第36章 力の試験
競技は余計な説明もなく始まった。
それは一般的な意味でのトーナメントではなかった。
これは――試験だった。
身体能力テストが次々と行われる。
— 短距離走
— 持久走
— 負荷付きスプリント
— 走り幅跳びと走り高跳び
— 突発的な目標への反応
— 武器なしの格闘スパーリング
そしてすぐに明らかになった。
もはや普通の人間ではない。
どの参加者も、あらゆるプロスポーツ選手を上回る速さ、強さ、正確さで動いていた。
バーベルも100kgではない。
200kgが標準とされていた。
それでも誰も驚かない。
限界はすでに引き上げられていた。
一人、また一人と力のテストに挑む。
— 300kg…
— 350…
— 400…
イーゴリ・ヴォロノフが静かに前に出た。
ウォームアップもなく。
緊張もなく。
彼はバーベルを握り――
持ち上げた。
500kg。
まったく無駄のない動きで。
ざわめきが広がる。
「これがレベルか…」
誰かがつぶやいた。
しばらくして、ドミトリーが前に出た。
彼はバーベルを見つめる。
短く息を吐いた。
構え。
持ち上げ。
最初は重い。
腕が震える。
だが――耐えた。
480kg。
ぎりぎりで。
だが持ち上げた。
彼はバーベルを下ろし、体を伸ばした。
一瞬、イーゴリを見た。
そして頭の中でよぎる。
「あと少し足りない…」
まだスターの域には届いていない。
――今は。
その間にも試験は続いていた。
軍は結果を記録し、
研究者たちは数値を分析する。
「反応速度は平均で3~4倍に向上している」
一人の専門家が言った。
「筋力は優秀な候補者で5~7倍だ。」
「例外もある」
別の研究者が付け加えた。
「一部の数値は…限界を超えている。」
彼はデータを見た。
「イーゴリ・ヴォロノフ――筋力は最大値。」
「ドミトリー――ほぼ同等。」
「しかもまだ20歳だ」
軍人が言った。
彼は首を振る。
「かつては世界トップのアスリートだけの数値だった。」
「それが今では…傭兵の標準になっている。」




