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生徒会長はオタク男子を攻略できない  作者: naomikoryo


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第95話 「終業式、夏休み前に言っておきたいことがある」

終業式の日。


体育館は暑かった。


校長先生の話は長い。

生徒指導の先生の話も長い。

夏休みの注意事項は毎年似ているはずなのに、なぜか毎年新鮮に長い。


アキラは汗を拭いながら思う。


(終業式は精神持久力イベント。敵は暑さと話の長さ)


しかし、今日のアキラは別のことで頭がいっぱいだった。


夏休み前に、ミレイに何か言いたい。


何を言うべきかはわからない。


「夏休み中も会えたら嬉しいです」


これは直接的すぎる。


「生徒会作業日、楽しみにしています」


少し業務に寄せられる。


「長期ログアウト中も連絡していいですか」


いつも通りだが意味不明寄り。


終業式後、教室では皆が浮かれていた。


トオルが言う。


「黒瀬、会長に言っとけよ」


「何を」


「夏休み中も会いたいって」


アキラは固まる。


「そんな直球を投げたら肩が壊れる」


「恋愛で肩を守るな」


放課後。


アキラは生徒会室へ向かった。


夏休み前の最後の通常登校日。

生徒会室にはミレイがいた。


リコはいない。


(また二人きり。これはシステムが僕を追い込んでいる)


ミレイが微笑む。


「黒瀬くん、終業式お疲れさま」


「ミレイ先輩も、お疲れさまでした」


名前呼びは少し自然になってきた。


それでも、まだ心臓は跳ねる。


ミレイは机の上の予定表を見せる。


「夏休み中の生徒会作業日は、この三日になりそうなの」


アキラは確認する。


赤丸をつけた日と一致している。


(事前に予定表へ重要クエスト登録した日だ)


「その日は来られます」


ミレイは嬉しそうに笑う。


「ありがとう。助かるわ」


アキラはそこで終わらせるつもりだった。


でも、夏休み前に言っておきたい気持ちが胸に残る。


「ミレイ先輩」


「何かしら」


アキラは深呼吸する。


「夏休み中も、連絡していいですか」


言えた。


かなり頑張った。


ミレイは少し驚いた後、柔らかく笑う。


「もちろん。私も、黒瀬くんに連絡していい?」


アキラの心臓が跳ねる。


「はい。通知、常時許可です」


ミレイが笑う。


「通知設定みたいね」


「実際、最優先通知です」


言ってから、アキラは自分で固まる。


ミレイも真っ赤になる。



◆オチ


帰宅後、マドカに聞かれる。


「夏休み、会長と会う予定できた?」


アキラは答える。


「生徒会作業日が三日。あと連絡許可が出た」


マドカは拍手する。


「夏休み恋愛イベント、開幕じゃん」


アキラは真顔で言う。


「まだログインボーナス段階だ」

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