第42話 「会長、恋愛診断を生徒会業務として処理する」
ミレイもまた、文化祭以降ずっと落ち着かなかった。
黒瀬くんが生徒会室に来ると嬉しい。
黒瀬くんからメッセージが来ると、すぐに返したくなる。
黒瀬くんが女子に話しかけられていると、胸の中がざわつく。
リコは何度も言う。
「会長、それ恋です」
ミレイは何度も答える。
「まだ断定は早いわ」
「診断したら百点満点で恋ですよ」
「診断……?」
その言葉が気になったミレイは、昼休みに恋愛診断を調べることにした。
質問は簡単だった。
相手のことをよく考える?
はい。
相手から連絡が来ると嬉しい?
はい。
相手が他の人と仲良くしていると気になる?
はい。
相手の笑顔を見たいと思う?
はい。
結果。
あなたはかなり恋をしています。
ミレイはスマホを机に伏せた。
(かなり……)
リコが横から覗く。
「ほら、診断も言ってます」
「でも、これは一般的な診断でしょう? 私と黒瀬くんの事情を正確に反映していないわ」
「事情って何ですか」
「黒瀬くんは不思議な話し方をするし、私は生徒会長だし、文化祭後で心が浮かれている可能性もあるわ」
「言い訳の企画書みたいになってますよ」
放課後、黒瀬くんが来る。
ミレイは、診断結果を思い出してしまい、いつもより意識する。
「黒瀬くん、今日もありがとう」
「いえ。生徒会室はもうデイリーログイン先なので」
「デイリーログイン……毎日来てくれるということ?」
「可能なら」
その一言で、ミレイの心が跳ねる。
(毎日……)
リコが遠くで小さく笑っている。
作業の途中、ミレイはうっかり恋愛診断のページを開いたままにしていたスマホを机に置いてしまう。
黒瀬くんがそれを見つける。
「生徒会長、これは……」
ミレイは慌てる。
「違うの。これは生徒会業務で」
「恋愛診断が?」
「生徒の心理傾向を把握するためよ」
リコが即座に言う。
「嘘です」
ミレイは顔を赤くする。
黒瀬くんはなぜか真剣な顔になる。
「実は僕も、似たような診断をしました」
ミレイは驚く。
「黒瀬くんも?」
二人は同時に固まる。
診断した理由は、言えない。
リコがにやにやしながら言う。
「二人で恋愛診断してるのに、まだ認めないんですね」
◆オチ
ミレイは慌てて話題を変えようとする。
「黒瀬くん、その診断結果はどうだったの?」
アキラは真顔で答える。
「八割該当、判定保留です」
リコが机を叩く。
「八割で保留にする人、初めて見ました」
ミレイは小さく呟く。
「私も、かなり恋をしているらしいわ」
アキラは完全停止した。




