第25話 「クラス企画がメイド喫茶になりかける」
アキラのクラス、1年B組の文化祭企画はなかなか決まらなかった。
お化け屋敷は準備が大変。
縁日は予算が足りない。
展示は地味。
演劇は誰も主役をやりたがらない。
そこで、誰かが言った。
「メイド喫茶とかどう?」
教室の空気が一瞬で変わった。
男子はざわつき、女子は半分呆れ、半分面白がる。
アキラは頭を抱える。
(来た。文化祭定番イベント。だが、現実でメイド喫茶をやるには羞恥心という高い壁がある)
トオルが笑う。
「黒瀬、お前執事役似合いそうじゃん」
「なぜ僕を巻き込む」
女子たちが乗り始める。
「黒瀬くん、執事服似合いそう」
「絶対似合う」
「見たい」
アキラは震える。
(またエンカウント率が上がった。しかも衣装イベント付き)
そこへミレイが文化祭資料を届けに来る。
女子の一人が言う。
「会長、黒瀬くんの執事姿、見たいですよね?」
ミレイは固まる。
「黒瀬くんの……執事姿?」
アキラは心の中で祈る。
(生徒会長、ここは生徒会長権限で却下してください)
しかしミレイは真剣に考え込む。
「……似合うと思うわ」
アキラの脳内に雷が落ちる。
「生徒会長!?」
ミレイは慌てる。
「い、いえ、文化祭企画としての客観的意見よ」
女子たちは盛り上がる。
「会長公認だ!」
アキラは絶望する。
(味方だと思っていたNPCがイベントを進行させた)
結局、企画は「執事喫茶風・謎解きカフェ」に決まりかける。
アキラの案と女子の願望が融合した結果だった。
◆オチ
トオルが言う。
「よかったな黒瀬。お前、クラスの目玉だぞ」
アキラは真顔で返す。
「目玉になるなら、せめて瓶詰めで展示してくれ」
ミレイが心配そうに聞く。
「黒瀬くん、瓶に入るの?」
リコが遠くで叫ぶ。
「会長、そこ拾わなくていいです!」




