第3章 緊急会議
緊急司令室は軍人と分析官で埋め尽くされていた。
世界地図がスクリーンに映し出されている。
赤い点が次々と現れていく──ポータルが確認された場所だ。
緑色の裂け目は、すでにほぼすべての大陸で記録されていた。
「これは侵略だ」
軍人の一人が鋭く言った。
「他に説明はない」
「侵略だと? 何による?」
別の軍人が冷たく返す。
「軌道は確認済みだ。宇宙空間はクリーンだ。艦隊もない。信号もない。何もない」
「じゃあこれは何なんだ?」
声が荒くなる。
「どこにでも現れているんだぞ!」
スクリーンには次々と映像が切り替わっていく。
都市の通り、道路、草原──そしてそこには同じ形の緑の門。
静かで。
動かず。
あまりにも均一な存在。
地図の前に立つ将校が拳を握りしめた。
「すでに全ての確認地点を封鎖した。部隊も展開済みだ。全ポータルは制圧下にある」
「それで?」
「それでも……何も起きていない」
彼は息を吐いた。
「活動なし。出現もなし。動きもなしだ」
室内に沈黙が落ちた。
その時、映像通話で接続された科学者が立ち上がる。
「初期分析を行いました」
彼は早口で言った。
「結論から言えば、これは既知のエネルギーではありません。どの既存モデルにも当てはまりません」
彼はカメラを見つめる。自分でも完全には信じていないようだった。
「この門は……我々の理解する物理法則に従っていない。まったく別の存在です」
室内のざわめきが静まる。
「さらにテストを行いました」
科学者は続ける。
「偶然中に入った人間、そして車両さえも……戻ってきました」
「戻ってきた?」将校が遮る。
「別の空間へ転移していたようです。座標も性質も特定できていません」
少し間を置く。
「しかし、内部に入った者は全員、無傷で帰還しています」
室内はさらに静かになった。
「さらに重要なのは……」科学者は続けた。
「ポータルは対象を選びません。フィルター機能が存在しない」
一人の軍人がゆっくりと姿勢を正す。
「つまり……通路か?」
科学者は頷いた。
「はい。ただし、どこへ繋がっているかは不明です」
沈黙が重く落ちた。
その時、地図の前の将校が鋭く命じる。
「特殊部隊を投入しろ」
全員の視線が集まる。
「完全装備。武器。センサー。全てだ」
「即座に、向こう側を確認する」
誰も反対しなかった。
すでに他の選択肢は存在していなかった。




