第59話 「風紀委員に相合傘を目撃される」
雨の日イベントの翌日。
アキラは平穏に登校したかった。
しかし、現実は平穏ではなかった。
教室に入るなり、トオルがにやにやしている。
「昨日、会長と相合傘してたらしいな」
アキラは鞄を落としかける。
「なぜ知っている」
「風紀委員が見たらしい」
「風紀委員の情報網は忍者か?」
どうやら、昨日の相合傘を風紀委員の女子に目撃されていたらしい。
しかも、その情報が朝の時点で一部に広まっている。
ユナが近づいてくる。
「黒瀬くん、会長と相合傘って本当?」
アキラは冷静に説明しようとする。
「これは雨天時の移動支援であり、恋愛イベントと断定するには証拠が不足していて」
ユナは笑う。
「必死すぎると逆に本当っぽいよ」
授業中も、女子たちの視線が痛い。
「会長と……」
「やっぱり仲いいんだ」
「相合傘は強い」
アキラは心の中で頭を抱える。
(相合傘イベントの社会的影響が大きすぎる)
放課後、生徒会室に行くと、ミレイも少し困った顔をしていた。
リコは楽しそうだった。
「二人とも、昨日の雨天バフが噂になってますよ」
ミレイは赤くなる。
「ただ一緒に傘に入っただけよ」
アキラも頷く。
「はい。天候要因による共同移動です」
リコは言う。
「言い訳の方向性が似てきましたね」
そこへ風紀委員の女子がやってくる。
「会長、昨日の件ですが」
アキラとミレイが同時に固まる。
風紀委員は真面目に言う。
「相合傘自体は校則違反ではありません。ただ、周囲の生徒が騒ぐ可能性があるので、廊下での過度な接近には注意してください」
アキラは真剣に頷く。
「過度な接近……今後の参考にします」
ミレイは赤い顔で俯く。
リコは笑いをこらえている。
◆オチ
風紀委員が去った後、アキラは言う。
「白鳥先輩、今後は傘を二本持ち歩きます」
ミレイは少し寂しそうに言う。
「そう……」
アキラは慌てる。
「いえ、一本予備です。必要ならまた共同使用可能です」
ミレイは真っ赤になる。
リコが拍手する。
「黒瀬くん、無自覚に次回予約しましたね」




