↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
34/40

第34章 政府の非公開会議

北方同盟。

政府の非公開会議。


「議題の一つ目――傭兵について。」


発言したのは軍の関係者だった。


「彼らの有効性はすでに証明されている。」

「比較的低い報酬で戦う。」

「しかも装備はすべて自前だ。」


一拍置く。


「つまり――我々は資源を節約できている。」


「節約だと?」と、政治家の一人が口を挟む。

「死者についてはどう説明する?」


場の空気がわずかに重くなる。


軍人は迷いなく答えた。


「彼らは正規軍ではない。」

「国家戦力にも含まれていない。」

「したがって、死亡しても我々に責任はない。」

「遺族への補償義務も発生しない。」


誰かが不満げに鼻を鳴らす。


「つまり――」別の政治家が冷ややかに言う。

「利益のために人を死なせている、ということか?」


「彼らは自らの意思で稼いでいる。」軍人は強く言い返した。

「選択しているのは彼ら自身だ。」


議論が激しくなる。


「損失が大きすぎる。」


「だが国家支出は確実に減っている。」


「志願者によってポータルが閉鎖されている。」


「民間では浄化に対して報酬が支払われている。」


「すでにサービス市場として成立している。」


「……血の市場でもあるがな。」誰かが低くつぶやいた。


一瞬、沈黙が流れる。


「次の議題へ移る。」議長が言った。

「管轄外ポータルについて。」


ここから空気はさらに張り詰めた。


分析官の一人が口を開く。


「すでに闇市場が形成されています。」

「違法にポータルへ入り、コアを売買する者が増えています。」


「それは違法行為だ。」政治家が即座に反応する。


「避けられません。」軍人が冷静に答える。

「需要がある限り、供給は生まれる。」


別の士官が補足する。


「問題はそこではない。」

「そうしたグループが十分に強くなれば――」


「統制不能な武装集団になる。」と続く。


「それ以上の事態もあり得る。」政治家が言う。

「誰にも従わない“力を持つ個人”の出現だ。」


軍人は表情を変えない。


「我々も手をこまねいているわけではない。」

「部隊は強化されている。」

「新型装備も配備済みだ。」

「いかなる脅威にも対応可能だ。」


「その“力”が足りればいいがな。」政治家が冷たく言う。


彼は会場全体を見渡した。


「もし足りなければ――」


一拍置く。


「問題になるのはポータルではない。」


「人間だ。」


場は完全に静まり返った。


会議後。


長い廊下。


重い足音。


扉が閉まる。


二人の軍人だけが残った。


「人間は確実に強くなっている。」一人目が前を見たまま言う。

「これは事実だ。」


もう一人が軽く笑う。


「確かに強くはなった。」

「だが――まだ人間だ。」


立ち止まる。


「戦車の砲撃に耐えられる人間はいない。」

「これも事実だ。」


一人目がわずかに顔を向ける。


「――今のところはな。」


沈黙。


「一年後はどうだろうな。」と彼は低く続ける。

「何ができるようになっているか、分からない。」


もう一人は眉をひそめる。


「限界がない可能性もあると?」


「分からない、というのが答えだ。」と静かに返す。


しばらく無言で歩く。


やがて一人目が再び口を開いた。


「すでにリストは作成済みだ。」


「リスト?」


「傭兵だ。」

「ランク3ポータルを最も多く攻略した者たち。」


もう一人の目がわずかに変わる。


「それで?」


一人目は足を止めた。


「集める。」


「何のために?」


相手の目をまっすぐ見る。


「評価するためだ。」


間。


「上位の実力を測る。」


もう一人がゆっくりとうなずく。


「試験でもするつもりか?」


「いや。」と、わずかに笑う。


「試験じゃない。」


さらに一拍。


「競わせる。」


「傭兵同士の大会か……」


「その通りだ。」とうなずく。


「自分たちの力を、すべて見せてもらう。」


彼は背を向け、歩き出す。


「ついでに――」


振り返らずに続けた。


「誰を恐れるべきかも分かる。」


廊下は再び静寂に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。