第41話 「恋かどうか判定するために攻略サイトを探す」
文化祭が終わってから、アキラは明らかにおかしかった。
白鳥ミレイのことを考える時間が増えた。
生徒会室に行く前、なぜか髪型を確認するようになった。
メッセージが来ていないか、スマホを見る回数も増えた。
しかも、ミレイが他の男子と話しているところを見ると、胸の奥が妙にざわつく。
アキラは深刻な顔で呟く。
「これは……未知の状態異常」
トオルは即答する。
「恋だよ」
「まだ確定していない。検証が必要だ」
「お前、恋もデバッグする気か?」
アキラは本気だった。
昼休み、アキラはスマホで検索する。
恋かどうか 判定
推しと恋 違い
先輩 見ると 心臓 おかしい
生徒会長 尊い 好き 違い
検索結果は、どれもアキラにとって危険だった。
「気づくと相手のことを考えている」
「相手の一言で気分が変わる」
「他の人と仲良くしていると気になる」
「会いたいと思う」
アキラはスマホを伏せる。
(条件一致率が高すぎる。これは偶然か? 偶然であってほしい。いや、偶然であっていいのか?)
放課後、生徒会室へ行くと、ミレイがいつものように微笑む。
「黒瀬くん、来てくれたのね」
その一言だけで、アキラの中の判定ゲージが大きく傾く。
(会いたかった人に会えた時の安心感……検索結果そのものでは?)
ミレイは首を傾げる。
「黒瀬くん、顔が赤いわ。熱?」
アキラは慌てる。
「いえ。恋……ではなく、故障です」
ミレイが固まる。
「今、恋って言いかけなかった?」
「言いかけていません。故障の前に余計な予測変換が出ただけです」
リコが横で吹き出す。
「黒瀬くん、脳内入力が荒れてますね」
その日の作業中、ミレイがアキラの近くに座る。
肩が触れそうな距離。
アキラは書類を見ているのに、全然内容が入ってこない。
(近い。白鳥先輩が近い。これは集中力デバフ。いや、恋判定項目に『相手が近いと緊張する』があった。まずい。非常にまずい)
ミレイが言う。
「この欄、間違っているかしら?」
アキラは書類ではなく、ミレイの指先を見てしまう。
「ええと……はい。たぶん……いや、合っています。いや、僕が間違っています」
ミレイは心配する。
「本当に大丈夫?」
アキラは真面目な顔で答える。
「今、自分のジャンルがわからなくなっています」
ミレイは真剣に考える。
「ジャンル……? 黒瀬くんは黒瀬くんよ」
その言葉が、アキラの胸に妙に刺さる。
(僕は僕……。生徒会長は、いつも謎の角度からクリティカルを出す)
◆オチ
帰宅後、アキラはノートに書く。
恋判定項目:八割該当。まだ保留。
姉のマドカがそれを見て言う。
「八割ならもう合格発表出てるよ」
アキラは真顔で返す。
「補欠合格の可能性がある」




