まだ。


完全ではなかった。


一瞬。


速度が落ちた。


ビッグボアが。


迫る。


「レイ!」


間に。


青。


「ぷるっ!」


プル。


身体を広げる。


硬化。


ドンッ!


「ぷるぅっ!」


吹き飛ぶ。


「プル!」


地面を転がる。


でも。


立つ。


「ぷる……!」


レイが。


プルを見る。


「大丈夫!」


ルークが叫ぶ。


「前!」


ビッグボア。


再び突進。


レイが。


走る。


今度は。


逃げるだけではない。


プルを見る。


プルも。


レイを見る。


「…………」


ルークは。


何も言わなかった。


二匹が。


動いた。


レイが。


正面。


ビッグボアが追う。


プルが。


横。


レイが。


ギリギリで跳ぶ。


その瞬間。


プルの身体が。


地面すれすれを伸びた。


二本。


前脚へ。


絡む。


「ぷるるるるっ!」


一瞬だけ。


脚が止まる。


巨体が。


前へ。


崩れる。


ズドォン!


「今だ!」


レイが。


反転。


首。


【爪撃】。


プル。


硬化。


同じ場所。


突く。


一度。


二度。


ビッグボアが暴れる。


「もう一回!」


レイ。


爪。


プル。


突き。


そして。


巨体が。


地面へ沈んだ。


「…………」


誰も。


すぐには動かなかった。


「……勝った?」


ビッグボア。


動かない。


「…………」


ルークは。


その場へ座った。


「勝った……」


「ぷるぅ……」


プルも。


隣へ潰れる。


レイは。


立っている。


でも。


呼吸が荒い。


「レイ」


ルークが。


手を伸ばす。


今度は。


レイから近づいた。


頭を。


ルークの手へ。


押しつける。


「怖かった……」


正直に。


そう言った。


「もう一匹でやらないで」


「…………」


「僕も強くなるから」


レイの耳が動く。


「ぷる!」


「プルもね」


「ぷる!」


その時。


表示。


【格上個体の討伐を確認しました】


【経験値を獲得しました】


【プルのレベルが上昇しました】


【Lv:7 → Lv:8】


「……一気に上がった」


そして。


【レイのレベルが上昇しました】


【Lv:6 → Lv:7】


さらに。


【戦闘経験:10/10】


「達成……!」


レイの。


進化情報。


【ハイウルフ】


【Lv:???】


【戦闘経験:達成】


そして。


最後。


ずっと。


【???】だった場所。


文字が。


揺れる。


「…………」


新しい条件。


【連携行動:達成】


「連携……?」


今日。


二匹は。


互いを助けた。


レイが。


プルを。


プルが。


レイを。


そして。


最後は。


指示なしで。


同じ敵を倒した。


「これだったんだ」


残るのは。


一つ。


【Lv:???】


「レベルだけ……?」


ルークが。


呟いた瞬間。


表示が。


さらに変わる。


【Lv:7/10】


「…………!」


見えた。


【ハイウルフ】


【進化条件】


【Lv:7/10】


【戦闘経験:達成】


【連携行動:達成】


あと。


三レベル。


「レイ」


「…………」


「あと三つ」


ルークは笑った。


「Lv10で進化できる」


レイの耳が。


真っ直ぐ立った。


「ぷる!」


プルも跳ねる。


「次はレイの番だね」


ハイスライムへ進化したプル。


そして。


進化へ近づくレイ。


二匹は。


確実に。


強くなっている。


「よし」


ルークは立ち上がった。


「Lv10を目指そう」


まだ。


三匹目はいらない。


今は。


この二匹を。


もっと。


もっと。


育てたい。


レイの。


最初の進化まで。


あと。


三レベルだった。

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