第24話 「文化祭準備で黒瀬くんと一緒にいられる件」
文化祭実行委員に黒瀬くんが選ばれた。
ミレイは、生徒会長として喜ぶべきだと思った。
彼は真面目で、作業も丁寧で、独特な発想もある。
けれど本音を言えば、別の理由で嬉しかった。
一緒にいる時間が増える。
そう思った瞬間、ミレイは自分で自分に驚いた。
(私は今、生徒会長としてではなく、個人的に嬉しいと思ったの?)
リコに相談すると、にやにやされた。
「会長、ようやく自白しましたね」
「自白ではないわ。気づきよ」
「恋の気づきですね」
「……まだ、決めつけるのは早いわ」
文化祭準備では、アキラの能力が意外な方向に発揮される。
企画書の抜けを見つける。
備品リストを種類別に分類する。
地図の導線を考える。
さらに、謎解き迷路の案について語る時だけ異様に目が輝く。
「ここで伏線を配置して、最後に序盤の掲示物がヒントだったと判明する構造にすれば、参加者の満足度が上がります」
ミレイは感心する。
「黒瀬くん、すごいわ」
アキラは赤くなる。
「好きな分野なので」
その顔を見て、ミレイは思う。
(黒瀬くんは、好きなものに真剣なのね)
その姿が眩しい。
放課後、二人で残って資料を整理することになる。
窓の外は夕焼け。
教室には紙の音だけが響く。
ミレイはふと、文化祭が終わったら一緒にいる理由が減ってしまうのではないかと思う。
胸が少し寂しくなる。
「黒瀬くん」
「はい」
「文化祭準備、大変だけれど……楽しいわね」
アキラは少し考えてから言う。
「はい。生徒会長と一緒だと、作業が楽しいです」
ミレイは手元の紙を落とす。
アキラは慌てる。
「すみません。今のは作業効率的な意味で」
ミレイは紙を拾いながら小さく笑う。
「ええ。作業効率的な意味で」
でも、心の中では違う意味として受け取ってしまっていた。
◆オチ
リコが戻ってきて、二人の空気を見て言う。
「お邪魔しました?」
ミレイとアキラが同時に言う。
「違います」
リコは頷く。
「息ぴったりですね」
二人は同時に赤くなる。




