第55話 「テスト返却で奇跡が起きる」
テスト返却の日。
アキラは英語の答案用紙を受け取った。
点数を見て、固まる。
七十八点。
過去最高だった。
(これは……奇跡? いや、白鳥先輩バフの成果)
トオルが覗き込む。
「おお、すげえじゃん」
「七十八点……英語で……僕が……」
「会長に報告してこいよ」
アキラは答案用紙を握りしめる。
「報告……?」
「絶対喜ぶだろ」
その言葉で、アキラの胸が高鳴る。
(白鳥先輩が喜ぶ……)
放課後、アキラは生徒会室へ向かう。
いつもより少し早足だった。
ミレイは書類を整理していた。
「黒瀬くん、テスト返ってきた?」
アキラは頷き、答案用紙を差し出す。
「英語、七十八点でした」
ミレイの顔がぱっと明るくなる。
「すごいわ、黒瀬くん!」
その笑顔を見た瞬間、アキラは思う。
(報告してよかった)
ミレイは本当に嬉しそうだった。
自分のことのように喜んでくれている。
「よく頑張ったわね」
アキラは固まる。
よく頑張った。
その一言は、妙に胸に染みた。
「白鳥先輩のおかげです」
「私は少し手伝っただけよ。頑張ったのは黒瀬くんでしょう?」
アキラは言葉に詰まる。
自分の努力を、まっすぐ認めてくれる人。
それが、こんなに嬉しいものだと知らなかった。
リコが横で言う。
「黒瀬くん、今なら感謝の言葉を素直に言うチャンスですよ」
アキラは深呼吸する。
「白鳥先輩に教えてもらえて、本当によかったです。ありがとうございます」
ミレイが赤くなる。
「どういたしまして」
二人の間に、柔らかな空気が流れる。
◆オチ
その夜、アキラは答案用紙を机に置く。
姉のマドカが見て言う。
「英語七十八点? すごいじゃん。会長効果?」
アキラは真剣に答える。
「白鳥先輩は教育系バフとして優秀すぎる」
マドカは笑う。
「恋愛系バフでもあるよ」
アキラは小声で言う。
「……否定材料が減ってきた」




